特集 2023年10月15日

書き出し小説大賞 270回秀作発表

書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)

雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。
著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。


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藤井聡太さん八冠おめでとうございます!実は私も八かん持っているんです!(空き缶・みかん・スプレー缶・『北斗の拳』全巻・緊張感・残尿感・虚無感)実はまだまだ持ってるかもしれません。お互いにがんばりましょうね!

それでは今月もめくるめく書き出しの世界へご招待しましょう!

書き出し自由部門

秋の畳で、のびのびと孤独だ。
タカタカコッタ

人恋しくなるまでの開放感。孤独にも種類がある。

あまり長く寝すぎると昔の君の夢を見る。
おの
名前のない子供を育てている。
いそうろう
独房で理想の枕と出会った。
高田

独房に入って以来、いびきも止まった。

目隠しされて起動音だけ聞かされる。
いずも
メカ人間の村で固い餅を食わされている。
寂寥
終電は正しく君を攫っていった。
みよおぶ
いったん広告です
さっきまで熱を移しあっていた指を見つめる。
みよおぶ

みよおぶさんの二作、こう並べるとつづきものみたい。

波浪警報が発令された日、海辺の博物館のクジラ模型は初めて海を見た。
さくさく
コバエは密室の謎をいつも凌駕する。
節度亜図夢

コバエって無から生まれてね?

月面で再会。無重力なら殴ってもたいして痛くないだろう。
Airda
盗まれたはずの自転車が応接間に停まっている。
ナックルボール

床の間に飾られてる場合も。

叔父はナックルボールの握り方でジャガイモもハムスターも扱う。
prefab
紙芝居のキスシーンは濃厚だった。
S.マウンテン
やけに軋む屋根裏への階段を、秒針と共にゆっくりと上がる。
早百合

⏩ 充電が切れることがあるのを、屋敷を出るまで私は知らなかった。

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