特集 2024年5月6日

短くなった竹ぼうきを長くする

物を分解するのが好きだ。シャーペンは分解のしやすさとパーツ数で選ぶし、この間折りたたみのベッドをバラしたときなどはすこぶる興奮した。

昔は身近な電子機器をバラして遊んでいたが、いまの自分にもっとも身近で分解しがいがありそうなのは竹ぼうきである。簡単そうではあるがいまいち構造が分からないところもそそられる。

ほうきをバラして組み直してみよう。
 

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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竹ぼうきは短くなる

神社で仕事をしているので竹ぼうきが身近な仕事道具としてある。月に50時間近く握っているし、ほうきの振り過ぎで腕の筋肉が発達してきたくらいだ。格闘漫画の修行みたいな話である。

毎朝2時間ほど竹ぼうきで掃除をする

竹ぼうきにはけっこう個体差がある。同じ種類のものでも穂の付き方や柄の太さ重さが違ったりするのだ。また、使い続けていると自分の掃き癖にあわせて穂先が整ってきて「成長」するところもおもしろい。

僕はこだわりがあるほうなので、職場では自費で買ったプライベート箒を主に使っている。これで業務効率と気分がまったく変わってくる。

なにがなんでも他人に使わせたくないので「窪田」と9つ入れてる

されど物の命に限りあり。竹ぼうきは使っていると穂先が折れてどんどん短くなっていくのだ。
はじめはシャッシャと優しく地面を撫でるように掃除ができていたのに、柔らかい部分が折れてなくなった後は開墾でもしてんのかと思うくらい粗暴な掃きあとになるのである。

比較のために同じ種類の新品を買ってきた。上は半年くらい使っているもの。穂の長さが倍くらいちがう

使ってない穂の部分をくりだす

今回、竹ぼうきを分解して楽しむことはもちろんだが、工夫して組み直すことで穂の部分をもっと有効に使えるようにしたいのだ。

穂のこの部分なんもしてなさそう

 柄は小指の先くらいまであるので、穂をもうちょっと棒先にズラして取り付ければ可動域が復活するはずなのだ。それがやりたい。なんでって、柄の握り心地を気に入っているから新品に替えたくないのである。この箒は僕にとってサトシのケンタロスくらい大事なもんだと思ってほしい。

こう握ったとき凹みに親指がフィットするのがいい。これがなかなかない。

まずはほうきをバラす

ほうきの分解である。以前当サイトの記事で笛にしたり鉄砲にしたりするために加工したことはあるが、穂をバラしたことはないのでわくわくする。

針金みたいなもので巻いてある
とっかかりがあった

ゴールデンウィークの中日、くもり空の下ひとりでほうきを分解せんとする。喧騒の一部になるより幾分か有意義な過ごし方だと思う。そう思い込む。風が強い。 

「風が強い」という企画に変えたいくらいの風量
取れた
うれしい

楽しい。分解は僕が思い通りにできる数少ないことのうちのひとつである。

いつになったら生活がままなるのか。このまえ郵便受けに手紙が入っていて、開いてみたら「家賃がここ数年ずっと一月遅れで振り込まれています。契約通りに入金してください。」というような内容だった。なんなら早めに振り込んでいる意識だったのでショックだった。どおりで大家さんがよそよそしいわけだ。

ままなりたいよな。

いったん広告です
紐が交差して組んであるんだな~とか確認しつつ
モソモソとやって
とれた

やってみて思ったが、そりゃそうだろうという構造である。基本的には枝が柄に針金でくくりつけてあるだけだ。 

これは……
ロックバスターだ

いい調子である。竹ぼうきは電子機器とちがってなにをどう間違えても爆発しないのがいい。爆発しないのが美徳。そういえば、爆弾が通う学校では不発弾は劣等生扱いなのでしょうか。

納豆作ってるみたい

作業を続けること数十分。ついに大いなる偉業は成し遂げられた。 

ヤッター!

ついにほうきをバラせた。分解はこの征服感がたまらない。生殺与奪の権を握って優位に立つ高揚感。権力。指先一つでどうとでもできるという愉悦。世が世なら貴族の遊びになっていてもおかしくはない。 

いい旅神気分

バラした枝の座り心地はよかった。

⏩ いよいよほうきが長くなる!

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