特集 2020年9月5日

気になったことを調べて、霧が晴れて視界が開ける瞬間~こーだいさんインタビュー

月に1度、総集編として、先月人気だったライターへのインタビューと、人気記事のランキングをお送りしております。

この記事では、こーだいさんにインタビュー。
8月は「うちの近所に謎の楕円が!?100年前の地図でみつけた謎に迫る」が大好評でした。

インタビュアーは編集部・石川です。

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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明治時代に作られた京都の地図を眺めていたら、うちの近所に謎の楕円を見つけた。こんなものあったっけ? 気になって夜も眠れないから、調べてみることにした。

地図、地形、歴史ミステリー

石川:
この記事、実は8月の記事の中でかなりのヒット作でして、アクセス数で2番目でした。
そんなにウケると思ってました?

こーだい:
話が面白くなったとは思いましたけど、そこまで伸びるとは思いませんでした。
しかも京都の端の、行ったことがある人もおそらくは少ないエリアのことですからね。

石川:
確かに。「あそこか!知ってる~」みたいな読まれ方でもなかったですもんね。
単純に歴史ミステリーとしてのおもしろさですかね

こーだい:
つかみとしてはミステリー要素で引かれた人も多かったかも。
でも、地図、地形、歴史という愛好者の多い分野を横断したのも大きそうです。

石川:
あーたしかに。いろんなジャンルのファンが集結したというか。

こーだい:
それと、頂いたコメント見てると詳しい人の中には最初から楕円の正体に気づいてる人もそこそこいたんです。
そういう人には答え合わせ的な安心感をもって読んでもらえたのかもしれません。

石川:
あーなるほど。 書き手より先に気づくと、読み手は「俺は知っとるぞ」的な優越感も感じられますよね。 そこから先は「お手並み拝見といきましょうか…」で読める。 「ここまでたどり着けるかな…」っていう。

こーだい:
そのうえで、「答えわかってたけど楽しんで読めた。知らないことも書いてあったし」みたいなことを言ってくれる人が出てきてうれしかったです。

石川:
そのへんはこーだいさんの丁寧なリサーチが効いてましたね。答え出て終わりじゃなくて、という

こーだい:
いろいろなことがつながっていって調べててもおもしろかったですね。調べるのに夢中になりすぎて、記事に書く段階で関係性が薄いから削った内容もあるくらいです。

石川:
例えばどんな?

こーだい:
これは楕円があった場所で今営業している古書店の方に聞いたのですが、その付近で、楕円(溜池)がなくなったあとも大雨の際に浸水しやすいとして敬遠されていた土地があるそうなんです。池があった場所とは微妙にずれているんですけど。

石川:
はー、それは地域じゃなくて、ピンポイントでここだけっていう?

こーだい:
そうです。
今でこそマンションが建ってるんですが、昔は人家を建て辛いから養豚場かなにかがあったみたいです。

石川:
へー。
今の地図見た感じ、土地が低いってわけでもないですもんね
やっぱそういう話は残るんだ…。

こーだい:
きれいな建物が建ってて、まったくそんな感じはないんですけど、昭和の終わりころまではそんな感じだったみたいですね。

石川:
じゃあその謎も今回紐解かれたわけですね。

こーだい:
ですね。

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楕円のあったあたりには大学も。土地が低くなっているのがため池の名残か?

 

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気になったことを調べて、霧が晴れて視界が開ける瞬間

石川:
そもそもなぜ古地図見てたんですか?発端として

こーだい:
もともと地図を観たりするのは好きなんですけど、古地図を観られるアプリをみつけてスマホにダウンロードしていじってたのがきっかけです。
古地図散歩っていうアプリです。

石川:
単純に興味本位で?

こーだい:
はい。

石川:
そういうの見るとぜったいまず自分の家見ますもんね。そしたら近所に謎の丸が。
古い地図とか、歴史とか好きなんですか?

こーだい:
歴史が好きっていうほどでもないんですが、古い時代のものやお話には惹かれますね。それと、ほっといたら忘れられそうなものとか、消えてしまいそうなものを記録として残したいみたいな衝動があります。

石川:
あー。
歴史というか、記録が好き?

こーだい:
はい。あと、気になったことを調べていく過程で霧が晴れて視界が開ける瞬間が気持ちいいというか。

石川:
まさにこの記事で追体験できたものですね。
読んでて、こういうの楽しそうだなーと思いました。
今回の記事のほかに、そうやって謎が解けて気持ちの良かった調べごとってありますか?

