特集 2023年10月29日

書き出し小説大賞 271回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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今年もDPZの林氏が根付かせた、地味ハロウィンが開催されます。そして今年は渋谷全域もハロウィンのお祭り騒ぎを厳しく規制。世間の方が地味ハロウィンに寄せてきたようです。
それでは今回も、めくるめく書き出しの世界へご案内しましょう!

書き出し自由部門

裂けた無花果が僕を狙っている。
寂寥

顔が裂けて襲ってくるタイプのエイリアン!

誰かの家のテレビが消え、ここからは私だけの夜だ。
井沢
4本目の発泡酒の缶が転がる。眠気が来ない。
またスマホが行方不明で、鳴らしてくれてた君とは昨日別れたばかりで。
七世

別れの実感はあとから来るもの

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コーンポタージュの底、ひとり残った君の背中を押す。
さくさく
あなたをダウンロードする。残り1MBでやっぱりやめる。
S.マウンテン
教頭が走り出すと、一斉に生徒が飛びたった。
もんぜん

いつも公園にいる、自称教頭の男。

私はただ、貴方でありたかった。
kaYgreed
ジャムを煮る人生がよかった。
にら将軍ハルナ
ポジ夫とネガ郎、遠足のあさ、くもり空。
suzukishika
喪主の月は凛とした。
みよおぶ

悲しみが冴える。

隙間だらけの脳から、淡い光が漏れている。
タカタカコッタ
乾いて丸まったままの雑巾。帰りたくない足を投げ出している。
タカタカコッタ

バケツに入れた雑巾が水を吸っていくのをずっと見てる子供だった。

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見送られた時と同じく地べたに座っていたタカシは会うなり「よう。山一つ削られたべ。」と黄色い歯を見せた。
カズタカ

タカシのキャラいいなあ。

墓前にくだらねえ茶菓子まで置いて、わざわざ「赦してやる」と伝えてやった。
蜂賀三月
物語が終わりかけた頃、俺は逆子で登場した。
いそうろう

⏩ 祖父は脱獄王、父も脱獄王、もちろん私も脱獄王。

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