「いいちこ」のポスターにあこがれて
古賀:今日は、「来年の『酒カレンダー』作るのを手伝ってください」とだけ言われてやってきたんですが……え〜、どういうことですか?
パリ:はは。意味不明。「またあいつらか!」っていう。
ナオ:なんかね、先日ふたりで話していて、ここしばらく、酒の穴名義の記事はずっとZOOMを使って遠隔作業で書いてるじゃないですか? だからどうしても絵が地味になるな〜と。
古賀:あ~、いい絵が見たいと。
パリ:で、いい絵ってどんな絵? と考えたとき、我々が真っ先に思いつくのがどうしても「いいちこ」の広告になってくるんですよね。
ナオ:そうそう。あれへの憧れがずっとあります。
「いいちこ」オフィシャルサイト
※トップで最新の広告写真が見られます
ナオ:そして、いいちこはもちろん好きなんですが、缶チューハイだのプラカップの焼酎だの、我々がお世話になってる酒が他にもあって。
パリ:そういう酒にスポット当ててあげたい! 晴れ舞台に立たせてあげたい! と、勝手に思ったんですよね。
ナオ:さらに、それをカレンダーにすれば、1年じゅう部屋に飾っておけるぞ! と。
古賀:なるほど。思いのほか筋の通った話ですねこれは。
ナオ:はは。そう。真面目に欲しいものを作りたいという。
パリ:なのですでに、我々ふたりがそれぞれ、「1、2月用」「3、4月用」……「11、12月用」というイメージで、6枚ずつの写真を撮ってきてあるのです。で、それぞれの月で僕とナオさんの写真どちらを採用するかを決めていくのに、古賀さんの客観的な視点が重要だと思いまして。
古賀:やばい! 重責だ。
ナオ:はは。いやそこはでも、和気あいあいと。
パリ:そうそう。「対決!」みたいな意気ごみでもないし、お互いの撮った写真から3枚ずつ選ぶくらいの温度感でいいので。
古賀:はい! 写真を見るのがすごく楽しみになってきました。
パリ:撮影対象の酒は「缶チューハイ」「甲類焼酎」「ビール/発泡酒」の3種というくらいの、アバウトな縛りにしてみました。
ナオ:うん。銘柄は自由。青っぽい色合いの缶チューハイで夏を表現、とかいろいろできそうですしね。
パリ:さっそく写真を見せ合っていきたいんですが、ナオさん、「9、10月」って、正直ちょろくなかったですか?
ナオ:うん! 今ちょうど街の木々が色づいているので、もうそれ頼りでよかった。
パリ:逆に「7、8月」はものすごく苦労しました。
ナオ:この時期に真夏を表現しないといけないですからね。
パリ:なので、採用写真の検討は「9、10月」から順番に「7、8月」に向かってやっていくのはどうでしょう?
古賀:おお、なるほど確かに。
ナオ:遠い季節に向かってね。
あらためて趣旨説明
・来年の「酒カレンダー」用に「1、2月用」から「11、12月用」まで、ふたりがそれぞれ6枚の「酒のある風景」写真を撮影。
・撮影する酒は「缶チューハイ」「甲類焼酎」「ビール/発泡酒」で、銘柄は自由。
・パリッコ、スズキナオのふたりも、お互いの撮ってきた写真はまだ見ていない。
・今から3人でそれらをふり返り、採用する写真を決める。
割とゴミっぽくなる危険性「9、10月」
ナオ:まずは「9、10月」。楽でしたね。紅葉の感じを使えるじゃないですか。近所の川べりで撮影していたんですが。
パリ:もうカレンダーじゃん。
ナオ:はは。そうそう。
ナオ:川沿いの桜の木がちょうどいい色になっていて、もうこれでいけると。それで落ち葉の間に缶チューハイを置いてみたんだけど。
パリ:はは。
ナオ:割とゴミっぽくなる危険性が生じることに気づき。
古賀:わはは。ゴミ!
パリ:あ、ちょっといいですか?
古賀:おーい!
ナオ:はは。
パリ:構図も角度も同じ。
ナオ:これもホント、タカラさんは何も悪くないんだけど、こういう風によく捨てられてるんだよな。
パリ:「September〜October」じゃなく「ゴミは持ち帰りましょう」が載るほうがしっくりくる。
ナオ:注意喚起ポスターね。
ナオ:少し試してみたんですけど。
古賀:立てた!
