特集 2022年4月16日

失敗したときに読むと勇気が出る「買い間違い」エピソード集

資本主義社会に生きる私たち。日々、何百何千という買い物をくりかえすうち、だれしも買い間違いをしてしまうことがあります。

それが数百円のものなら笑って済まされますが、うっかり10万円の物を買い間違ってしまったら……!

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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レンズを買い間違えた人を慰めたい

こんにちは、編集部 石川です。
当サイトで3月にヒットした記事がこちら。

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優れたレンズはその場の空気までも描写するという。では間違えて買ったレンズは何を写すのだろう。

ライターの伊藤さんが、ヤフオクで欲しかったカメラのレンズを10万円で落札。ただし実はまちがって全然違う別のレンズを落札しており……

から始まるレンズレビューです。結果的に別のすばらしい出会いを得た伊藤さんですが、もともと意図していたレンズとまだ出会えていないのも事実。

そんな伊藤さんを慰めるべく、ライター&編集部員より間違って買ったエピソードを集めました。
伊藤さんのコメント付きでお楽しみください。

思ったより小さい

まずはネット通販でありがちな「思ったより大きい・小さい」。ウェブマスター林さんが3回もやらかしていました。

ミリ寸法の段ボール
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買った人:
林雄司

ダンボールで人が入れるATMを作るときに、ダンボール専門の通販サイトでcmとmmを間違えてオーダーして小さい板が届いたことがあります。

 くやしいから小さいのを作りました。

 後日大きい板を買って作ったのはこれ。


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伊藤さんより:cmのつもりがmm、このスケール感の違いはダメージでかいですよね。部屋が広いのが余計に哀愁を掻き立てます。それでも小さいのを作ったのはさすがです。

 

小指サイズの受話器
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買った人:
林雄司

受話器型のヘッドセットを買ったら小さかったこともありました。これだけだと大きさがわからないですよね。

でも小指サイズ! 


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伊藤さんより:「受話器型」の「ヘッドセット」とうたってる商品がこんなに小さい事があるのだろうか。ヘッドセットがこんなにくしゃくしゃした見た目なのも斬新すぎます。ヘッドとは。
 

 

シングルCDサイズの電光掲示板
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買った人:
林雄司

もう10年以上前のことですが、ヤフオクで小型のLEDサインボードが出てたので買いました。こんな写真が載ってました。7000円でした。

届いてみたらドライバが入っているCDはシングルCDで、ものすごく小さい電光掲示板でした。

大きさが分かるように写り込んでるCDがシングルCDとはね~、こりゃ一本取られたワイ、とは思いました。

でも写真が一切残ってないことを見ると、相当悔しかったようです。当時の僕は。


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伊藤さんより:ドライバーCDがシングルサイズとは!買い間違いというか売り手側の巧妙さが光りますね。手のひらに乗せた小さい電光掲示板がとらやの上質な羊羹に見えました、ハロー。
 

 

合わないやつ

買い間違いの大定番。手元の本体に合わないオプションを買ってしまうパターン。

規格違いのネジ
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買った人:
松本圭司

先日、タモ網の棒の先に、ジョイントを経てカメラを付けてドローンっぽく撮影する記事を書きました。記事では、サラッと1/2インチネジでアダプターを作ったと書いてますが、実際はM12というネジを間違って買って一度失敗しています。

1/2インチネジとM12、太さもピッチ(ネジ山の間隔)も1mm以下の違いしかなく、素人的には見た目で分からない。

これまで様々な失敗をしてきたので、僕は買い物するとき慎重なんです。タモ網のジョイントはM12と1/2インチネジの2種類があるって知ってました。自分が買った棒に合うのはどっちなのかも、よく確認して、メモにも書いてホームセンターに行って、自信を持ってM12を、予備も考えて2本買って間違えました。

見分けがつかないのでマジックで規格を書いてあります。

M12のネジをジョイントに装着しようとして3回転で止まりました。ああ…。予備も考えて2本を買い直し。余ったM12のネジは、M12規格のタモ網棒を買った友達にあげました。今では棒撮影に使われています。

ジョイントに仕上げるとこうなります。どっちのネジを使っているか分かりません。

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伊藤さんより:
全力で間違えさせに来ているような微妙なサイズ違いに全知全能を尽くして果敢に挑む。「よく確認して、メモにも書いてホームセンターに行って、自信を持ってM12を、予備も考えて2本買って間違えました」敗れたけれど悔いはない。極上のスポーツノンフィクションのような読後感でした。

 

違うプリンタのインク

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買った人:
ほり

家庭用プリンタのインクを買ったのですが黒のインクがどうやってもプリンタに挿さらず、型番違いで買っていたことが判明しました。

普段は気をつけているのでこういうミスは初めてでとても損した気持ちになりましたが、メルカリで売れたので救われました。メルカリでは似たような人(黒のインクだけ開封して間違いに気がついた人)が何人もいて仲間意識が芽生えました。


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伊藤さんより:挿さらない時の哀しさはなんというか「挿さらない」という種類の感情が存在するなとすら思いますよね。子供の頃、友達と貸しっこしたVHSのビデオテープが家のベータ規格のデッキに挿さらなかった夕暮れの哀しみがフラッシュバックします。私は仲間を失いましたが、ほりさんは仲間を見つけましたね、よかった!

