狛江においでよ!
狛江に魅力がわかっただろうか。令和も新一万円札も全て狛江と言ってもいいのだ。狛江こそが日本の中心だと言いたい。BUMP OF CHICKENの「天体観測」のPVも狛江が登場するし、ぜひ狛江で見えないものを見ようとして欲しい。
狛江という場所がある。東京都にある街で世田谷区の隣で、多摩川が流れ、その多摩川を渡れば神奈川県となる。市としては全国で2番目に小さく、狛江百塚と言われるほど多くの古墳が存在した。
東京タワー的なものがあるわけでもなく、動物園があるわけでもなく、全国的に知られる名勝があるわけではない街だけれど、素晴らしい街なのだ。ぜひ観光に訪れて欲しい。狛江は新元号にも、新一万円札にもゆかりのある場所なのだ。
狛江と言われて何を思い浮かべるだろうか。たぶん多くの方は何も浮かばないだろう。東京にあることも知らないと思われる。でも、東京に存在しているのだ。街としてはとても古く歴史ある街なのだ。
小田急線が走っており、狛江駅にはなんと準急も停まる。急行は停まらない。でも、新宿まで20分で行けてしまうのだ。最近は世界で一番美味しいコーヒーを飲める「カルディ」もオープンしたし、ダイソーとセリアもオープンした。住みやすい街なのだ。
私は狛江に住んでいる。最初は下北沢で家を探し、家賃が高く、小田急線沿いをどんどんと都心とは逆に進み、狛江に行き着いた。駅で言うと世田谷にある喜多見駅を越えると安くなり、多摩川を越えて登戸駅に行くとまた高くなる。狛江、最高というわけだ。
全国には武家屋敷が保存された場所、茅葺屋根の家々が残っている場所など、歴史を感じることができる街が多く残っているけれど、狛江はもっと古い歴史を感じられる街だ。江戸情緒が残るとか、そんなレベルの歴史ではない。
5世紀中頃から6世紀中頃、狛江には多くの古墳が作られた。約70基の古墳が作られ、古墳銀座と言ってもいいだろう。現在も10を越える古墳が現存している。古墳の中に入れるものあり、また迷路のような古墳もあり、非常に面白い。
亀塚古墳は、帆立貝形前方古墳で全長は40メートルほどあったけれど、現在は前方の一部が残るのみで、四方は家で囲まれ、非常に狭い。ただ安心して欲しい。行くと説明の書いてある看板があって、全体が残る写真を見ることもできるから。
狛江の歴史は古いのだ。平安時代中期に編纂された「和名類聚抄」にも狛江が登場する。昭和61年に朝日新聞社から出版された「東京地名考」によると、応神天皇の時代(214)に百済の国王「酒王」が人々を引き連れ渡来して狛江で生活を始めたそうだ。
江戸時代には用水路「六郷用水」が整備された。多摩川を水源とした農業用の水路だ。1960年代にはなくなり、下水道となったそうだけれど、その頃の名残を見つけることもできる。上記の「鎌倉橋」もその一つ。昔は橋だったのだ。
狛江ならではの美味しい食べ物もある。観光には食べ物は外せない。安心してください。狛江にもあります。たくさんあります。ぜひ狛江にお越しの際は食べてください。食べきれないほどあるよ。
狛江といえば、そう、枝豆だ。私が撮影に行った時期はちょうと枝豆が採れ始める時期で、枝豆がたくさん並んでいた。「狛江えだまめ紀行」というアイスもある。この日はなかったけれど、ちょうどその頃に工場に枝豆が届き絶賛作っているとのことだった。期間限定のアイスなのだ。
その季節に多摩川に行けば、鮎を釣っている人をよく目にする。塩焼きにした鮎は非常に美味しい。もちろん狛江で食べることができる。しかも、年中。それを売っているお店が「菓匠志むら」だ。
この鮎のすがた焼きはお菓子である。買うとスティック砂糖も一緒にくれる。それをふりかけると塩に見える。小豆あんを白煉切で包んだ甘いお菓子だ。すごいリアルなのだけれど、お菓子なのだ。一時期多摩川で鮎が採れなくなった時に作ったそうだ。