ナオ:やっぱこれは、地上に置くといかんなと思って。ちょうど桜の木の切り株があって、そこが平らだったので、こうしました。
パリ:あ! いい!
古賀:かわいい!
パリ:開放感あるな〜。
古賀:ちょっと擬人化した感じありますね。
ナオ:そうそう「ここだよー!」っていう。
パリ:福山雅治にすら見える。ちなみに僕はですね、地上でねばりました。
ナオ:偉い。地上でやるのがプロです。
ナオ:ははは。
古賀:かっこいい!
パリ:「どんぐりたちの秘密のパーティー」というイメージだったんですが、いかんせん焼酎がでかい。
ナオ:巨大な神をまつっているみたいな。
古賀:急なアニミズム。宗教儀式的な。
ナオ:映画の「メッセージ」みたいでもある。謎の物体が宇宙からやってきた。
パリ:空から落ちてきた焼酎を神と勘違いしたどんぐりたち。ちなみに、
パリ:これそのまま帰ったんだけど、見つけた人なんだと思っただろうな。
古賀:こわさありますね。
ナオ:「これだったんだー!」って、わかってもこわい。
パリ:はは。
ナオ:「酒カレンダーだったんだ!……いやいやこわいわ!」
パリ:理由がわかってすっきり。でもこわさは継続。
ナオ:いや、でもこれ、さすがです。小道具をちゃんと自然界から見つけてるのが偉い。
古賀:確かに、ゴミではなくなりましたね。
パリ:シュールになっちゃったけど。
クリスマスと雪のイメージを「11、12月」
パリ:他の月は家の近所で撮影したんですけど、ここだけちょっと仕事ででかけた先で撮ってしまって、今思うとちょっとずるい感じかもしれなくて。先に見せてもいいでしょうか?
ナオ:うんうん。
パリ: いやね、赤坂で仕事があって、もう街並みを想像だけで素敵でしょう?
古賀:期待!
パリ: 昼間に100均であれこれ買って撮影してたんですが、クリスマスが近いから、小物が充実しててやりやすいんですよね。ここまでは。
ナオ:はは。これは、サンタが焼酎に沈んでるんですか?
パリ:はい。よく洗ったサンタの置物をラベルをむいた焼酎に。で、スティックシュガーを1本入れてスノードームにしてみました。砂糖なら、あとで甘めのレモンサワーにでもして飲めるし。
ナオ:すごいな! 実験精神がすごい。新進気鋭の酒カメラマンですよ。
パリ:はは。酒しか撮らない。ただ、サンタが固定されてるわけじゃないので、すぐ転んだりして、そうこうしてる間に砂糖が割と早めに溶けちゃって、なんとか撮れた採用カットがこれですね。
古賀:サンタの絶妙な角度!
パリ:酒サンタ。赤鼻のサンタ。
ナオ:トナカイじゃなくね。屈折によっていい顔になってるなー。
古賀:ボトルの形で酒のアイデンティティ保たれてるのもすごい。
ナオ:華やいだ町の酔っ払いサンタって感じ。
パリ:すっかり砂糖が溶けてしまってるのが心残りなポイントですが。
ナオ:私のほうは、確かにクリスマスのイメージが使えるのでそれは楽だと思ったんですが、雪の感じも欲しかったかったんですよ。
パリ:なるほど。妥協せず。
ナオ:それで100均で白い綿売ってないかなと思ったんだけど、探せなくて。もう、見せよう。
パリ:わはは!
古賀:激落ちくん!
ナオ:激落ちくんです。これが雪に見えないかと思ったんだけど、見えないもんだね。
古賀:こちらも実験精神すごいですよ。
パリ:渋谷の夜の街で、はしゃぎすぎて発泡スチロールの山にぶつかっちゃった感じ。どっちもタイトルが「酔っぱらいサンタ」。
ナオ:ははは。
古賀:確かに……またもゴミの呪縛が。
ナオ:ゴミがついてまわる! 本来汚れを落とすアイテムだというのに。けっこうもう、ここでなんだかわかんなくなってきてしまって。
パリ:わははは! お腹痛い。
古賀:絶妙にブーツが履けてない。
ナオ:そうそう。酒も入らないし、途方にくれてました。
古賀:100均をコントロールできない感じ、すごくわかります。
ひょっとしてこれ、ニセ正月じゃない?「1、2月」
パリ:わかる! 例えば今だと、正月ものがまだ乏しかったり。
ナオ:そうなんですよね。とりあえず、まさにこの取材日に「鏡餅入荷しました!」って書いてあって、猛然とゲットしました。
パリ:そう、鏡餅はあった! でも使いどころが想像できなくて、ナオさん使ったなら見てみたいな。
ナオ:先に披露させてください。もうわかんないから。
ナオ:正月ってこんな感じじゃなかったですか?
