待ち合わせといえば東京駅
現地集合が当たり前になりつつある昨今、あえて遠くで待ち合わせをして、目的地まで一緒に行くことでその移動時間を味わいたいというのが今回の趣旨である。
とはいったものの、いったいどこで待ち合わせをしたらいいんだろうか。わからん。僕らはすでに待ち合わせの能力が退化してきているのかもしれない。
ためしに「東京」「待ち合わせ」で検索をしたら「銀の鈴」という場所がヒットした。東京駅にある有名な待ち合わせスポットらしい。
よし、今日はそこで待ち合わせましょう。
今回たまたま三人でご飯を食べに行く約束があったので、目的地からは遠いこの「銀の鈴」を待ち合わせ場所とさせてもらった。
みんな特に文句も言わずに了承してくれたのはありがたいが、もしかしたら目的地の近くにも別の銀の鈴があるんじゃないだろうか。久しぶりの待ち合わせはいろいろ不安になった。
どきどきしながら待っていると、待ち合わせ時間の少し前にライター江ノ島さんがやってきた。
よかった、場所間違っていなかった。ようこそ銀の鈴へ。
ーー東京駅で待ち合わせってしたことありますか?
江ノ島「高校生くらいのときにディズニーランドに行こうってなって、その時に待ち合わせしたような気がしますね。でも夢かも」
ちなみに江ノ島くんとの待ち合わせはいつも目的のお店の前か、むしろ先に着いた人からテーブルに座ってるスタイルである。
あらためて外で待ち合わせをするのはなんだかちょっとくすぐったかった。お店集合だとメニューとかディスプレーなんかを見ながら即本題に入れるのだが、今回の待ち合わせは銀の鈴であって銀の皿ではないのだ。
ーー元気ですか。
江ノ島「これプラ段が貼ってありますね」
気づかなかったが、銀の鈴はガラスの四隅にプラ段(プラスチック製のダンボール)が貼られていた。透明なままだと人がぶつかっちゃうのだろうか。江ノ島くんは先週から体調を崩していたらしく、しきりに生あくびを繰り返していた。
しばらくしてもう一人の待ち合わせ人、ライター月餅さんが到着した。
三人が揃ったところで待ち合わせが成功した。まず会えなかったらこの企画どうしようと思っていたので一安心である。
ーーどうですか、銀の鈴はすぐにわかりました?
江ノ島「最初わかんなくてウロウロしましたが、鈴が意外とでかかったので遠くからでも見つけられてよかったです」
月餅「わたしは逆に思ってたより小さいなと思いました。みんなが待ち合わせに使うくらいだからそうとうでかい鈴なんだろうなと思ってたんです」
ーー確かに、なんでみんな国会議事堂とか東京タワーとか、もっと目立つところで待ち合わせしないんですかね。
月餅「ですよね。銀の鈴、案内を見てもわかんなくて「詰んだな」と思ったんですが、でも勘で階段を降りたらたまたまここに出たんです。人間最終的には直感ですね」
ーー待ち合わせで野性を発揮しましたね。月餅さん、いままで東京駅で待ち合わせしたことありますか。
月餅「あるけど八重洲口とか大丸とか、もっと広い場所で待ち合わせてた気がします」
遠い目的地へと向かう
ーーじゃあ無事に待ち合わせできたし、さっそく向かいましょうか。今日行くお店は目黒ですね。山手線で行きましょう。
江ノ島「え」
ですよね。でもその質問はすでに想定内である。
ーー遠くで待ち合わせすることで待ち合わせを楽しもう、という企画なんです。
江ノ島「わざわざ東京駅に集合っていうから、もしかしたら歩いてどっかいくのかなとか思いましたよ」
月餅「わたし東京駅集合って言うから新幹線とか、もっと遠くに行くのかと思ってました」
ちなみにこれから行く目黒は江ノ島さんが普段仕事をしている恵比寿の隣の駅である。
江ノ島「なんでまた戻るのかな」
ーーそれは文句ですか
江ノ島「そういうわけじゃないんですけど、ほら遠足でバスが家の前を通ったときに(ここで降ろしてくれたら)って思うことあるじゃないですか。そんな感じです」
遠くで待ち合わせることのデメリット
無駄な移動が発生することがある