「実物大」という説得力
自分の過去の記事、『有名人と同じ高さの棒で身近に感じられる』を思い出した。有名人の身長と同じ高さの棒を用意したら、本人がそばにいるような感覚を抱けたのだ。
“実物大”というのは思いのほか強い説得力を持つ。ならばそれを絵画にも応用してみよう。
え?モナリザが?中野に?
な~に、簡単なことだ。世界中の名画と同じ大きさの白紙を用意するだけ。それを林編集長、べつやくさん、橋田さんと共に観賞していく。まずはルーブル美術館で、いや、世界で一番有名な絵画といっても過言ではない『モナ・リザ』だろう。
「これがモナリザか~!」。思わず声が漏れた。モナリザじゃなくて白紙なのに。ルーブルじゃなくて中野の貸しスタジオなのに。
棒の時と同じく、冗談抜きで何かオーラを感じる。実物大、やっぱり凄い。
「意外に大きい」「いや、小さい」。実際に見た人から両極端の意見を聞くモナリザだが、私は小さいと思った。一方、林編集長は大きく感じたようだ。こういう体感こそ実際に見てみることの醍醐味だろう。
ブラウザ上で見るDPZ読者の皆様に、この“体感”を伝えるにはどうしたら良いだろう?とりあえずA4サイズの紙を横に貼ってみた。
A4の紙のおかげでモナリザのサイズ感、完璧に伝わったと思う。凄さが理解できたら、皆さんも今すぐ紙を切って実際にやってみて欲しい。
どんどん名画を召喚する
実物大の白紙、これはもうどこでもドアだ。中野が世界中の美術館と繋がる。「北のモナリザ」と称されるフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』も並べてみよう。
真珠の耳飾りの少女
モナリザも『真珠の耳飾りの少女』も、それぞれの所蔵館から貸し出されることは殆どないのに。「ルーブルには一生縁がない」なんていじけていた私はどこ?これは夢?
モナリザの横に並べてみたい作品がもう一枚あった。
おお…。東西を代表する微笑絵画が遂に並んだ。本来ならありえない並びで作品を観賞できるのも、実物大白紙の利点だ。
デンマークのハマスホイという画家の作品も見てみたい。2020年、『ハマスホイとデンマーク絵画』という展覧会を楽しみにしていたのだが、新型コロナウイルスの影響で見に行く前に閉幕してしまったのである。
あの日の悲しみを思い出しながら、私は実物大の紙を壁に貼った。そして息を飲んだ。
実物大、どんなもんだい。
実物大なら絵画との距離が近い
モナリザと真珠の耳飾りの少女を並べた時はもう興奮してしまい、「全員で微笑を浮かべて下さい!」とお願いした。
当たり前だが、こんなことは実物の所蔵館では絶対にできない。
しかし、実物大なら作品との距離が物理的にも精神的にも近い。
実物大。「ある意味、観賞体験としては実物を超えた」というのは言い過ぎだろうか?梯子を外すようだが、私は言い過ぎだと思う。