パリ:違う!
古賀:こんなにも静寂な逆光がかつてありましたかね。
ナオ:ははは。
古賀:みかんがちょっとでかいのリアル!
パリ:ニセ正月。
古賀:ただ、これカレンダーだったらちょっといいですね。「この家、わかってるな」という感じがします。
パリ:うん。写真としてはいいですもんね。「あ、これ相当探し回ったな」っていう。
ナオ:大事な最初の1枚がいきなり謎写真ですからね。ちなみに、瓶、左かなー、いや、餅が左? みたいな感じで、入れ替え続けて時間が経っていって、混乱してきた時期の作品です。
古賀:鏡餅の影がきりっとしてて、謎なわりにドヤりがありますね。
ナオ:これさえあればいいんだろ的な。パリッコさんのはどうですか?
パリ:鏡餅はうまく使える自信がなかったんですよ。そこで、あ! と思いつき、おもちゃコーナーへ行ったら、コマとお手玉があって。
ナオ:おお、いいぞいいぞ。
古賀:なるほど!
パリ:で、店を出たら目の前に、昼からやってる飲み屋があって、深く考えもせず飛び込みまして。
古賀:ええっ! でもすごい! 完全に正月来てるじゃないですか。
ナオ:来てる来てる!
古賀:むしろ正月のほうからこっちへ歩み寄ってきた感。
ナオ:お手玉とコマだったんだー。
古賀:鏡餅じゃなかった!
ナオ:やられたー。
古賀:ビールがまたうまそうなんだこれ。
ナオ:ね。ここでビールなのは、ルール上ですか? 日本酒だったらさらに正月だったのかな。
パリ:そうそう。撮影する酒リストになかったから。というか、まず一杯ハイボールを飲んで、料理がきてからビールを頼むという見えない努力をしてます。
ナオ:そうかそうか……いや、努力かな?
古賀:わたしも今、努力? と思ってしまったな。
パリ: 楽しい努力。
ナオ:ははは。さっきの「そうかそうか」を返してほしい。
パリ:あ、本当の努力としては、諸々届いて、大将に「写真とってもいいですか?」って確認して、「どうぞ」って言ってもらって、おもむろにおもちゃを取り出すという。その、勇気?
ナオ:ははは。
パリ:「なんだこの客?」
ナオ:「変だなー嫌だなー」っていう。
パリ:「料理がメインじゃねぇの?」。そんな1枚です。
ナオ:しかしよくみると、確かに正月っぽいんだけど、なんかところどころに変さがある。
パリ:そう。あのね、本当は1200円くらいする刺し盛りを頼みたかったんだけど、これからいざ1年分のカレンダーを撮影しようってタイミングでのんきに豪遊してる場合でもないしと、390円の「姫サザエの刺身」にしちゃったんです。それでちょっと不気味さが出てしまった。
ナオ:人によっては「ひょっとしてこれ、ニセ正月じゃない?」と気づく。
パリ:ははは。正月気分で飲んでて、酔いが覚めたときに「は! まだ正月じゃなかった!」っていう。
ナオ:コップも下げられ、目の前にサザエの刺身だけがあって。でも私のより何倍も正月です。
古賀:そもそも「ニセ正月」ってそんなないですからね……。
パリ:はは。デイリーポータルZにだけある概念。
引きの絵が悲しい「3、4月」
古賀:工夫でなんとかするの、ここからどんどん加速するわけですよね。
ナオ:「3、4月」なんかもう、息も絶え絶えですよ。
パリ:苦しいよ〜ここ。
ナオ:100均センスが問われる。その結果、
パリ:うわー! 文字使った!