こーだい:
えっと、大阪の吹田にある民族学博物館の展示に、パプアニューギニアで使われてたサメ漁具があるんですね。
ココナツの殻にシュロで作ったロープを通して束ねたものなんですが、展示紹介では単に「サメを取るための道具」とだけ書かれていて、これ、いったいどうやって使うんだろうと謎だったんですが……

石川:
確かに全然わかんないですね

こーだい:
これも調べたら使い方の記録がありました。
ココナツの殻どうしがぶつかるとガラガラ音が鳴るんですけど、それが水中で聞くと魚群のたてる音に似てるんだそうです。

石川:
へー!

こーだい:
道具を水面にたたきつけるようにして鳴らすと、魚群がいると勘違いしたサメが寄ってくるから、そこをこん棒で殴って捕獲すると。
ウソみたいな話です。

石川:
こん棒で(笑

こーだい:
こん棒で。

石川:
それは面白いですね。
ココナツのぶつかる音と魚群の音、似てると全然思わないですもんね。
そもそも「魚群のたてる音」っていうのが何の音なのかよくわからない。

こーだい:
ココナツの殻にサメが寄ってくるとか、ゲームのバグ技みたいです。そんなことに気づいた人がいるのがすごい。

石川:
あはは、ほんとですね。バグだ

こーだい:
シャーク・コーリングと言います。今もやってる人がいるのかはかなり危うそうですが。

こーだい:
実は映像も見つけたんです。

 

石川:
あー、すごい。やってるやってる!
サメきてるなー。
すごいですねこれは

こーだい:
使い方がわかったときはすごく感動しました。
今もやってるなら見に行きたいですね。

石川:
それはどうやってここまで行きついたのですか?

こーだい:
それはですね。まず「shark hunting」とかでひたすら検索しました。
そうしたらドイツかどこかの民俗学者が書いた、何十年も前の本に載っていて。

石川:
なるほどー。
そんな古い本の中身までネットで当たれるんですか?

こーだい:
英訳されたものが一部ネットに上がっていたので引っかかったんです。
その本が図書館に収蔵されているのを発見して、そこから紐解いていった感じです。
そしたらsharkcallerという名称や、パプアニューギニアのKontuという島の伝統だとわかって

石川:
そしてキーワードがわかったので、動画に行きつけたと。

こーだい:
使い方がわかるのも面白いですけど、映像まで出てきたらもう大興奮ですよね

石川:
しかしそんな古い本とか、古い映像まで見られるのは、アップした人がいるからですよね。

こーだい:
ですね。
書籍をアップした人と、図書館に収蔵してくれた人と、YouTubeにアップしてくれた人に感謝です。

石川:
著作権の話もあるので難しいところですが、失われそうな記録が残るという意味ではすごくありがたいですね…。

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古地図も貴重な記録

 

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カレーわらしべ長者

石川:
話は変わりますが、今後の記事の予定とか聞いてもいいですか?

こーだい:
これはいつ記事化できるかわからないんですが、カレーわらしべ長者という企画をずっと温めてまして。

石川:
ほう。

こーだい:
カレー店(できれば本場インド風のやつ)で食事して、そこの店主の一番のおすすめカレー店(自分の店以外)を教えてもらって、さらにその店に行ってみる、というのを繰り返して最高のカレー店を見つけられないかというものです。

石川:
あはは、いいですね!同業者に支持される店は間違いないですよ。
しかし、それ何でもできますね。ほかのジャンルの店でもいいし、ミュージシャンに好きなミュージシャンきくとかでもいいし

こーだい:
笑っていいとものゲストみたいですね。

石川:
確かに。笑っていいともの最後にゲストに出た人、誰だかわからないけど、その人が究極の芸能人だったかもしれないですね

こーだい:
究極の芸能人!

石川:
いま調べたら、ビートたけしさんでした
究極っぽいな!

こーだい:
あ、すごい。
やはり超大物だったんですね。

石川:
これはカレー屋もいけるかもしれませんね。

こーだい:
途中で国外に飛ばされたりしてね。

石川:
「故郷インドの店なんだけど…」

こーだい:
そういうハプニングも含めて予想つかなくておもしろいと思いました。

石川:
そうなったらインド行くしかないですね

こーだい:
いいですね、ぜひやりましょう!
途中で尻込みするとつまらないですからね。やるなら徹底したい。

石川:
ではカレーわらしべ長者に乞うご期待ということで、対談は締めさせていただきます。ありがとうございました。

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最後にカレーの画像入れときますね。(ボンカレーを手で食べると驚くほどインド味より)

 

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