どんどん動きづらくなる
こうしてかっこよさを求めて胸にライオンを付けたり肩を出っ張らせたりしている。次はなんだろうか。手か、足か。まだはっきりと見えていないが、要素を足そうすればきっと、より動きづらくなるであろうと思う。かっこよさとは動きづらさなのかもしれない。
かっこいいと思うロボットは概して肩が妙に出っ張っている。ショルダーアーマーの部分だ。出っ張っていることに機能的な必然性はなさそうなのだが、これこそがかっこよさの肝なのではないだろうか。
僕もショルダーアーマーを付けてかっこよくなりたい。
※この記事は2020年7月の連載をまとめたものです
まず、僕がかっこいいと思うロボットを改めて見てみよう。
どちらもかっこいい。カラーリングなどいろいろとかっこいい要素がありそうだが、今回注目したいのは肩が出っ張っていることである。そう、ショルダーアーマーだ。
一般的な鎧や甲冑を思い起こしても肩は出っ張っていない。たぶん肩が出っ張っている意味はないのだろう。となればかっこいいからそうなってるとしか考えられない。
機能的でないところにおしゃれの魂は宿ると思っているが、かっこよさも同じだと思われる。
今回は自らショルダーアーマーを身につけることによってかっこよさを得たいと目論んでいる。過去に胸にライオンをつけてかっこよくなった筆者であるが、かっこよさはもっとシンプルなところにあったのだ。
ネットで検索したところ出っ張ったショルダーアーマー屋はなさそうだった。となると、工作することになりそうなのでかんたんに絵を描いてみる。
描いてみて思ったが、そういえばドラゴンクエストIの勇者や、ドラゴンボールのベジータもこういうショルダーアーマーを付けていた。たぶんかっこいいからだろう。僕もその道を進みたい。
そうと決まればまずは材料の買い出しである。
材料を買いにやってきたのは近所のダイソー。ある程度の品物はここで手に入ると踏んでいる。
材料を迷っているのは工作にあたってきちんとした設計図は描いていないからだ。なので店のラインナップを見ながら頭の中で何パターンか作り方を考えて、材料を買っていく。
したがってどうなるかというと……、
パネル、発泡スチロールの板、ボール紙をそれぞれふたつずつ買ってきた。あとはテープ。完成形とサイズ感がわからなくて必要以上に買ってしまったという愚鈍なありさまである。
しかしこれで作れないということはないだろう。「安心」を買ったのである。
考えた結果、一番頑丈で大きく作れそうな「発泡スチロールの板」を素材として選んだ。失敗したら他のを使おう。
単純な構造にしたので、どんどん出来上がっていく。設計図はないので寸法や接着方法はすべてその場のグルーヴで決めている。この工作は、ジャズだ。
こうして出来上がったショルダーアーマーがこちらだ。ちょっと大きめの仕上がりになっている。
どうだろうか。かっこいいか以前に、傘からはみ出てるのがトトロっぽいなと思う。
大きいほうがいいだろうと思って作ってみたのだが、すこし大きすぎる気もする。オーバーサイズが流行りだからこれでもいいだろうか。
しかしこう大きいと、なんか広告を入れたくなってくる。
地球を守る正義のスーパーロボット。誰もが注目するその姿の肩の部分にこんな白い平面があったら絶対広告を入れたいはずである。レッドブルとか。
一方で、アニメや特撮のロボットはおもちゃとして商品化されたりもするので、マネタイズの構造上広告を入れるわけにはいかないという話もある。……何がより現実的なのかわからなくなってきたので広告の話は一旦置いておこう。
続いてショルダーアーマーのある生活、そのメリットとデメリットをお伝えしたい。
まずはじめに、というか唯一のメリットはカッコいいところである。
こうして見るとショルダーアーマーだけだと大きすぎてバランスが悪かったが、胸に以前作ったライオンがいることで均衡が取れた気がする。自分の物持ちの良さに感謝である。
肩が出っ張っていることのメリット、それはかっこいいことだ。
一方肩が出っ張っていることのデメリットをひとことで言うと、「邪魔」。これに尽きると思う。
たとえばかくれんぼをした場合である。
ショルダーアーマーの先まで身体性が宿ってないためこうした「はみ出し」が起こってしまう。かくれんぼならまだいいが、駅のホームなどではみ出していると危ない。あと混雑した電車にこんなやつが乗ってきたらシンプルに迷惑である。
また、日常のささいな動作においてもその飛び出した肩は邪魔である。
四十肩になったような、繊細な肩の動きを要求されるのがショルダーアーマーのデメリットである。
強そうで弱い。ひとことで言うとそのアンビバレンスがショルダーアーマーなのではないだろうか。
こうしてかっこよさを求めて胸にライオンを付けたり肩を出っ張らせたりしている。次はなんだろうか。手か、足か。まだはっきりと見えていないが、要素を足そうすればきっと、より動きづらくなるであろうと思う。かっこよさとは動きづらさなのかもしれない。
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