ナオ:はは。そうそう、もう字でいきました。
古賀:わたし、昔演劇のワークショップに出たことがあって、その時に「こわがってください」って言われて「こわいよ~」って言ったら怒られましたよ。
パリ:わはは。
ナオ:それだ。
パリ:それだもん。
パリ:そう! 引きの絵が悲しいんですよね。カレンダー撮影あるある。
古賀:ない「あるある」が蓄積されていく。
パリ:よく見ると影も長いしなー。秋の日暮れの早さに追いつめられてる。
ナオ:ちなみにここで、焼酎ハイボールさんがクランクアップだったんで、
パリ:はは。楽しい苦労。僕はとりあえず、空が晴れてたので、芝生だろうと。芝生に行けばそれらしい絵が撮れるだろうと考えました。
ナオ:うんうん。
パリ:ただ、散々ポイント探したんだけど、
ナオ:わかる。秋が映りこんでくる。
古賀:あ~~! うしろに。これは苦労しますね。
パリ:ただ、100均で唯一売ってた黄色い造花「小菊」を持ってたので、
パリ:撮れたベストショットが、これです。
古賀:あっ! これは春なのでは。
ナオ:手前の花を寄せてぼかしたことにより、一面の菜の花みたいに。上の写真が引きのショットってことですよね? まさかこれがこうできるとは。
パリ:そうです。ただ、よく見ると紅葉が隠しきれてないので、薄目で見てほしいんですけどね。
ナオ:いやでも、焼酎ハイボールのレモンとの色合わせポイントもつきますよこれは。主にそっちに目がいくから。しかも、350mlじゃなく500mlにしてるところが、本当に酒が好きなんだなーという。
パリ:はは。350にすればもっと空が写るのに。
古賀:ああ! そうですよね。でもあえて500。コンビニ行ったときに友達が500を選ぶとめっちゃ嬉しくないですか?
ナオ:はは。わかる!
パリ:わかる! お、ノッてるな? って。
古賀:カレンダーで2か月500缶が見られるのは嬉しいかもですね。
ナオ:確かに。
パリ:心が豊かになる感じ。
古賀:豊かさは量に宿りますからね。
空に向かって酒を投げ続けた「5、6月」
ナオ:いよいよ大詰めの「5、6月」ですが。
パリ:いちばん苦労した! 5、6月ってなんだっけ? って。
古賀:とりとめないですね、5、6月。
ナオ:ねー。新緑って感じもするし。普通のカレンダーを参照したくなりました。
パリ:カレンダー業界でも「6月は鬼門」とか言われてそうですね。
ナオ:逆に6月でうまくやれるやつは何やっても大丈夫。
パリ:6月撮れたら一人前。どう乗り越えました?
ナオ:もうだから、傘ですよね。ただね、これ幸運にも、私が普段リュックに入れてる傘がこの通り、キンミヤブルーなんです。
パリ:雨やどりだ。
古賀:かわいい。
ナオ:ただ、水道までいって傘と瓶を濡らしたんだけど、撥水性がよくて、持ってきたらもう乾いてるの。この傘すごいな、と思った瞬間でした。
古賀:メーカーが良かれと思ってほどこした撥水加工が裏目に!
パリ:スノードームの砂糖が溶ける苦労を思いだした。
ナオ:そうそう。だから本当は、じょうろで上から雨を降らせたりしたかったです。助手がいればよー。
パリ:だからカメラアシスタントって職業があるのか。
ナオ:意味がわかりましたよ。
パリ:「おい、濡らせ」
古賀:はは。なんで高圧的なんですか!
パリ:弟子なので。「バカ野郎濡らしすぎだよ!」。
ナオ:酒撮ってるだけの師匠、やだなー。
パリ:ただ、そのあと無言で酒を指差し、「お前も1枚、6月撮ってみろ」。
古賀:師匠!
ナオ:任せてくれた! っていうかたぶん、本当は6月の写真は6月に撮りますよね?
パリ:そう! みんな1年かけてカレンダー撮ってるんだなっていう、当たり前のことに気づかされた。
ナオ:ちゃんとあじさいの綺麗な時に行ってるんだなって。だから、もしプロのカメラマンが「明日1年分のカレンダー撮ってきて」って言われたらどうするのか知りたいですよね。
パリ: 「大事な取引先の社長がどうしてもって言ってるんだよ」って。
ナオ:どうやって切り抜けるんだろう。割と激落ちくんを上手に使ってたりして。
パリ:片手でぱぱっと崩して、レンズの前にパラパラー。
ナオ:師匠!
パリ:僕は逆にもう、あえて5、6月の虚無感を抽象的に表現してやれと思って、一度はこれに決めたんです。
ナオ:シュール期の作品だ。
古賀:でも、アスファルトがちょっとやってる感出してますよ。
パリ:ね。あと、フェンスの影。
古賀:そうそう! カラオケ屋のビデオの世界観だ。
パリ:よく見るとけっこう鬱陶しいんですよ。こんなに素材少ないのに、うるさい写真。
ナオ:いや、でもなんか、新入社員が会社というものに向き合ってる感じにも見えますよ。
古賀:5月病!
