ご近所パワー
近所からいろいろなものが見えると知った。歩いていける場所は全て近所なのだ。先日は狛江から横須賀まで歩いたので、横須賀も近所と言える。近所は広いのだ。可能性は無限なのだ。意外といろいろ見えるというのも面白い。
観光というものがある。その地域の名所となる場所を見に行くというものだ。東京ならば、東京ダワーやスカイツリーなどが観光名所となる。その場所に行き、それらを見ることを観光と言うのだ。
つまり近くに行かなければならない。それは面倒だという考え方もある。近所でそれらを見ることができればいいのだけれど、基本的には行かなければならない。でも、実は近所からも観光名所は見えるのだ。
近所とはなんだろうと考える。いろいろな考え方があるが、歩いて行ける範囲を「近所」と言えばいいのではないだろうか。自動車には乗らないで、電車には乗らないで、バスにも乗らないで、歩ける範囲を近所と考えたい。
これを書いている私は東京の狛江という場所に住んでいる。いい街ではあるが、残念ながら全国的に有名な観光地というものはない。観光しようと思うと電車に乗り、どこかに出かける必要がある。しかし、見えるのだ、自宅から観光地が。
ネズミ一匹、いや、アリ一匹通さないぞ、というくらい気を張って見るとぼんやりとスカイツリーが見える。写真ではわかりにくいのだけれど、肉眼ではもう少し見える。砂漠の蜃気楼のようにスカイツリーが見えるのだ。
自宅から直線距離で約24キロ離れているが見える。近くまで行こうと思えば、電車を乗り継ぎ、1時間半ほどかかるが、自宅からならば0分。だって見えるから。場所にもよるが自宅からも意外と観光ができてしまうのだ。
ベランダからも日本を代表する観光地が見える。そう「富士山」だ。日本一高い山だ。見たいじゃない。しかし、富士山に行こうと思うとやっぱり電車やバスを乗り継ぎ向かう必要がある。しかし、見えてしまうのだ。
望遠レンズのカメラで見ると、はっきりくっきり見ることもできる。もちろん肉眼ではもっと見えているのだけれど、望遠レンズほどは大きく見えない。でも、いいじゃないそれで。見えてはいるのだから。私はベランダに出ることを観光と呼んでいる。富士山が見えるから。
自宅からも十分に観光できたけれど、近所に出かけると世界が広がる。先にも書いたように近所とは歩いて行ける範囲。散歩だ。観光地に住んでいれば、近所の散歩で観光になるが、狛江は観光地ではない。しかし、近所の散歩で十分に観光となる。
東京と神奈川にまたがる大型レジャー施設「よみうりランド」。バンデットという名のジェットコースターがあり、多摩丘陵約160mの高さにある「大観覧車」などが魅力の施設だ。見えればいいじゃない、心のジェットコースターに乗っているじゃない、いつも。
大観覧車に乗ると、富士山や都心の高層ビル群が見えるそうだ。でも、ここからも見えているから、それでいいじゃない。心はいつも大観覧車、そういうことだ。遊園地を見ている時、私たちはすでに遊園地にいるのだ。それが真理なのだ。
東京の観光といえば、高層ビル群や東京タワー、六本木ヒルズなども外せない。高層ビル群、六本木ヒルズ、東京タワー、スカイツリーなどが一度に見ることのできるスポットがあれば、それはそれで素晴らしき観光地と言える。
肉眼ではもっと見えているのだ。向かって右から、東京タワー、六本木ヒルズ、スカイツリー、都庁が見えている。それが一望できるのだ。近所は偉大だ。自宅から20分も歩いていない。それで観光できてしまうのだ。
住んでいる場所にもよるけれど、目を凝らせば、近所からも観光地が見えることがわかった。自宅からは見えなくても少し歩けば、少しだけでも歩けば、意外に見えてしまうのだ。ご近所パワーと呼びたい。
私の考える東京三大タワーは「東京タワー」「スカイツリー」「スカイタワー西東京」である。近所から「東京タワー」と「スカイツリー」は見えたので、「スカイタワー西東京」も見たい。
スカイタワー西東京は、以前は「田無タワー」と呼ばれた西東京市にある多目的電波塔だ。私は学生時代に小平市に住んでいたので、割とよく見ていた。ただ狛江に引っ越してからは見ていない。少し歩けば見えるのではないだろうか。ご近所パワーで見えるはずなのだ。
今までのものとは違い、幻のような感じではなく、はっきりとスカイタワー西東京が見え、私も一緒に写っている。それはなぜか、近所だからだ。近所の定義を歩いていける場所と最初に書いた。つまり歩いちゃえばいいのだ。
ほんの18キロをほんの4時間ほどかけて歩いた。自動車には乗っていない、電車にもバスにも乗っていない。歩いてスカイタワー西東京まで来たのだ。つまり近所である。歩いて来れば、そこは近所なのだ。
東京タワーは高さ333m、スカイツリーは高さ634m、スカイタワー西東京は高さ195m。スカイタワー西東京が一番小さいけれど、このご近所観光では一番大きく見えた。全てのタワーを近所から見ているので条件は一緒だけれど、スカイタワー西東京が一番大きく見える。
スカイタワー西東京は、1989年に完成した。近くには多摩六都科学館があり、ゴルフ練習場やパチンコ店などがある。登れるわけではないので、特に観光地化されているわけではないが、翌日の天気予報としてライトアップもされる。
ちなみに私の住む街「狛江」からは全然見えない。結果、約18キロ歩いたわけだ。せっかくなので、多摩六都科学館にも行った。これも当然狛江からは見えないけれど、歩いて行ったから近所の科学館である。
近くに行かなければわからない楽しみもある、ということだ。ただ歩いて行けば近所だから、歩ける範囲にあるのなら行ってもいいかもしれない。近くで見ると迫力とか違うから。近くで見るに限ると思います。
近所からいろいろなものが見えると知った。歩いていける場所は全て近所なのだ。先日は狛江から横須賀まで歩いたので、横須賀も近所と言える。近所は広いのだ。可能性は無限なのだ。意外といろいろ見えるというのも面白い。
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