ちょっと聞いてよ 2023年6月9日

木の芽(山椒の葉っぱ)はお菓子にしてもおいしい

「木の芽」として和食の飾り付けなどに使われる、山椒の若葉。小さなパックに丁重に並べられて、スーパーの薬味コーナーなどに並べられているところを目にするが、実はハーブ(というか香辛料)としてかなり優秀なのだ。きっとお菓子にしてもおいしいはず。

我が家の葉山椒を使ってパウンドケーキを焼いてみた。

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの花屋。花を売った金で酒を買っている。

前の記事:2種のチリトマトヌードルと真剣に向き合う(なぜなら、チリトマトヌードルが好きだから)

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まずは一つ謝らなければならないことがある。「木の芽」なんてつつましいタイトルを付けてしまったが、実際に我が家にある葉山椒はこれだ。

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好き放題に伸びまくり! 元〜気!

これは実を付けない、葉を鑑賞するための山椒なのだが、こうなってしまったのには理由がある。

去年の冬、うっかり1度水切れさせてしまったため、なるべく負荷をかけないよう剪定せずにいたのだ。山椒は意外にも繊細な植物で、冬以外の成長期に剪定をすると、ストレスから生育を止めてしまう。

山椒は湿潤な土を好むわりに根腐れに弱く、植え替えなんてしようものならたちまち「もう嫌で〜す」とばかりに枯れてしまうこともある。なかなか我儘な植物だ。
もう好きに伸びなさい、今年は剪定はしないからねと放置した結果がこの有様。

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意外と知られていないが、山椒の枝にはサボテンと戦えるんじゃないかというほど厳ついトゲがある。

このトゲのおかげで、伸び放題の山椒の横を通るとかなりの確率で痛い目に遭う。とはいえベランダに出すとたちまちアゲハチョウの子らに食べられてしまう(防虫ネットをかけてみたことがあるが、そのストレスで生育を止めてしまった)。いったいなんのためのトゲなのか。

流石に周囲の植物を傷つけかねないほど伸びてきたので、今回は1枝だけ刈り取って、葉っぱを料理に使おうと思う。

以前こーだいさんの記事で、ジェノベーゼにしておいしい野草のトップは山椒とあったが、実際山椒の葉はそのまま食べてもおいしい。

そもそもミカン科だし、柑橘の仲間といえば仲間なので、きっとお菓子にしてもイケるはずだ。

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そんなわけで、筆者の午後のおやつのために、1枝収穫させてもらいます。

清潔なハサミで根元から刈り取る。これだけ伸びた枝だから、1本くらいなくなっても大したストレスにならないのではないかと楽観している。人間は「腕一本くらいなくなっても気付かない」わけにはいかないから、そのあたりは植物の懐の深さだ。

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花瓶に合うよう短くしたが、それでも大きい。木の芽は成長するとこうなるのだ。

今回作ってみるのはパウンドケーキ。

レシピは若山曜子さんの『レモンのお菓子』に掲載されているレシピを参考にした。山椒を柑橘として捉えるならば、きっとレモンのお菓子とは好相性なはずだ。

書籍が売れてほしいので詳細なレシピの掲載は控えるが、やっていることとしてはレモンパウンドケーキに刻んだ山椒の葉を加えているだけなので、各自お気に入りのレシピを参照していただければ幸いである。

 

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バターとグラニュー糖をすり混ぜ、卵、小麦粉、ベーキングパウダーを加えて生地のベースを作る。バターをすり混ぜる作業のとき、毎回泡立て器の中にバターのでっかボールができて進まなくなる現象について、世の中の人たちはいったいどうしているのだろう。 ​​
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山椒の葉を流水でよく洗い、キッチンペーパーで水気を拭いて粗みじん切りにする。乾燥させた葉ならミルサーにかけて粉にしてしまうのが良いだろうが、経験上生のハーブやスパイスは刻んだ方が扱いやすい。
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さらにレモン果汁と、削ったレモンピールを加えて型に入れたらオーブンでじっくり焼く。みじん切りが粗すぎる気もするが、まあこれはこれで……。
ケーキが焼けている間にトッピングのレモン煮を作る。グラニュー糖と水、輪切りレモンを火にかけてコトコト煮るだけ。今回のレモンは国産の無農薬レモンなので、皮までおいしくいただきます。
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約40分後、ふかふかのパウンドケーキが焼きあがった。焼き菓子が壊滅的に苦手な筆者にしては上手に焼けたのではないだろうか。
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熱いうちにレモンシロップを塗り込み、型から外してレモン煮と山椒の葉を飾ったら完成。レモンと山椒のパウンドケーキ。部屋がとてもいい香りだ。
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冷めて落ち着くのが待ち切れないので、一切れだけいただきます。

しっかりと酸味があるふかふかのパウンドケーキに、山椒の葉の野趣ある風味が加わって大人の味だ。想像通り、レモンと山椒の相性は抜群にいい。

特にピリッとした辛味があったり、舌が痺れるような感じがあったりするわけでもなく、ただただ複雑な山椒の風味が加わったなあという印象。パウンドケーキ自体をかなり酸っぱくてもおいしく食べられそうなバランスである。

 

山椒の葉は、レシピを検索してみると佃煮やふりかけが多くヒットする。もちろんそれもおいしいのだが、香辛料としてとても豊かな風味があるため、今回のようにお菓子づくりに使うのもとてもおすすめ。きっと葉を乾燥させたら、また違う風味が出てくることだろう。

ご自宅に茂った山椒がある方は、ぜひ一度お試しいただきたい。

 

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