特集 2025年8月6日

ライチと肉の串焼きをつくって食べる

以前、こんな記事を読んだ。

深セン大学がライチ50トンを教員・学生に無料配布

中国の深セン大学のキャンパス内で、毎年とんでもない量のライチが収穫されるというニュース。
『毎年、約50トン収穫』『教員や学生に、1人当たり約2.5キロずつ無料配布』などのパワーワードが連なったインパクトのある内容であるが、その中でもわたしは、記事中に登場するある料理に心を掴まれた。

それが、『ライチと肉の串焼き』である。

社会人。体育が嫌い。大人になった今でも大抵の物事を「体育よりマシか、否か」で判断している。(ライターWiki

前の記事:20年ぶりにトラウマ映画『ジュマンジ』を観る

> 個人サイト note

生ライチとの遭遇

実は、先述した記事は2年前のもの。
しかし、わたしはこの記事を読んでから今まで、折に触れて『ライチと肉の串焼き…か…』と、その未知の料理に思いを馳せてきた。

1.jpeg
深セン大学がライチ50トンを教員・学生に無料配布より引用

ライチと肉の串焼き…きっと一生食べることはない。なぜなら、ライチってそこらへんのスーパーには売ってないから。そして、自らライチをゲットしに行くほどの熱量も持ち合わせておらず…。

そう諦めかけていたある日、偶然通りかかった八百屋で見つけたのである。生ライチを…!

2.jpeg

チャンスはいつだって突然やってくる。
わたしの人生において、ライチと肉の串焼きをするタイミングは今しかない。

3.jpeg

わたしは迷わず、生ライチを購入。そして後日、速やかに肉と串を買いに走った。

いったん広告です

生ライチは超甘い

せっかくなので、他のフルーツも肉と一緒に串焼きにしてみることにした。

4.jpeg
用意したのは、ライチ、ソルダム、プルーン、みかん、スイカ、パイナップル。
ライチ、ソルダム、プルーンを食べるのは人生初。
5.jpeg
肉はランプ

ひとまず、調理する前に、今まで食べたことのなかったフルーツを食べてみる。

6.jpeg
初めての生ライチ

生ライチはとにかく甘い。それでいて、ほのかに木の実のようなえぐみがある。ただ、それ以上に猛烈に甘く、食感もプリプリしていて、これが人工物ではないことがにわかに信じられないくらい、食品として強い。
皮がイボイボで硬くなかったら、全部虫や鳥が食いつくしてしまうだろう。(生ライチの美味しさについては、DPZライター安藤さんの記事や、月餅さんの記事をご覧ください)

7.jpeg
初めてのソルダム(左)、初めてのプルーン(右)

ソルダムは、青果売り場の概念みたいな味がする。汁っぽくてめちゃくちゃ手と口が汚れるという点を除けば、かなり好きだ。
プルーンは酸っぱい...!ドライプルーンを想像して食べるとややショックを受けるくらい酸味が強い。玄人向けの味に感じた。(※個体差があるかもしれません)

繝ゥ繧、繝・8.jpeg
味を確認したところで、フルーツを串に刺していく。

当たり前だが、ソルダムとプルーンは中央に大きい種があるので串が通りにくかった。

そしてライチ。ライチも中央に種があるので刺しにくい。

9.jpeg
しかし、2個目は、すんなり刺せた。個体差があるのか、わたしの技術の問題か

みかん、すいか、パイナップルは最高に串刺ししやすくて感動した。ライチ串刺しバイトとみかん串刺しバイトがあったら、前者の時給を後者の1.5倍にすべきである。

特にパイナップルは、適度に実に密度があるので、刺した後の安定感もバッチリ。焼く前から流石の貫禄を見せつけてきた。

繝ゥ繧、繝・10.jpeg

いったん広告です

部屋の匂いはイカ焼き屋

ここからは焼く工程。

11.jpeg
餅焼き用の網を使って焼く
12.jpeg
早々にソルダム・プルーン串から煙が上がり、なぜかイカ焼きの匂いが充満する

肉に火が通るより先に、ソルダムとプルーンは網の接地面からぐずぐずと崩れていく。網を伝って垂れた汁はやがて炭になり、部屋の匂いはますます祭りに近づく。

繝ゥ繧、繝・13.jpeg
これ以上は無理と判断し、串から外した。
14.jpeg
そして、ソルダム・プルーン串に気を取られている間に、ライチが焦げた。団子みたいだ。

