0.001g単位の精密さで
突然ですが、こちらをご覧ください。
謎のレトロゲーム機のようにも見えますが、実はこれ、デジタル式の「はかり」なんです。
ただしその性能がすごくて、なんと0.001gから50gまで計量可能という、精密さに特化したプロ用。
最近こいつを手に入れまして、真っ先に量りたいと思い浮かんだのが、汁を吸った食材というわけ。
試しに、ぴったり1gのはずの1円玉を量ってみると、
使用によるすり減りの影響かもしれないし、誤差なのかもしれない。けど、万が一誤差だったとしても、0.001gならば今回の企画的には許容範囲といえるでしょう。
では実験を始めていきたいのですが、食材を直接ここに乗せるのは抵抗があります。そこで家にあるなるべく小さいお皿を乗せてみたところ、
どうしたもんかと代替案を探し、ちょうどいい食品用プラケースのフタを発見しましたよ。
さっそくスーパーへ行き、候補食材をあれこれ買いあさってきました。レジの人、絶対に思っただろうな。
同時に、染みこませるための汁もたっぷりと用意しました。「皮だけメソッド」によって我が家の定番となった、おでんのベース。たっぷりの鶏皮と鶏手羽をぐつぐつ煮て、白だしを加えただけのものです。
まずは事前の計量から
それではいよいよ、じゅわっと王座決定戦を開催していきましょう。
用意した食材は以下の11種類。
・あぶらあげ
・お麩
・がんもどき
・高野豆腐
・コンニャク
・大根
・栃尾揚げ
・白菜
・ふえるわかめちゃん
・マロニー
・結び昆布
(50音順)
このうち、どう考えても汁を抱えこみそうにない「コンニャク」に、まずは模範演技をしてもらいます。つまり、じゅわっとしてないイメージの食材がどのくらいじゅわっとしてないかを知ったうえで、本戦に突入しようというわけ。つるし上げのようで気の毒な気もしますが、コンニャクはおでんだねのなかでも個人的に好きな部類ということで、ご容赦願おうと思っています。
6.079gとのこと。
せめてもの温情として、包丁で切るのではなく、ちぎりこんにゃくにしてみました。その断面に汁をいかほど抱えこめるか?
そういえばこのはかり、多用途に使っていいはずのものなんですが、その商品名は、
本当はキラキラとした宝石たちを量りたかったんだろうに、うちなんかにもらわれてきたばっかりに、ごめんな……。
さて、気を取りなおして、どんどん量っていきましょう!
2.172g
どん兵衛のきつねうどんあたりを想像するに、かなりの活躍が期待されます。
1.454g
今大会大本命のひとり。
4.961g
おでんでじゅわっといったら彼ですよね。
3.039g
汁を吸った高野豆腐を思い浮かべるだけで、脳内に「じゅわっ」という音が再生されるほどの実力者。
3.290g
冒頭にも例を出した、じゅわっと界の花形。
3.992g
新潟県出身の選手で、一言でいうなら、
4.890g
鍋の後半に発掘される白菜、彼も相当抱えこんじゃうタイプですよね~。
0.913g
かわいらしい名前とは裏腹に、みずから「増える」と言い切る予告ホームランスタイル。その体重を見るに、大会に向けての調整は万全のようです。
2.512g
彼も増えるよね~。がさつにとって鍋にほうりこんでおくと、あとでびっくりするよね。
0.672g
凛々しい姿にスポーツマンシップを感じ、全選手中最も軽い体重に期待が高まります。
検証方法
厳正なる審査を行うためには、まず全員に同条件で汁を吸わせてやる必要があります。そこで今回は、
同じ鍋に一気に投入し、10分間ゆでる
↓
だしは冷めるときに染みこむと聞いたことがあるので、火を止めて10分間放置
↓
一気に取り出して計量
という方法をとることにしました。
この甘やかされ感が審査員の心証に影響しないことを祈りつつ。
しゅんでますな~、各選手みるからに!