 

機種違いのiPhoneケース
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買った人:
安藤昌教

モレスキンのiPhoneケースを買ったら大きかったです。iPhoneのサイズなんてX以降だいたい同じだろうと思っていたんですが微妙に違うらしいです。

 サイズのみならずカメラの形状まで違います。

 モレスキンのケースは、なくしたとき用に「拾ってくれた人にお礼します」ってメモがあるのがしゃれてるなと思っています。サイズさえ合っていればいいケースです。


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伊藤さんより:さすがモレスキン、iPhoneケースもスタイリッシュですね。微妙なオーバーサイズで中身が落ち着かずにすこすこ動くのも堂々と使えば新しいモードになりうるのではないでしょうか。あとはもうiPhone買えiPhone。
 
いったん広告です

ネット通販に潜む悪魔

ネット通販での買い物失敗は品物の選び間違いだけではありません。こんなパターンも。

10kgの砂

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買った人:
石川大樹

間違って10kgの砂が家に届いたことがあります。

もう10年以上前の話ですが、大阪出張でライターの小堀さん、尾張さんと撮影することになっていたんです(この記事)。そのときに砂袋を引っ張ってトレーニングするようなシーンがあって、そのために砂を注文しました。10kg。

砂をぶら下げて走らされる小堀さん

砂は前日の着日指定で小堀さんの家に届く予定だったのですが、当日になっても届かないんですよね。あれ…と思っていたら、自宅にいる妻から「砂が10kg届いた」とメールが…。

家に届いた砂

届いた砂は数カ月家に安置ののち、近所の砂場に寄付しました。


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伊藤さんより:なにこのパッケージのかっこよさ。ファイヤーサンドって唱えただけで敵に大ダメージ与えるやつじゃないですか。「数ヶ月家に安置」どうしようもないものが届いた時、この出来事を冷静に、俯瞰的に見られるようになるまでこのぐらいのスパンかかりますよね。

 

アメ1kg
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買った人:
ほりべのぞみ

ピーナッツバターを注文したら瓶入りのドロップスが届いたことがあります。

注文したはずのピーナッツバター

オランダのピーナッツバターが最高においしいので、オランダ系の通販サイトでピーナッツバターを注文したんです。ドイツではなかなか好みのタイプが手に入らないので楽しみにしていたんですが、箱を開けたら1kgのアメが入っていました。

届いた1kgのドロップス

お店に連絡したらすぐにピーナッツバターを送ってくれたんですが、その時の箱に「Sorry!」と書いてあったのがお茶目でした。ドロップスは送り返さなくて良いと言われたのですが1kgも食べれないので、「ご自由にどうぞ」とアパート内に出しておいたらすぐに無くなったのでよかったです。

「Sorry!」で全て許してあげたくなりました

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伊藤さんより:目に入るものすべてがかわいい。こんな映える買い間違いがあるでしょうか。箱にSorry!って書く軽さも素敵ですね。飴1kgは迫力すごいな問屋かよと思ったらショッピングサイトのレビューで「すぐなくなるのでこのサイズがうれしい」と書いてあったりして未知のゾーンはまだ至る所にあるなと感慨にひたりました。
 

 

店頭でのうっかり

買い間違いはネット通販だけとは限りません。人間は店頭で直接その商品を手にとってさえ、買い間違えます。

バーベキューぜんぶ豚バラ
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買った人:
まいしろ

友達とバーベキューに行ったとき、適当に買ったスーパーのお肉が全部「サイズが違うだけの豚バラ」でした。やむを得ないのでそのまま豚バラだけでバーベキューしました。楽しかったです。


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伊藤さんより:気持ちのいい単調さ!焼きそばに入っている肉の解釈を拡張してメインに持ってきましたみたいな。ところでここまで買い間違いの権威か何かみたくコメントしてますが、おれただのレンズ買い間違えたおっさんなんですよね。
 

 

上・上・下巻
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買った人:
小堀友樹

「この世界の片隅に」の漫画を近所の本屋に買いにいきました。

あの作品、上中下の全3巻なんですね。映画がヒット中ということもあり、上・中・下巻が横並びで平積みになっています。それぞれいちばん上の一冊をとって3冊持ってレジに向かい、鼻息荒く家に帰り、漫画を覆うビニールをバリバリ破って気付きました。これ「上・上・下巻」だ。

たぶん本来中巻が置かれている場所に、お客さんの誰か上巻を置いたんですね。上・上・下とコナミコマンドみたいに本を買ってしまいました。


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伊藤さんより:私も「あずみ(全48巻)」や「西遊妖猿伝( 全16巻)を被って買ってしまった事はありますが3巻の上・上・下は清々しいですね。デジャブのように反復する世界から一気に収束へと向かう、ここだけの「この世界の片隅に」の物語が紡がれたのだと思うと熱いです。

