特集 2021年12月6日

市場からなくなる前に「麻ピー 和山椒ミックス」を再現しておきたい

最近、僕の大好きなおつまみ「麻ピー 和山椒ミックス」が、コンビニやスーパーの店頭からどんどん姿を消しています。

ああいうお店とのコラボ商品って期間限定のことが多いし、もしかしたらそろそろ、製造が終わってしまうのかもしれない。あれが食べられなくなったら寂しすぎる!

というわけで、現物がまだ手もとにあるうち、なんとかあの味を再現できないか、実験してみようと思います。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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「麻ピー 和山椒ミックス」のストックがどんどん減る恐怖

出たぞ出たぞ出たぞ〜! 僕の大好きな「麻ピー」シリーズの新作、

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「麻青豆」

が出たぞ〜!

こんどはピーナッツじゃなくてグリーンピース! カリカリのグリーンピース&痺れる辛さでたまらなくお酒がすすむぞ〜!

……って、浮かれてる場合じゃないんですよ、実際。

というのもですね、僕の“麻ピー愛”については以前、『至宝の逸品「麻ピーペヤング」』で熱く語らせてもらいましたよね。そんな麻ピーシリーズのなかでも最愛の、もはや中毒と化していると言っても過言ではない「麻ピー 和山椒ミックス」が、急激に店頭から姿を消しはじめているんですよ。

「麻ピー 和山椒ミックス」は、京都の有名日本料理店「祇園 さゝ木」が監修した、麻ピーシリーズの(たぶん)期間限定商品。

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「麻ピー 和山椒ミックス」

通常版の花椒を若干抑えめにし、その代わり華やかな香りの和山椒をプラス。そこに揚げた海老の頭、さらにはなんと「キャラメリゼ」したくるみを加えてしまうという、「どうやったらそんな組み合わせ思いつくの!?」っていう商品。

これが奇跡的なバランスで美味しすぎ、僕、いつか絶対に「祇園 さゝ木」に行くって心に決めてるくらいなんです。ランチが8000円〜、ディナーが24000円〜らしいので、そのいつかがいつになるのかはまだわからないんですが。

とにかくですね、いくつか買いだめておいた和山椒ミックスも残りわずかとなり、今、そのことを考えると気が気じゃないんです。僕。

そこで思った。そうだ、そりゃあ完璧とまではいかないだろうけど、現物がまだ手もとにある今のうちに、この「麻ピー 和山椒ミックス」を自分で再現してみるのはどうだろう? そのレシピを書き残しておけば、いつか本当に和山椒ミックスが手に入らなくなったとき、自作してその寂しさをまぎらわせるかもしれないぞ。と。

自分で作るしかない!

はい。というわけで、まずはあらためて「麻ピー 和山椒ミックス」を、パッケージからじっくりと眺めていきます。

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「カリカリ花椒と和山椒ミックス 〜海老の頭とくるみ添え〜」

今年の流行語大賞間違いなしの美しい日本語ですね。

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端的に説明するとこう

そうそう、ここに書いてあるとおりなんだよな〜!

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原材料

市販の菓子なので素人にはよくわからんもんも入ってますが、とても参考になりますね。

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パッケージから取り出しよく観察

さて、ここで久々にこいつの出番です!

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「HELLO」

以前、「お汁がじゅわっと染みこむ食材王座決定戦」という記事を書いた際に登場した、0.001g単位での超精密な計量が可能な、デジタルはかり。

こいつに、

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プラカップをセットして
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食材ごとに分類した原材料の重さを
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計っていきます

なるほど、花椒は0.275gか。

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海老の頭は2.701g

と、こんな感じに。もちろん、細かすぎる唐辛子なんかは計れないんですが、主な食材のバランスだけでも知っておこうというわけで。

結果、1袋のうちわけが、おおよそこのような比率であることが判明しました。

花椒:0.275g
ピーナッツ:41.085g
くるみ:3.762g
海老の頭:2.701g

さらにわかりやすいよう、花椒を「1」として計算し直してみると、比率はこんな感じ。

花椒:1
ピーナッツ:149.4
くるみ:13.68
海老の頭:9.82181818182

で、先程のはかりは精密なぶん、マックスでも50gしか計れないので、ここからは少しざっくりになりますが、花椒1gに対し、ピーナッツは150g、くるみは    13〜14g、というような感じで、各食材を混ぜていってみようと思います。