ナオ:それを表現したともとれる作品だ。
古賀:つらいけど頑張ろうという1枚。
パリ:はは。こっちでもいい気がしてきたな。ただ、このあと秋を探しに公園に行ったんですが、そしたら、まだ紅葉していない、そこだけ切り取れば新緑に見えなくもない何本かの木々があったので、新緑でいこう! と思い直し、
パリ:でもこれじゃあおもしろくないな〜と。これならさっきのほうがいいでしょう。
ナオ:確かに。
パリ:で、
古賀:投げた!
ナオ:躍動しだした。
古賀:アメリカの大学の卒業式。
ナオ:はは。
パリ:酒大学卒業式。ただね、プロ酒カメラマンじゃないから、とにかくこれが、理想の絵が撮れないんですわ。
ナオ:助手が必要だ!
パリ:切実にそう思いました。
ナオ:というか、空に向かって酒を投げ続けてるわけですよね?
パリ:はい。左手で投げて右手で撮って。
ナオ:これはこわい。
パリ:完全なる不審者。
ナオ:パリッコさんだと知ってても声かけないシーン。
ナオ:難しいんだなー酒を投げて撮るって。
パリ:そうなんす。それでも、シャッターを押してる間だけ高速で写真が撮られ続ける「連写機能」がカメラにあることに気がつき。
パリ: 300枚以上は酒投げ写真を撮って、一応ベストがこれでした。
古賀:これめちゃめちゃ良くないですか!
ナオ:不思議な浮遊感がある
古賀:「元気をもらう写真」ってこういうことでは?
パリ:はは。
ナオ:スコーンと抜けた感じで、さっきの新入社員がなんか役割見いだしたみたいな。
古賀:おれはこれで行く!
パリ:あ、抜け感でいうと、ただおもしろくなってきて撮った青空バックのもあって。
ナオ:これは辞めましたね。
古賀:投げて落ちてくるところというより、完全に飛んでいってますねこれは。
パリ:まさに「あいつ飛んだぞ!」っていう。ある日突然。
古賀:それにしても、「酒を投げて撮るとおもしろい」ということがわかってしまった。大スクープですよ。
ナオ:はは。本当ですね。
パリ:それでまた別記事いける。
ナオ:飛んでる酒を撮るコンテスト。
古賀:やろう。
パリ:酒人間コンテスト。
古賀:酒人間。それは単に我々のことでは。
ナオ:大事な「鳥」のとこ変えちゃってね。いや、奇才です。酒を投げる、思いつかないわ。
パリ:再来年のカレンダーはちゃんと1年かけて撮っていきたいですね。入道雲バック。雪バック。
ナオ:うんうん。絶対欲しい! またこのプラカップ焼酎が、投げても傷つきませんし、最高ですね。
古賀:完璧だ。
パリ:そうね。まぁ、
ナオ:傷ついたなー。
パリ:でもぜんぜん飲めるので。ちょっとかわいそうだけど、そのぶん愛着が増します。「おつかれ、俺」じゃなく、「おつかれ、酒」つって飲む。
古賀:飛びまくりましたからね、酒。
パリ:ていうかもしかしたら、空を飛んだプラカップ焼酎って、こいつが世界初の可能性ある?
ナオ:宇宙に行った犬感覚の。
我ながらこれはすごいですよ「7、8月」
古賀:いよいよラストの7、8月。真夏ですね。
ナオ:11月に夏の写真を撮るわけだから大変だとは思いつつ、近所の川沿いに砂浜になってるところがあって、あそこに行けばなんとかなるんじゃないかと思っていたんです。
パリ: はは。 同じこと考えてる予感。
パリ:あらー! いい場所ですねー!
古賀:砂浜だ。
ナオ:いつもビーチバレーの練習してる人がいます。年中夏みたいな。でも、思ったよりやっぱり、
パリ:はは。また! 沖縄って書いてる!
ナオ:文字頼りシリーズ。
パリ:でも確かに、これはニセ沖縄になってしまいますね。
パリ:秋だなぁ。
パリ:あ! ほんとだ。
古賀:確かにこれはなるほどの寄り。
パリ:わはは! これもはたから見るとこわいですよー。
ナオ:砂浜でオリオンビールあればいけると思ってただけに苦戦しました。
パリ:採用カット?