 

なお、このカテゴリには伊藤さん本人からもひとつお寄せいただきました。

コメディ映画
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買った人:
伊藤健史

間違えて買ったというより買ってから間違えたという話なんですが、2002年、今はなき東京は吉祥寺のバウスシアターという映画館に「オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー」という映画を見に行きました。

こんな感じの作品、もはやなつかしい。

ジェームズ・ボンドでおなじみのスパイ映画「007シリーズ」のパロディでウェインズ・ワールドのマイク・マイヤーズ脚本・主演、スラングと狂気に満ち満ちた抱腹絶倒のバカ映画で、仕事や若きウェルテル的な悩みでくさくさした気持ちを一気に晴れやかにしてやろうとチケットを買い、意気揚々と目についたシアタールームに入り席について上映を待ちました。

映画が始まると、夜の一面の雪景色の中を列車がひた走る陰鬱な立ち上がり。ちょっと想定外だが、まあここからどっかんどっかんいくんだよね、観客の期待をすかしといてカウンターブローのようにコメディをぶちこむとは絶妙すぎる構成。
しかし一向にノー天気なスパイは登場する気配もなく、舞台は第二次世界大戦中の捕虜収容所、軍服姿のコリン・ファレルやブルース・ウィリスがめっちゃ真顔で登場し、収容所内で起こった殺人事件をめぐる法廷サスペンスが展開されてきて、おいちょっとオースティンどこ行った、となるも後の祭り。

実際見た映画はこれ。色数一気に減ったでしょ。

間違えて入ったスクリーンで上映していたのは「ジャスティス」。いや、いい映画だとは思うんだけど「正義」ってテンションで来てないし、みんなカーキ色で思ってたのより色数少なすぎるから。結局、映画を見る前のくさくさした気持ちにさらに「正義とは何か」「戦争とは何か」を考えさせられてシアターを後にしたのでした。

今、この話を思い出しながら考えています。
徳川家康が三方ケ原の戦いで敗れた際、途方にくれる自分の姿を絵に描かせ慢心の戒めにしたように、私もこの時の動揺した顔を描かせていたらレンズの買い間違いを防げていただろうか、と。

 

 

買ったことが誤算

買い間違えたとかじゃなくて、そもそも買ったこと自体が誤算というパターンもありました。

髪を結ぶ練習用の人形
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買った人:
トルー

4歳の子どもがうちにいるのですが、保育園ですごく華やかで難しそうな髪の結び方をしてもらっていた時期があって、僕にも同じセットを求めるようになりました。

その状況がなんかおもしろくて練習して記事にしようかなと思い、髪を結んだりできるお人形のおもちゃを買ったのですが、ぼやぼやしているうちに子どもが僕を見限ってしまい、保育園でも難しく髪を結ぶブームが去り、髪を結う練習をする動機が無くなってしまいました。

おもちゃはきれいな状態で保存しておきたくて箱からも出していません。今後使う可能性はゼロではないのですが、買うタイミングを間違えたなあと思っています。


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伊藤さんより:これ20年後に古びたヨドバシドットコムの箱が出てきて泣くやつでしょ。父さんあの時はやっちゃったって思ったけど、あれは買い間違いなんかじゃなかったんじゃ。買い間違い、それは時の移ろいと共に揺れ動く不確実性に満ちた、だからこそ大切な価値観なのですね(よくわからない感慨)。また会おう。
 

 

ドミノ1万個
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買った人:
まいしろ

大学の卒業直前、学生最後の思い出にみんなでドミノを並べました。1個1円でレンタルできたので、お金を出し合って1万円で1万個のドミノをレンタルしました。

山奥の合宿所を借りて、お酒も飲まず睡眠もけずり、ごはんのとき以外はほとんど喋らず、ひたすらみんなでドミノを並べ続けました。途中まちがえてドミノが倒れるというハプニングもあり、険悪な空気は最高潮に。目標も、最初は「みんなで1万個がんばるぞ!」だったのが、だんだん「7000個は並べようよ」「5000個ならいけるはず」と下がっていき、3日目の夜、4000個ぐらいのところで全員が力尽きました。いくら安いからといって、ドミノは借りすぎない方がいいと思います。


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伊藤さんより:これはすごいトライアル...文章も写真もじっくり見入ってしまいました。いろいろ間違いだらけかもしれないけれど、「ドミノは1個1円で借りられる(これは借りたくなるよね1万)」「3日でだいたい4000個が限界」など尊い学びが多い。高低差豊かなドミノサーキットでレッドブルの間を駆け抜けるところも素敵だと思いました。

 


人生は買い間違いの連続

ふたたび編集部 石川です。思った以上にみんながバリエーション豊かな買い間違いをしており、まとめていて勇気が湧いてきました。これからもどんどん、あまり確認せずにすぐショッピングカートに放り込み、目をつむったまま注文ボタンを押していきましょう!

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