楽しいぞ、けん玉チャレンジ
カラオケルームで三人でやってこの盛り上がりである。紅白の会場で、しかもあの人数でやったら、そりゃあ興奮するに違いない。成功したら最高だし、たとえ誰かが失敗しても、その失敗は全員が自分事のように感じるだろう。終わったら「来年もやろうぜ!」となるのもわかる。やはりこういうのはやってみなきゃわからないものなのだ。
あと、全国のカラオケボックスにはけん玉を置くべきだと思いました。必ず盛り上がりますから。

年末の紅白歌合戦でけん玉チャレンジを見た。
演歌歌手の人が歌っている間、何人もがけん玉を続けていき、最後の最後に歌い終えた歌手がけん玉に挑戦。全員が成功するとギネス達成というのである。すごい、あんなのぜったいに緊張する。
でもあの緊張感、ちょっとだけ味わってみたくないか。
とはいえ僕は演歌歌手でもけん玉上級者でもないので、当面のところけん玉を持って紅白に出ることはないだろう。ならば同じようなプレッシャーの下で、けん玉チャレンジの緊張感だけを再現してみたい。
一人では無理なので、同じ志を持つチャレンジャーたちにカラオケボックスに集まってもらった。
三人とも普段の心理状態ならばそこそこけん玉はできるし、江ノ島さんに至っては演歌歌手としての資質(見た目)すら持っている。役者は揃った。
今回挑戦する「けん玉カラオケ」がどういうものなのかいちおう説明しておこう。
演歌歌手役の人に一曲本気で歌ってもらい、終わったと同時にチャレンジャー、演歌歌手の順でけん玉をする。どちらかが失敗したら歌からやり直しである。
とにかく気分を高めることが肝心なので、演歌歌手役の江ノ島さんには僕の持っているいっちょうらを着てもらい、本気で歌える歌を選んできてもらった。
衣装に不安はあるものの、本番の時間が迫っていますので(そういう気持ちを作っていくことが大切です)、みなさんステージへ移動してください。
それではさっそくチャレンジを始めたい。
歌手が一曲歌い終えた後、二人が連続でけん玉成功できたらクリアだ。
イントロが流れ、チャレンジャーが位置に着く。演歌歌手は厳かにマイクを口元に運ぶ。
曲はクライマックスを迎え、演歌歌手が最後のビブラートを終える。
いよいよである。
僕の前にはすでに500人のチャレンジャーがけん玉を成功させてきているのだ(想定)。ここで失敗するわけにはいかない。
曲が終わり会場は静けさに包まれた。さあ、さあさあ
安藤、江ノ島、の順にリズムよくけん玉チャレンジは成功した。
これは予想以上に気持ちがいい。
言ってしまえばカラオケの後にけん玉するだけなのだが、二つの要素が交差すると、その興奮は100倍になる。
きっとこれ、最後にけん玉する演歌歌手側の方がよりプレッシャーあるだろう。江ノ島くんと役を代わってもらった。
やることは一回目と同じである。僕が本域で一曲熱唱したあと、チャレンジャー(江ノ島)、演歌歌手(僕)の順でけん玉をしていく。
曲が終わり、さああとはお待ちかね、けん玉タイムです!いま500人まで成功しました(想定)。では501番目の方、どうぞ!
やばい、もらしそうである。でもやらないと終われない。
成功した瞬間、おもわず鳥の求愛みたいな声が出てしまった。
紅白を見てたら最後にけん玉を決めた歌手の人は落ち着いて喜んでいたように思うが、よくあれで抑えられたなと思う。器の差だろうか。背中びしょびしょである。
三回目は人数を増やしてさらに自分たちを追い込みたい。次はチャレンジャー二名と歌手一名、あわせて三名である。月餅さんには一番責任の重い歌手役をお願いした。
それでは聞いてください月餅さんで「時の流れに身をまかせ」。
待っている間に思ったのだが、歌が上手い方が緊張が増す。ここまで気持ちを込めて歌ってもらったのに失敗できないぞ、となるのだ。そう考えると紅白のステージ、目の前で演歌歌手が歌っていたらどうなってしまうんだろう。その場にいる自分を想像しながらけん玉を握る。
月餅さんが歌い終え、会場が静まる。
さあ、けん玉チャレンジの始まりである。僕は写真を撮りながらだったので写っていないが、一人目を無事成功させた。二人目、江ノ島さん、お願いします!
決まった!いい流れで歌手へとつなげることができたぞ。では月餅さん、どうぞ!
失敗した。
横で見ていても明らかに皿から外れたところに球が落ちていた。晴れやかな失敗である。
月餅さんが失敗したときは全員で一丸となって悔しかった。きっと紅白の会場でも同じような一体感があるんだろう。
しかしここは紅白ではないのでやり直しがきくのだ。月餅さんにはもう一曲、本気で歌ってもらい挑戦を再開することにした。
時間的にもこれが最後のチャレンジである。曲が終わるとけん玉チャレンジが始まる。
今回はより難易度をあげることでプレッシャーを感じてもらおうと、小皿でチャレンジすることにした。直前の練習では三人とも失敗しまくっている。
曲が終わり音が消え、三人の吐く息だけが聞こえる。
ではまず一人目の江ノ島さん、お願いします!
二人目は僕である。手が震える。
最高の状態で月餅さんに回すことができた。ここで決めたらほんとすごいが落としても誰も文句いわないから頑張って。
乗ったーーーーー!!!!!!!!
最高だ。正直ちょっと泣いた。興奮した月餅さんが崩れた勢いで飲み物がこぼれたのでみんなで掃除した。
カラオケルームで三人でやってこの盛り上がりである。紅白の会場で、しかもあの人数でやったら、そりゃあ興奮するに違いない。成功したら最高だし、たとえ誰かが失敗しても、その失敗は全員が自分事のように感じるだろう。終わったら「来年もやろうぜ!」となるのもわかる。やはりこういうのはやってみなきゃわからないものなのだ。
あと、全国のカラオケボックスにはけん玉を置くべきだと思いました。必ず盛り上がりますから。
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