ナオ:う〜ん、決めきれないな。もうこれでいいか!
パリ:はは! 潔い。
ナオ:写さない水は。字で迫るわ。
古賀:迫りくる沖縄。
パリ:僕など、家の近所に砂浜がないから、砂場を探しましたよ。自転車で家の近所の公園をぐるぐる回って、とにかく子供がいないことが大前提。
ナオ:砂場自体がなかなか無い時代ですもんね。
古賀:入れないようになってたりしますよね。
パリ:そうなんですよ。あと、あっても屋根があったり、木の下にあったりして、影がかかってる。夏の砂浜って、そういえば影がないんですよね。
古賀:カンカンにむこうまでずーっと日向ですね、確かに。
パリ:それでもなんとか条件に合う砂場を見つけ、
パリ:100均で唯一夏っぽかった、ビーズ? なんか手芸用のをちりばめて、置いてみました。
古賀:なるほど! 貝的な意味合いでのビーズ。
パリ:ただね、ここからさらに進化した採用カット、これはすごいですよ我ながら。
古賀:あれっ! 本物の貝?
ナオ:……あ! さっきの!
パリ:そうそう。
古賀:あ~~!
パリ:さっき居酒屋で食った姫サザエの貝がら。
ナオ:はは。
古賀:伏線回収!
ナオ:これはリサイクルポイント加点。
古賀:そんなポイントあったのか。
パリ:頼んだのも貝がらに乗って出てきたのも偶然だったんですけど、食べ終わった時に「あ、使える!」って思って。
ナオ:もらえたんだ。
パリ:うん。寡黙で渋〜い感じの、いかにもな大将に、お会計しつつ「あの貝がらもらって帰ってもいいですか?」って聞いたら、「えっ? だ、だ、だ、大丈夫だけど…」って、ものすごい動揺させてしまいましたけど。
古賀:そんな客いないでしょうからね……。
パリ:動揺しながらも、さっとすすいでキッチンペーパーにくるんで袋に入れて渡してくれました。
古賀:え、優しい。
ナオ:そこまでしてくれたんだ。あ! その大将にこのカレンダーを贈ろうよ!
パリ:はは。「な〜んだ、そういうことだったのか!」。
古賀:わかってもなおこわさ続くシリーズだ。
パリ:今思えば、まずおもちゃだして写真撮ってるんだもんな。二重にこわいわ。
ナオ:2カットも協力してもらってるんだから、4ヶ月分ですよ。
パリ:ははは。かなりの依存度。
採用写真決定!
パリ:と、そんな感じで、以上です。
ナオ:ですね!
古賀:どうしましょうね!
パリ:それぞれの撮影ぶんから3枚ずつ選ぶことにしましょうか?
ナオ:うんうん。
古賀:「1、2月」と「7、8月」はパリッコさんのやつなのかな、貝つながりで。
ナオ:そうですね。
古賀:「11、12月」はナオさんのどうですか?
パリ:うん。「9、10月」もナオさんのがいいな。僕のは儀式的になってしまったので、爽やかに。
ナオ:フライング焼酎は入れたいですね。
パリ:あ、じゃあ「5、6月」は、フライング焼酎でいただいて。
古賀:「3、4月」はナオさんの、文字で迫るやつ!
パリ:決まりだ!
ナオ:ありがとうございます!
パリ:ちなみに今、僕の採用されたのを試しにひとつカレンダーにはめてみましたが、なかなかいいかもですよ。
ナオ:いいですねー!
古賀:良い!
酒の穴 2021カレンダー JPEGでご用意しておきました!
※海の日、山の日、スポーツの日は変わるかもしれません。
ナオ:どうでしたか? カレンダー作り。
パリ:楽しかったな〜。あえて1日で1年ぶん撮ることによるちょっとしたゲーム性もあって。
古賀:苦労が可笑しかったですよね。
ナオ:無理矢理な季節感がポイントですね。
古賀:100均センスの大切さ、文字で迫る手法、アシスタントが必要とか、いろんな発見があったのもよかったです!
ナオ:学びが多かったな。来年は絶対もっとよくできる気がする。
古賀:来年は酒投げカレンダーですから。
パリ:そうだった。
ナオ:忘れずにやりましょう! あ、ちなみにパリッコさん、カレンダー、試しに青空バックパターンでも見られたりします?
パリ:もちろん!