さっそく、まずは模範演技を行ってくれたコンニャク選手の結果を見てみましょう。
もとの体重6.079gから、どこまで増やすことができるのか……!?
ちょwwwww コンニャクさんwwwww 汁吸うどころか、体重減っちゃってるじゃないっすかwwwww
結果:0.797倍
10の食材をランキング形式で発表!
ではここからは、いよいよ本命選手たちがどのくらい汁気を抱えこんだか、つまり「体重が何倍になったか」をランキング形式で発表していきます。
あ、ちなみに倍率に関して、割り切れない場合は少数第3位以下は切り捨てて発表していきます。つーかこの複雑な数値で、単純に割り切れるやつなんていない。そう簡単な大会じゃない。
3.290g → 3.269g 結果:0.993倍
いきなり波乱の幕開け! なんとじゅわっと感の代表選手と思われた大根も、体重を減らしています。
ただ、実際に食べてみたところ、当然まだまだ若い味だった。彼の場合、いったん鍋のなかで体重を減らし、それから時間をかけてだしを抱えこんでいくタイプだと予想され、今大会の規程内では実力を発揮しきれなかった?
4.890 → 6.369g 結果:1.302倍
対してかなり短期間にかなりじゅわっと感を増した白菜。倍率はこのくらいでした。ただ、うまいね、とろっとした白菜は、ほんとに。
4.961 → 7.786g 結果:1.569倍
食べ慣れた、いいじゅわっと感なのですが、意外と結果は伸びませんでした。
3.992 → 8.894g 結果:2.227倍
大会前には「あぶらあげのオバケ」と呼ばれ、周囲の期待も高かった栃尾揚げ選手。そのプレッシャーに若干押されたか、約2倍にとどまるという結果に。いや、めちゃくちゃ美味しいんですけどね。じゅわっと。
2.172 → 12.244g 結果:5.637倍
そこにきてあぶらあげが大健闘! なんと栃尾揚げにダブルスコアをつけるという神プレー。
実際、ここから口に含んだ際のじゅんわり感がぐっと増した印象です。あ、感想を述べているのはあくまで、「純粋な美味しさ」ではなく「じゅわっと感」ですからね!
3.039 → 18.840g 結果:6.199倍
ひぇ~これは、もはや食べられるスポンジ! ものすごい汁気。たっぷたぷ。さすがの実力。
2.512 → 17.434g 結果:6.940倍
時間をかければまだまだ結果を伸ばしそうでもあるマロニーですが、それでもじゅうぶんの結果に。
加えて、味に無駄な主張がないので、これまでの食材のなかでいちばんシンプルにだしの風味を楽しめますね。
0.672 → 6.045g 結果:8.995倍
いよいよ第3位。正直ここまで検討してくれると思っていなかった昆布くんが大健闘! 乾物は強し。
1.454 → 19.875g 結果:13.669倍
うっぉぉぉおおお! これはなんだ、もはや液体! 口に入れた瞬間に溶けてなくなり、じゅわぁあ~~~っとだしの旨みが広がる! すごいな、お麩。今後もっと利用していこう。
0.913 → 14.493 結果:15.874倍
なんと第1位は、「増える」の宣言どおりのふえるわかめちゃん。抱えこんだり約16倍! もはや原型を思いだせません。
と、今大会の優勝は「ふえるわかめちゃん」だったわけですが、これはあくまで体重を増やした割合。さすがにわかめを食べて「じゅわっとしてる~」とはそこまで感じず、あくまで味の染みこんだわかめとしての美味しさでした。そこへいくと、2位の「お麩」はすごかった。じゅわっとの権化。
というわけで個人的な結論としましては、
・僕の知る限りもっともだしを抱えこめる食材は、ふえるわかめちゃん
・じゅわっと感を楽しみたいなら、お麩
・とにかくだしの味を堪能したいなら、マロニー
といったところでしょうか~。