たまたま手に入れました
出張先の名古屋で少し時間があったので、古くからありそうな商店街のカメラ屋さんに入ってみた。
その時はとくに記事にするつもりもなかったので写真は撮らなかったのだけれど、店内は70年代、80年代くらいの機械式のカメラが並んでいた。どれも買われることをあきらめたような、世間離れした空気感を纏っている。
古いカメラ愛好家としては放っておけないような複雑な気分になり、なにか買って帰って使えそうなものはないかと物色していた時にこれを見つけたのだ。
この漏斗みたいな道具は、ケンコーのスコープアイピース(Kenko scope eyepiece)というものらしい。
調べてみるとすでに製造は終了しているらしく、僕もなんとなく噂では聞いたことがあったが、見るのは初めてだった。
80年代、90年代くらいの製造だろうか。しっかりと金属でできていて、持った時のカチッとした手触りに、メーカーの本気度がうかがえる。
これはどうやって使うかものなのかというと、カメラのレンズを外してこのスコープアイピースに取り付けるのである。するとなんとこれが望遠鏡になるというのだ。
レンズに付けると望遠鏡になる道具です
倍率は取り付けるレンズによるが、焦点距離50ミリくらいの標準レンズを付けると5倍くらいの倍率の望遠鏡になる。
覗いてもぼやっとしている場合は、レンズのピント合わせを調整するとスカッと見えるようになる。
カメラのレンズは普通に覗くと上下が逆転して見えるはずなのだが、スコープアイピースはちゃんと中のプリズムで反転してくれているのだろう。おかげで天体望遠鏡みたいに逆さまに見えることはなく、しっかりと正立して見える。
レンズを替えると倍率が変わる
レンズの種類によって見え方が変わるのも面白い。たとえば広角のレンズをつけると、見える範囲は広がるが望遠鏡としての倍率は下がる。
ということは300ミリとかの超望遠のレンズを付けたら天体望遠鏡みたいに土星の環まで見えちゃうんじゃないか!と思ったのだけれど、望遠すぎるレンズだと見えている丸い部分がものすごく小さくなるため使いづらそうで、鳥とか川の中州にいるヌートリアなんかを見る目的ならば50ミリくらいのレンズがちょうどいいみたいだった。
いいもの買った
専用の望遠鏡に比べると見え方は劣るのかもしれないけれど、カメラのレンズが望遠鏡としても使える!という得した感は他に代えがたい。写真を撮るのに飽きたらレンズをこれに付け替えて、遠くの山とか鳥なんかを眺められるのだ。いい!
僕が買ったものはたまたまニコンのレンズ用だったのだが、他にも各社レンズ用が製造販売されていたらしいので、これから中古カメラ屋さんに行くときには注意して探してみたいと思う。
いま、これを付けて望遠鏡として覗くために新しいレンズを買おうとしていて僕はもうだめです。