いわゆる景観規制自体は、全国の都道府県市町村、どこにでもあるものだ。
自治体それぞれの取り組みでやっており、国が一律で定める法律はないそうだ。
京都や軽井沢などの特別な街のイメージがある場所でなくても、地域によってさまざまな基準があるのだろう。
住んでる町と隣町では違うのだろうか。
街歩きの楽しみがひとつ増えた。
観光地でみかける、景観規制に合わせて見慣れぬ姿となったチェーン店。
京都が一番有名だろうけど、軽井沢だって負けてないのだ。
シックな色が妙にかっこいいローソンや、シンプルで湯豆腐のようなツルハドラッグなど、見慣れぬ姿がおもしろい。
今回、京都在住ライターまこまこまこっちゃんさんの助けを借りつつ、軽井沢・京都・鎌倉の景観規制チェーン店を見比べてみた。
自治体のルールに合わせて、全部微妙に違うんです。
そして超たいへんそう。
こないだ軽井沢に行ってきた。
お金持ちのためのking of 避暑地というパブリックイメージのある軽井沢だが、庶民が行ってもふつうに楽しかったのである。
思い描いていた通りのハイソでステキな場所であり、軽井沢は軽井沢らしさにあふれていた。
軽井沢、いいところだなあとしみじみ思ったのだが、当サイトDPZでは長い歴史の中でほとんど取り上げられてこなかったようだ。
ニッチなものを取り上げることに定評のある当サイトDPZだから、王道な軽井沢は盲点だったのだ。
何だかそれも勿体ない気がする。
DPZ的ブルーオーシャン、軽井沢。
そんな軽井沢で特に気に入ったのはチェーン店だ。
軽井沢も避暑地である前に、人口2万人が住む町である。ロードサイドのチェーン店もそれなりにあるのだが、なんだか様子が違う。
さすが軽井沢。これはいわゆる景観規制の結果で、派手派手な屋外広告を制限しているのだろうと思った。
上についてる小さな4つの照明も、広々としたロードサイドにはちょっと心もとない。
軽井沢には、こんなチェーン店が沢山あった。
見慣れたコンビニだからこそ新鮮さがある。
筆者は普段紺色の服ばかり着る紺色大好き人間なのだが、この絶妙な色具合はかなりツボだ。
景観規制といえば京都のモノトーンのコンビニなんかが有名だけど、軽井沢にも色味のルールがあるのだろう。
では、他のコンビニはどうだろうか。
レンガ調の外見もトレードマークなのでぱっと見でわかるけど、車で通ってみつけるのは厳しいかもしれない。
京町屋風のコンビニみたいな感じで、軽井沢にも伝統建築をイメージした外見の店舗もあるようだ。
ちなみに、軽井沢のコンビニは条例により夜11時までの営業になっているそうだ。ネオンや点滅照明も禁止されており、ぐっすり眠れる町なのだ。
軽井沢のチェーン店と東京の一般的な店を見比べよう。
他にも様々なチェーン店があった。
わりと同じようなこげ茶色をしている。個人的に軽井沢ブラウンと呼びたい。
これらのチェーン店や建物の姿から、なんとなく軽井沢らしさが見えてこないだろうか。
どんな建物でもちゃんとらしさがあるのは、さすがである。
ここまで軽井沢を見てきたけど、景観規制といえば京都だ。
京都の方はどうなのか興味がわいてきたので、京都在住DPZライターのまこまこまこっちゃんさんにお願いをして、写真を撮ってきてもらった。
そしてたいへん嬉しい偶然だったのだが、まこっちゃんさんはなんと交通広告や屋外広告物を扱う広告代理店に1年勤めていたことがあるそうだ!
写真だけでなく、景観規制と屋外広告の関係性についていろんなヒントをもらった。
まず、看板や店舗の意匠に対する規制は大きく分けて「景観条例」と「屋外広告物条例」の2つがある場合が多いそうだ。
さらに都道府県や市町村、地域によって基準が違うため、作る側からするとたいへんらしい。
これらのルールは市町村のHPで誰でもみることができる(京都市はここ、軽井沢町はここ)。
特に京都市は屋外広告規制のエリアだけで21地区+町並み保存地区があり、それぞれデザイン、色、大きさ、高さなど細かく基準が定められている。超たいへんだ!
一方の軽井沢は4地域なので、京都のやばさがよくわかる。
提案したデザインは大きさや設置場所・設置方法なども含めて市町村に届け出をして、NGだった場合は作り直しだそうだ。
まこっちゃんさんは奈良勤務だったそうだが、一度設置できた看板でも、厳しい市町村では景観課が定期的に巡回していたり、大きさ・高さが申請通りかどうか実測して確かめたりしているところもあったという。
たしかに窓ガラスの中に目立つものをおくこともできるもんな~。
軽井沢にはまだこの特定屋内広告物という規制はないようだ。さすが京都、抜け目ない。
「ロゴや暖簾もこの店舗オリジナルのものを用意しているみたいですごいですよね! コンビニとか飲食に比べると通行人に訴求しなくていい、みたいな自由度もありそうですが、気合いれてる感じはしますよね。」とまこっちゃんさんのコメントをもらった。
堂々とした鳥居と慎ましいセブンイレブン、一度は生で見たい取り合わせだ。
そういえば、鎌倉のコンビニも軽井沢や京都とは微妙に違う見た目をしてる。
わあ…全国チェーンってたいへんだ。
すべて自治体のルールに合わせて少しずつデザインを変えているのだろう。
全部下限に合わせればラクだろうけど、そこは商売なので少しでも目立つように、規制のギリギリを攻めているのだろう。
軽井沢は色面積の規制はないが、色の明るさの規制がある。
京都は色面積の規制はあるが、色の明るさの指定はない。
鎌倉はそこまで細かくないが、京都に近い内容だ。
うん、ややこしい。が、この規制の結果が、それぞれのコンビニの姿なのだ。
もちろん同じ地域・同じチェーンでも、店によって微妙に異なる外見をしているものもある。京都らしく凝ったものもあれば、シンプルに白くなっているものもある。
コンビニの場合フランチャイズと直営の違いなど様々あるだろうし、見た目によって売上に影響がでるなら、景観規制も死活問題につながるのだろう。
規制の中でギリギリを狙い、たくましく生き抜くチェーン店の努力が垣間見える。
そんなことを勝手に想像してたら、なんだか愛おしく感じてしまった。
いわゆる景観規制自体は、全国の都道府県市町村、どこにでもあるものだ。
自治体それぞれの取り組みでやっており、国が一律で定める法律はないそうだ。
京都や軽井沢などの特別な街のイメージがある場所でなくても、地域によってさまざまな基準があるのだろう。
住んでる町と隣町では違うのだろうか。
街歩きの楽しみがひとつ増えた。
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