特集 2019年8月8日

ことでん(高松琴平電気鉄道)の琴を作った

読んで字のごとくでございます。

香川県に「ことでん」という鉄道会社がある。正式名は、高松琴平電気鉄道。高松とこんぴらさんなどを結ぶ、風光明媚な路線だ。

そのあたりの説明はすっ飛ばし、ことでん というからには、「琴」を作ってみたいと思ったのだ。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

前の記事:コケでこけしを作って「コケし」

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初めて楽器を作ったかもしれない、それがこれ

ことでんの「琴」とは、元をたどれば琴平山だとか、琴平っていうのがそもそも梵語のクンビーラから金毘羅権現(こんぴらごんげん)が来ているとか、掘れば掘るほど由来がよくわからない。よって、私がことでんっぽい琴を作ってもいいはずだ。

だが「琴を作るぞ!」と一生に一度あるかないかの決心をしたものの、琴ってどうやって作るんだろう。

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念の為、これが本物の琴です。(撮影:Blacklagoon

とにかく板を買ってきた。板を切って切って、貼って貼って、とにかく電車箱を作ってみるか。

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これが本物。この色で作ってみたいと思います。(撮影:栗原 岳

 

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板をとにかく切断していく。ホムセンで切断すればよかったのだが、なんとなく持って帰ってしまった。のちのち激しく後悔したぞ。

 

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ホムセンで切断していれば、ヤスリの労力は数分の1だったものを…
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ずっとうちにあったコーナークランプがやっと役に立つ時がきた。接着中。

 

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隙間を木工パテで埋める。これもホムセンで切断していれば…(以下略)

 

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角をカンナで削る。よくこんなもんがうちにあるなと、我ながら感心する。
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間隔を見積もって、8本の琴糸をかけることにした。ドレミファソラシドくらいはできそうだ。琴でドレミファて。

ここまでで何日かかけてしまった。横65cmもある木製のものは、自宅ではなかなか時間がかかるものなのだった。

しかも、こういうときに限って、1点どうしても気になってきたことがある。

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もっと、上部がかまぼこ状になってたら、電車っぽいよな…

皆さん、いったい「琴」と「電車」の中間地点って、どこなんですかね。私はその着地点を探し当てるのに、相当うろうろしました。

でもここはひとまず、かまぼこ状への苦労をいとわずやってみますか。

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ノミまで動員。すっごく怪我しそう。
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ほとんど変わってない…

木工をあなどってはいけない。過去にもこういう木工品を作ったことがあるのに、すっかり忘れていた。電動工具と、木屑がじゃんじゃん飛び散っていい場所がないと、満足いくまで木を彫り込めないのだ。

よって、フォルムはあきらめた。彩色とギミックでなんとかしようと思う。

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やはりこんぴらさん参りの主力線・琴平線の黄色に仕上げる。型式は1200形をイメージだ。

 

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本物の琴のとおりにはいかないが、なんとか糸を取り付けるための穴を開ける。

さて、ここからが「ことでん琴」の肝になるところである。琴柱(=琴糸の調子を調節する構造物)、これを電車らしく「パンタグラフ」型にしたい。さてどうやって作るか。今までなら木材とかプラ板とか切り出して1個1個作っていたが、今日から俺は!3Dプリンタで作るのだ!

ライター松本さんが買ったプリンタがものすごく良さそうなので、そのまんま「ここの、これ、ください!」とばかりに買ってしまったのだ。

とはいえ3Dモデリングソフトも超初心者なので、超簡単な造形に落とし込んでデータを作る。

紆余曲折を経て、出てきたものは…

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ででんでんででん♫(ここで必ずターミネーターが再生されてしまうんだ私は)
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ぬらり、パンタグラフ。

引き上げたばかりのときは液体が覆っているので香港名物亀ゼリーみたいだが、数時間待つだけで8個のパンタグラフが勝手にできてるなんて夢みたい!

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ちゃんと琴糸のずれないように入れた切り込みもできている。感動しかない。
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これはと、調子に乗って半円形の物体もわざわざ出力。半円形のものをホムセンで探すのも面倒でね…

 あとは琴糸だが、調べたら強力なテトロン糸というものを使うらしく、けっこうなお値段がする。代わりになる化繊の糸ということで釣具屋など回ってもいまいちピンと来ず(というか物量の多さにひるんで帰ってきた)。ええい、と近所の手芸用品店に行ったら、ナイロンコートワイヤーというそれっぽいものが売っていた。見た目と感触は、ギターの弦みたいだ。これが代用できるのではないだろうか。

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で、それをネジで無理やり固定するのである。

いちおうは形になった「ことでん琴」が、これだ!

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こと!でん!
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木工に力傾けすぎて、他のディテールは彩色でほぼごまかす形になってしまったが。
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ここ、琴っぽくない?!若干アールを持たせてある。琴と電車の中間点がまさにこれだ。
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琴でいう「竜手」「竜趾(りゅうし)」代わりの車輪でございます。

見た目はおいといて、なんといっても「琴」を名乗るからには、楽器として弾けねばなるまい。

弾いてみました。

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お琴らしく和装で(※犬は関係ありません)。
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ネジ締めてなんとか調律をする。
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では参ります。

 

 

犬が離れていかないので、鼻息とともにお送りしました。

素人の三味線みたいな演奏になってしまったが、音階は再現できた。非常に狭い音域だが。

以上、本物の電車だったら感電必死な「ことでん琴」でした。


まとめ

糸の調律は、やはり素人には大変だった。つい「こと!こと!」と勢いで作ってしまったが、もっとちゃんと作って、こんぴらふねふね〜を壮麗に弾きこなしたい。

【告知】

1)さてこの「ことでん琴」、実は高松・仏生山で行われた「第2回・また、つまらぬ物を作ってしまった」というトークイベントでのテーマ工作だったのだが(テーマが「ことでん」ね)、瀬戸内芸術祭に合わせてこんな展示があるので、そこで実際に見ることができます。

こと芸
期間 2019年8月23日~9月23日 *8/26、9/2,9,17,19休業
営業時間 12:00~18:00
会場 TOYTOYTOY (香川県高松市仏生山町甲455-2)
http://www.toytoytoy.jp/
協力:高松琴平電気鉄道株式会社

「TOYTOYTOYと縁ある個性豊かな作家さん達がことでん芸術祭(略してこと芸)に相応しい、「ことでん」をテーマにした作品を発表します。
ことでんがアーティストに自由な創作の機会を与えてくれることで生まれる作品を楽しみましょう!」とのことです。

2)個展、調布は柴崎駅の「手紙舎2nd STORY」にていよいよ8月21日から!まだまだ準備中!

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