特集 2024年5月11日

ホッケースティック片手にミニ四駆を追いかけよう!歩くダンゴムシを装置で測ろう!~Maker Faire Kyoto 2024レポート~

やばい技術たち

ここからは個人的にやばさを感じた作品たちを紹介していきたい。もちろんここでいう"やばい"はいい意味です。

まずは山口自動機械さんの剣道ロボット。

左にある的の赤い部分を認識して、右のロボットが自動で面や胴を打つ。

めんめんめん!

的の位置が変わってもなめらかに打っている。
ROBO-剣というロボットによる剣道の大会に出場されているとのことだ。そんな大会があったのか。

それから京都橘大学杉浦研究室のハンドベル自動演奏システム。これもすごかった。

全部で27個のハンドベルを自動で演奏する装置だ。
ただ鳴らすだけでなくLEDでのライトアップもあり目と耳で楽しめる作品になっている。

ソレノイドという上下に動く部品を2つ使って演奏している。

上にあるソレノイドでベルを鳴らし、下にあるソレノイドでベルを止める。
これで譜面通りの音を鳴らすことが出来るのだ。

同じ部品を大量に組んでひとつの作品に出来る人、個人的にめちゃくちゃ尊敬している。
部品の数だけ配線があるわけで、僕がやったらパニックになるのは目に見えている。

しかしこちらではきれいに配線していて気持ちいい。

きれいに並んだ配線からしか得られない栄養がある。
しかし中央で制御するところはどうやっても線が集まってきてしまう。これはこれで得られる栄養があるよね。

製作に半年以上かかった大作だそうだ。クリスマスに出てきたらさぞ盛り上がるだろう。

ところで電気を使わない作品も展示されている。
中でも面白かったのはこちら。

上木 敬士郎さんのやわらか3Dプリント×幾何学だ。

きれいに3Dプリントされた格子模様だが、これをギュッとすると……

別の形になる!

手の中で変形するのが面白い。
ギュッとしたときにうまく折り畳まれる構造がキモになっているそう。

上木さんのサイトに行くとたくさん作例が載っているのでぜひ見てほしい!

この立体のやつとかすごいですよ。CGみたいだ。
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やばさ1000パーセント

ここからはいよいよやばいと思った作品に触れていきたい。

まずはなぜか密集して展示していたペンプロッター部門から、川村聡さんの高速ペンプロッターをご紹介。

高速と銘打つだけあってマジで高速。会場がざわついていた。

人間が絵を描くスピードよりも圧倒的に速い。どうなってるんだ。
装置も回路も制御もとにかく速さにこだわったとのことだ。

個人的にはペンを動かすモーターが気になり、聞いてみるとマクソンモーターだと言う。
マクソンといえばロボコンでも採用される高性能なモーターだ。これ、お高いんでしょう……?

と聞いたら、部品表が出てきた。

しっかり値段も書いてあり、完全に「待ってました」という質問をした格好になった。これほどまでに本気で作ってるんだぞ、という意志だ……!
こういう裏から出されてくる説明は最高に面白い。これを聞かれたら説明してやろうとみんなしっかり用意しているのである。

個人的に一番気に入ってしまった、Neulseさんが作ったFA機器たちもすごい。

FA、ファクトリー・オートメーション。つまり工場で使う機器だ。
これを家庭で作れるサイズで作ってしまっている。

工場で使う機器を?家庭で?作ってる?と、徹頭徹尾ハテナで頭がいっぱいになってしまう。FA機器自作勢なんて初めて聞いた。
「(FA機器の)サイズが大きくて会社に置けないことがあるので、なんとかならないかな~と考えていたら……出来ちゃいました」とにこやかに答えてくれた。出来ちゃいましたか。

FA機器たちを改めて見る。これが家にあるの、めちゃくちゃかっこよくないですか?
モーターの回転方向を検出してくれるセンサー(右側の白いやつ)。検出したあとどうするかは自分たちで考えよう。
お客さんから「欲しい!」との声が一番多かったのは、⑦のUSBハブ。機器や部品を取り付けるDINレールという、制御盤などで使われている規格のレールに付けることが出来る。

「こういうのないんだよ~」と言われたそうで、好きで作っていたら実は意外とニーズがあった、という展開だ。
僕は工場のことはまったくわからないのだが、こういう話だけ聞いていたいと思ってしまうエピソードだ。

最後に紹介するのが、京都産業大学・情報理工学部・永谷研のダンゴムシの歩き方を計測する装置だ。

装置の真ん中にいるのがダンゴムシで、その動きに合わせて玉乗りのようにボールを回転させることで、ダンゴムシが無限に歩けるようになっている。

ダンゴムシが無限に歩くための装置なんて、この世でこれしかないのではないか。あの世にもなさそう。
歩いている様子をカメラで撮り、関節ひとつひとつの動きをキャプチャして動作の解析を行っている。
これを元にCGのモデルに反映することで、ゲームなどに使えるかもとのことだ。

めちゃくちゃリアルな動きをするダンゴムシの敵キャラが出てくるかもしれない。

「ダンゴムシは足が多くて複雑なのに、どうやってうまく動いているんだろう?」という疑問がもともとの始まりだそうだ。
子どものときに思うような疑問に対して、しっかり装置を作って計測する、となるのがザ・学術研究!でとてもおもしろい。

ところで当サイトでは過去にダンゴムシを渋谷で歩かせる(結果:全然進まず)記事があったが、それも見ていて「僕らの計測結果よりもだいぶ遅い。渋谷みたいなところだとやっぱり難しいのかな」と思ったそうだ。思わぬところで繋がりがあるものだ。

 

ダンゴムシは会場の近くでも採取したとのこと。とれたてのダンゴムシ!

子どもたちが駆け回る良さよ

初めてMaker Faire Kyotoに参加したが、東京ほど大規模でないので1日でも見て回れるのがちょうどよく、とても楽しかった。
それから会場が広いので、子どもたちが自由に楽しんでいるように見えた。屋外の展示は特にそうだ。

これ以上ないゴールデンウィークのスタートとなった。参加した人みんながそう思っていることだろう。

ダンボールパレードも子どもたちが楽しそうで良かった!
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