子孫に顔を残す
「ライフマスク」をはじめて見たのは、画家佐伯祐三の画集でだった。石膏のみでできているため余計に顔の質感がリアルに感じられた。白いし、当然目をつぶっていたがその目が今にも開きそうでちょっとこわかった。
ブルース・リーのマスクもオークションで高値で取引されていた。あれは映画を撮る際のメイクの研究用に取ったものだ。
亡くなった人のマスクが残っていると感動する。2次元の写真とは違い、まさにその人の生きていたころの息遣いが想像できるのだ。
ということで、私もいい機会なので是非、息遣いを残そうと思う。待っていろよ、子孫よ。
材料買うのにもう死ぬ思いをする
正月早々、またも東急ハンズへ。お店の人はひんぱんに来ては脈絡のないものを買っていく私をどう思っているだろう。
多趣味なレディ?でも乗馬と料理とスキー、ではなく、ハンダごてとダンボールと石膏である。
意外と安く済んだ。石膏5kg、1350円。型取り剤1kg、2400円。液止め用油粘土、240円。後世に残る自分の顔、プライスレス。
計6kg以上、普段買う米より重いこれらの材料を持ち帰り、翌日またそれを友人宅へ持っていく。
どう考えても今回はひとりで部屋でできそうになく、友人2人の手を借りることにした。よく晴れた3連休、まさか他人の顔型取りを手伝うことになるとは、彼女らも数奇な運命である。