年末は沈殿する。昨日のM-1でさらに濃くなった年末はクリスマスが過ぎる頃にはドロドロの残り汁になる。この歳になるときついけど気合で飲み干す。新年のおかわりが待っている。
今年最後の更新です。めくるめく書き出しの世界へご招待しましょう!
書き出し自由部門
「クリスマスになる頃には、このイルミネーションにも見慣れちゃうんだろうね。」
梅路みね
たしかに。人が求めるのは「そのとき」ではなくその「予感」なのかもしれない。
花のような大嘘をついて、大嘘つきはまた寝てしまった。
タカタカコッタ
のどかで温かい、一行だけと一冊の絵本のような書き出し。
「絶望のマトリョーシカだ」そう言いたいがために、手近なエビを腐らせてみる。
白石ポピー
説教の最中にカルパッチョが運ばれてきた。オイルがかかっていて乾かないから安心しなさいと心の中で伝えた。
カズタカ
安心しました。
あの日キミと交わした約束は呪いに変わり、法廷では争点になった。
さくさく
毒祖母かっけー笑
警察から話を伸ばせと指示された神父は「健やかなるときも」を何度も繰り返した。
もんぜん
金魚鉢に首を突っ込んだまま、姫は千年の眠りについた。
いちもくれん
人生を無駄にしない方法を考えて、無駄を生きようと思った。
井沢
ほんと、それ!
「寄せんな!」土台が回る阿修羅像に老婆が一喝した。
ガンダーラ磯崎
状況は分からないのに絵だけ浮かぶ面白作。
俺の味覚の問題か、言うほどロマネはコンティではなかった。
リアル次男坊
トイレットペーパーを買うためだけに歩いた。持つのではなく、持たされたかった。
もろみじょうゆ
個人の感想だけど、いつもそれですよ!
五円玉で出来た亀は自らの足で賽銭箱に落ちていった。
いずも
妻が本気で怒ってる時は跳ね橋も上げてくれなくなり、仕方なく冒険者用の宿で寝る。
prefab
悪魔はセールスマンのように朗らかに笑い、天使は警察官のように厳めしい顔をしている。地球には大穴が貫通し、人類はもう遠い星に旅立った後。残された二者は争う以外に暇つぶしを知らなかった。
きうい神士
やたらいスケールがデカい、という豪快な素振りのような作品。
今年、娘は自由研究で三輪車を絞り染めにした。ひしゃげていく車体は見ていて楽しくなかったし、朝顔の花は2クラス分必要だった。
青一月
文字でしかできない表現と、飛躍する後半。こちらは前衛ダンスのような作品。
動画を見て、ケタケタ笑う君の声を閉じ込めて、20年後に取り出したい。
葱山紫蘇子
母親のリアルな心情を感じました。
「違うっ!下に引くんだっ!」テーブルクロスは宙を舞った。グラスは割れた。
ぐるりん
文字によるスロー表現。映像を言葉に変換する、基本だけどまだまだ面白い表現ができそう。
つづいては規定部門。今回のテーマは『官能』でした。量質ともに高レベルでいつもよりたくさん選ばせてもらいました!
書き出し規定部門・モチーフ『官能』
真夜中の事務室。私はコピー機とあなたの温もりの間で焼かれる。
なかもりばなな
機械と人肌の混ざり合い。「焼かれる」の締め方もよい。
秋の松茸が真冬の星にキスをした。君のマカロニが、まもなく茹で上がる。
なまもりばなな
わいの指揮棒で……
鍵を回す音はゆっくりすぎて、閉まる前に覚悟だけが決まってしまった。
べくとる丸
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