次は「だんごの美好」。だんごの美好はいろんなところにあるのだけれど、狛江駅前にもある。狛江に引っ越してきた日に偶然買って食べたため、私の狛江の味ということになっている。それは「わさび巻き」。団子ではないのだ。
むいから民家園には江戸時代後期の古民家が移築されている。見るだけではなく、中に入ることができるし、持ってきたものを食べることもできる。ここで食事をするのが好きで、わさび巻きを買ってここでよく食べている。ここで食べるわさび巻きが最高なのだ。
まだ新元号も渋沢栄一も出てこないな、と思っているかもしれない。そろそろ核心に迫って行こうではないか。そのためにはまず「狛江風月堂」に行かねばならない。ここに素晴らしき最中があるのだ。
狛江には万葉歌碑がある。駅からは徒歩で15分以上かかるけれど、私の家からはボルトなら20秒を切るタイムで行くことができる。この万葉歌碑は1805年に多摩川沿いに建てられたが、1829年に洪水で消失し、1924年に新碑が建てられた。
碑には「多摩川に さらす手作り さらさらに 何そこの児の ここだ愛しき」と彫られている。この歌は「万葉集」の東歌の一首。新元号「令和」の典拠となっている「万葉集」に収められた歌なのだ。つまり令和も狛江も一緒と考えてもいいのだ。
1805年に建てられた石碑は松平定信が文字を書き刻まれた。当時はなかなかに評判になったそうで、京都から来た松野松秀が感銘を受け、佐藤信古が拓本を取って、彼に送ったそうだ。
のちに石碑は洪水でなくなり、新碑を建てる際にはこの拓本が再建に大きな働きをする。そして、登場する渋沢栄一。渋沢栄一と狛江村の有志らが協力により再建するのだ。再建の総費用は5000円で渋沢栄一が2500円を寄付した。1万円ではないのだ。
渋沢栄一は新一万円札の肖像だ。狛江と新一万円札はゆかりがあるのだ。狛江こそが新一万円札と思って欲しい。新一万円札が発行され渋沢栄一を見るたびに狛江を思い出して欲しい。「狛江=一万円」と覚えて欲しいのだ。
最後は私がお勧めする狛江のポイントを紹介したい。別に上記で紹介したものが私のお勧めではないか、といえば、全部私のお勧め。さらなるお勧めを紹介しようということだ。狛江は素晴らしきポイントだらけなのだ。
多摩川の土手に2017年、ドッグランがオープンした。無料でドッグをランさせることができる。この日は犬がいなかったし、いつか行った時は犬はいたけど、その犬は一切ランせず、ずっとおりこうに座っていたけれど、素晴らしいドッグランである。
この神社の何がすごいかというと、マンションと一体化しており、狭い道を通り、詣でる点だ。拝むためには螺旋階段をのぼる必要がある。非常にオシャレとも言える。その立地を私は愛してやまないのだ。
最後は伊豆美神社を紹介したい。まず私の家からめちゃくちゃ近いという点だ。私の家に来た際にはぜひついでに行っていただきたい。伊豆美神社経由で私の家に来て、伊豆美神社経由で駅に向かい帰って欲しい。
鳥居から拝殿までの雰囲気が好きだ。高い木々が並び、雰囲気がよい。この神社も元々は多摩川沿いにあったけれど、洪水により今の場所に遷座した。もう神頼みじゃ! という時はここでいつも拝んでいる。家から近いから。
狛江に魅力がわかっただろうか。令和も新一万円札も全て狛江と言ってもいいのだ。狛江こそが日本の中心だと言いたい。BUMP OF CHICKENの「天体観測」のPVも狛江が登場するし、ぜひ狛江で見えないものを見ようとして欲しい。
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