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いよいよ再現していきます

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塩バターピーナッツを
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150g

パッケージに「マーラー油で味付けしたピーナッツ」とあったので、我が家の必須調味料のひとつである花椒入りのラー油、

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S&B「四川風ラー油」と
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糸切り唐辛子を刻んだものを
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加えてあえる

続いてくるみのキャラメリゼ。キャラメリゼなんて行為、もちろん今までやったことはなかったんですが、調べてみると、グラニュー糖を水で煮つめ、そこに食材を加えるという、シンプルな調理法なんですね(かなりざっくりですが)。

もちろん、火にかけすぎればあっという間に焦げてしまったり、逆に早く火からあげすぎれば独特の風味が出なかったりと、タイミングなどかなり熟練の技が必要な調理法でもあるんですが、とりあえずやってみましょう。

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煮たたせた水にグラニュー糖を加え
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独特の焦げ色がついてきたらくるみを投入して絡める

パッケージの原材料に「はちみつ」があったのでここで少量加え、冷めるとすぐにくっついてしまうので、

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クッキングシートの上に並べる

あくまで真似事の範疇ではありますが、甘くてほんのり苦くて香ばしい、キャラメリゼくるみが完成しました

さて、次が最大の難関! 揚げた海老の頭。お刺身用の甘海老でも買ってきて揚げてみようかしら? だけど冷めてもあんなにサクサクなままのものができるわけないし……と、思っていたら、ネットで超〜おあつらえむきの商品を発見!

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「えびのおかしら」

なんと、海老の頭を揚げてサクサクのスナックにした商品。こんなのもはや、「麻ピー 和山椒ミックス」のパーツじゃん!

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およそすべての材料を加えたら
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味がなじむようしばらく寝かせておきましょう

で、数時間後。和山椒の風味だけはきっと、開けたてのほうがよかろうと、

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最後に加えてもう一度混ぜれば
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完成! 自作「麻ピー 和山椒ミックス(風)」

ちなみに写真右。左は本家。

いざ実食

さて、ついに緊張の実食タイム。

その前にまずは、あらためて本家和山椒ミックスを食べてみます。ぽりぽりぽり……いろんな食感、風味と辛しょっぱさに加え、やっぱり効いてるくるみの甘み。う〜む、やっぱりうまいな。

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続いて自作和山椒ミックス

まずもって、見た目が油でしっとりしてますね。そこからして市販品とは別物。

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すべての食材を一気にほおばる

もぐもぐもぐ……あ〜、うんうん、なるほど。まず、やっぱり本家とはけっこう違う。いちばん違うのは塩気の足りなさかな。本家は市販品のおつまみであるぶん、こうやって比べるとかなり塩気が効いてるんですね。一方自作は、かなりおだやかな味わい。

ただ、全体的な食感はかなりそっくりだし、香ばしい海老と甘いくるみのアクセントもばっちり効いている。そもそも料理として考えたときに、かなり美味しいです。さすが「祇園 さゝ木」が考えた組み合わせだよな〜。

「市販のおにぎり」と「自分でにぎったおにぎり」とたとえれば、本家と自作の違いがわかりやすいでしょうか。つまり、どちらも「麻ピー和山椒ミックス」であり、どちらも美味しい!


今回の経験により、塩加減などの調整の余地はまだまだあるとして、万が一、市場から本当に「麻ピー和山椒ミックス」がなくなってしまったとしても、ひとまず寂しさはまぎらわせるようになった気がします。ほっ。

あと、くるみのキャラメリゼがそもそも単体ですごく美味しくて、きっとチーズと一緒にバゲットなんかにのせたらかなり上等なおつまみになる気がするし、こんどはいろんなもんをキャラメリゼしてみる実験でもしてみようかな〜。

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