こうして珍しいフルーツを相手にてんやわんやしていると、みかん、パイナップル、スイカの手のかからなさに感心する。

16.jpeg

なぜ煙が上がらない?なぜ汁が垂れない?なぜ焦げない?不思議だ。詳しい人がいたら教えてください。

15.jpeg

いったん広告です

美味しいライチと、美味しい肉

なんやかんやありつつ、焼きあがったものがこちら。

17.jpeg

前提としてわたしは、フルーツの入った料理がすべからく好きだ。だから、かなりワクワクしている。

まずは、問題のライチ串から。

18.jpeg

ガツンとした甘さはそのままに、瑞々しさ(汁気)は減少。しかし、それが逆に手や顔が汚れにくくて食べやすいというメリットになっている。

そして、肝心の肉との食べ合わせ。
わたしの感想は、「ライチと肉を交互に食べているな」。
間違いなく美味しいのだが、互いに美味さを高め合っているわけではなく、ただただ美味いライチと肉が交互に刺さった串である。
しかし、交互に食べることにより、お互いの過剰な部分(ライチの甘さ・ランプの肉肉しさ)を中和し合っているので、そういう点においては良い組み合わせであると言える。

19.jpeg

それはそれとして、大学で大量に獲れたライチを持て余し、友達と一緒にライチと肉の串焼きを食べるのは最高に楽しいだろうなと思う。

いったん広告です

パイナップルはすごい

次は、ソルダム・プルーン串。

20.jpeg
食べる前から汁が滴る

21.jpeg

加熱したソルダム、美味しい!さらに甘く、そして柔らかくなっている。汁を炭化させて部屋の匂いをイカ焼き屋さんにしながら焼いた甲斐があった。あと、温かい果物って美味しい。

しかし、肉との相性は微妙。甘い香りが肉を邪魔しているように感じた。しかも、手と口と皿が猛烈に汚れるため、BBQなどには不向きである。

22.jpeg

プルーン…これは加熱前後で味にほとんど変化がない。やや酸味が飛び、ドライプルーンの残像を感じた程度。肉との相性もまずまず。あと、これも手と口と皿が汚れるので、BBQ向きではない。

23.jpeg
最後はみかん・スイカ・パイナップル串。カラフルでかわいい

結論から言うと、結局パイナップルが一番美味しかった。

パイナップルってすごい。単体で成り立つ華やかさな味にも関わらず、肉との相性は抜群。しかも食べやすくて、色も華やか。そして何と言っても、『種がない・汁気が少ない・焦げない』の超都合の良いナイナイ尽くし。もう全部これでいいじゃん。やっぱり世間的にウケているものには理由がある。

ちなみに、みかんは甘味が増し(知ってた)、スイカは何故かみずみずしさが変わらなかった(本当に何故?)。どちらも肉との相性はまずまず。

いったん広告です

ライチと肉の串焼きのタイミング

実食したフルーツと肉の串焼きのおすすめ度を順位付けするとこうなる。

1位 パイナップル

~越えられない壁~

2位 ライチ

3位 みかん・すいか

4位 ソルダム・プルーン

…そもそもライチと肉の串焼きとは、1人2.5キロ無料でライチが配られる環境にいる人間が食べるものである。
よって、わたしから言えることは、『ライチと肉の串焼きに手を出すのは、とりあえず飽きるまで生ライチを食べてからでOK』ということだ。

きっとわたしも、身体がライチに慣れていたら、ライチと肉の串焼きをもっと美味しく食べられたはず。パイナップルと肉の串焼きだって、素直に美味しく感じられたのは、パイナップルが年がら年中食べられる恵まれた環境にいるからだろう。

だからこそみなさんには、焦らずに各々のタイミングを待ってほしい。大丈夫、ライチと肉の串焼きは逃げない。

24.jpeg

日本における生ライチは結構レアだ。
もし手にする機会があったら、まずはそのまま食べまくることをオススメする。
串焼きにして肉で挟まなくても、生ライチは十分すぎるほどに美味しい。

▽デイリーポータルZトップへ

記事が面白かったら、ぜひライターに感想をお送りください

デイリーポータルZ 感想・応援フォーム

katteyokatta_20250314.jpg

> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」が届きます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