光造形の3Dプリンターはとても良い
要するに、光造形最高かよという話です。とても買って1ヶ月の素人が作ったとは思えないクォリティのものが造形されます。もう、笑う。なんなの、これ。
フィラメント積層型の3Dプリンターも楽しいけど、光造形は3倍くらい楽しいのでみんな買おう。
光造形は伊達じゃない!
ファミレスのレシートを入れておく、なんか透明なちっちゃい筒があるじゃないですか。あれ、改めて見るととてもよく出来ています。
厚みのあるアクリルで、超透明。表面滑らか。あんなにちゃんとした物で視界にも入ってるのに、見えてない。寸法とか厚みとか知ってますか?ちゃんと見たことありますか?
そういう物をちゃんと見ていきたい。なので、作ってみることにしました。お得意の3Dプリンターで。
『紙兎ロペ』というアニメがあります。紙で出来てる兎のロペとリスのアキラ先輩の会話が面白いアニメなんですが、その中で『ファミレスのレシートとか入れておくなんか透明なちっちゃい筒』の話が出てきます。
筒の話は1:29くらいから。
数年前に動画を見て以来『ファミレスのレシートとか入れておくなんか透明なちっちゃい筒』が気になっていました。
これです。
名前が長くて打つのも読むのも大変ですね。正式名称を調べたら『伝票立て』という名前なのだそうな。なるほど、意識したことなかったけどストレートな名前ですな。
店によって形が違っていたりします。下の写真はデニーズの伝票立て。
ガストとデニーズのサンプル数1なので全店で同じ伝票立てを使ってるかは分かりませんが、とりあえずガストは低め、デニーズは高めとしておきましょう。
実際にどのくらいの寸法なのか、お店に行って測ってみました。測る際に部位に名前がついていないと不便なので無理やり名前を付けます。命名は大事。
筒の外径と内径、衿と喉の高さを測れば形が決まります。
ガストの伝票立ては、外径55mm、内径49mm、衿の高さ70mm、喉の高さ50mmでした。
デニーズの伝票立ては、外径50mm、内径44mm、衿の高さ74.5mm、喉の高さ42mmでした。
やはりガストのよりスレンダーですね。
寸法が分かれば作るのは簡単です。3DCADを使えば5分で形になります。
はい。
ガストのとデニーズのを作って、プリンター付属のスライサー(CADで作ったデータをプリンター用のデータに変換するソフト)に読みませます。
で、フィラメントを熱する温度とか造形速度とかを設定する。
材料は『フィラメント』という、樹脂を針金状にして巻いたもの。これを熱したノズルから細く出して積層していきます。
フィラメントを使う3Dプリンターは『ステージ』と呼ばれる土台に、モデルの下から積層していって物を作ります。
大体3時間半くらい待ったら完成。
分かってたけど、白い。到底『ファミレスのレシートとか入れておくなんか透明なちっちゃい筒』ではありませんね。 ホワイトベース(ガンダムに出てくる宇宙船)より白い。
道路で轢かれてた長ネギの白いとこより白い。
レシートを入れてみたけど、レシートの紙よりも白い。
フィラメントを使うタイプの3Dプリンターでは透明な筒を作れない事がわかったので(というか判ってた)、違うタイプの3Dプリンターを導入しました。
光造形です。
光造形の場合は、底に透明なフィルムを張った『バット』に紫外線で固まる『UVレジン』という樹脂を入れて、下から紫外線を当てて造形していきます。
造形物はステージにくっついて、コウモリの様に天井からぶら下がって育っていきます。スライスされたデータを一層一層重ねていく原理は同じです。
下から見上げるとこんな感じ。これは何を作ったのかと言うと、鼻笛です。
ちょっと違う色ですが、後処理をすると下の写真みたいな鼻笛になります。フィラメント式より圧倒的にキレイなものが作れます。 初めて作った時はジーンと感動しました。
伝票立てを光造形していきます。
見せてもらおうか、光造形の3Dプリンターの性能とやらを!
自分で印刷指示を出しておいてなんですが、実際に光造形で出来上がってみると笑いました。なにこれ強すぎる。
光造形の場合、造形してそのままではレジンがベタベタしてたり色々問題があるので後処理をします。
ステージから外したらイソプロピルアルコール(IPA、飲めないアルコール)で洗浄します。
未硬化のレジンが残っていると、このあとの処理で変なとこが固まってしまうのでよく洗います。
洗ったらUVランプで2次硬化。
はい、こんな感じになりました。
2次硬化させたら磨き。400、1000、1500番のサンドペーパーで磨いていきます。
面倒くさいって思うじゃん?でも造形物のキレイさがすべてを贖うので、慣れれば面倒ではなくなります。 むしろ楽しい。
濡れた状態だと透明感がありますが、乾くとすりガラスみたいになります。
コンパウンド(細かい粒子のペースト)を使って更に磨き、鏡面仕上げにしてもいいのですが、スプレーを掛けて透明にするのが簡単です。
UVカットの透明光沢スプレーを使います。
はい、出来ました。
認めたくないものだな、自分自身の塗装の未熟さ故の過ちと言うものを。
レシートを入れてみました。
ああー、良いですね。思ってた以上に良い感じです。家でこれが出来るなんて、ニヤニヤしてしまいます。
こっちはデニーズのやつ。
変色で色がくすんでしまって残念感があるので、最初から赤いレジンで色付きの伝票立てを作ってみました。
え、ザク?
で、出来たものと本物を比べてみました。
寸法を計って同じ様に作ったんだから同じ大きさなのは当たり前ですが、なんかこう、笑います。
料理が運ばれてきて、伝票は僕が作った方の伝票立てに刺さりました。
紛らわしいことしてすみません。
要するに、光造形最高かよという話です。とても買って1ヶ月の素人が作ったとは思えないクォリティのものが造形されます。もう、笑う。なんなの、これ。
フィラメント積層型の3Dプリンターも楽しいけど、光造形は3倍くらい楽しいのでみんな買おう。
光造形は伊達じゃない!
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