特集 2023年12月28日

避寒の旅!宮崎の最南端で暖まろう

僕の住んでいる宮崎県北部の地域は冬場かなり冷え込む。雪が積もる日も多いのでスタッドレスタイヤが欠かせないほどだ。

ふと天気予報を見てみると、県南部は南国宮崎のイメージ通り暖かい様子である。羨ましい。そうだ、気候の差を味わうために最南端までいくのはどうだろうか。避暑ならぬ避寒旅行である。

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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宮崎県北の山間部は寒い

九州・宮崎といえば年中暖かい南国のような気候を想像しがちだが、僕の住む宮崎県北部は冬場かなり冷え込む。氷点下は当たりまえで積雪も日常茶飯事、五ヶ瀬という町には日本最南端のスキー場があるほどだ。

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でっかい雪玉が作れるレベルで積もったときの写真
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朝起きると車のフロントガラスが凍っていること多々。なにが南国か

「宮崎県ならどこも暖かいだろう」と薄着ぎみで県北部にやってきた観光客が、約束が違うじゃないかとばかりにブルブル震える姿を僕は幾度となく見てきた。なんとなくバツがわるい。

そう。寒いのだ。寒いうえに路面凍結の危険もあるので、冬の宮崎観光は県南部をめぐるに限る…と思う。住んでて言うのもなんだけど。

読売巨人軍がキャンプにくるくらいだし、きっと南のほうが過ごしやすくていいんじゃないか。あと犯罪者も南に逃げがちらしいし。

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車道だと200kmを超える道のり。片道3時間半!

そして、聞くところによると宮崎県の最南端には岬があり、そこでは野放しの馬が見られるそうだ。野放しの馬。想像したこともないので字面からピンとくるものはないが、見られるなら見てみたい。

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これくらい雪が積もることもある

そういうわけで寒さから逃げつつ馬を見るために、宮崎県縦断の旅を決行することにした。新品の冬用タイヤをすり減らしながら!スタッドレスタイヤは工賃込みで5万円!あぁ!

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ちょうど朝からバリ寒い

出発の朝、車の中に置いてあるデジタル温度計を見ると「-2.8℃」と表示されていた。

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インフルエンザに注意!
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いちばん後ろの山、雪で白くなっている

外に出るときは厚手のダウンを着ないとやってられない。南に逃げればこのダウンを脱ぐことができるのだろうか。脱がせられるもんなら脱がせてみな!

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出発!
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海が見えるとうれしいね

車を走らせてから1時間と少し。海が見えてきた。県を縦断するときは海沿いの高速を走るしかないのだけど、ずっと風景が良くてこれだけでも満足できる。

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普段暮らしているところ。箱庭の中にいるような空の狭さ

普段は標高300mほどの町で山々に囲まれて暮らしているから、スカッと広がった海と空は見ていて気持ちがいい。日頃はよくもまあ、あの空の狭さで正気を保っていられるなあと感心したくらいだ。

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真夏のような日差しに興奮する

まだまだ目的地の岬は遠い。あらゆる観光スポットを無視してどんどん車を進めていくと、いかにも南国っぽい道にたどり着いた。

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これだ!!!

この風景ですよ冬に見たいものといえば!南国ムードを演出するため等間隔に植えられたヤシ科の植物!

宮崎の道路といえばこうじゃないと。この木々も原産ではないだろうに、ここまで堂々と立ち並ばれるとわざとらしさを超えてある種テーマパーク的な説得力を感じる。好みだ。

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26.4℃?!

気温差を客観的に伝えるために温度計を確認したら、車の暖房を効かせていたせいでとんでもない数値を叩き出していた。熱中症の危険まであるという。ありゃありゃ。

これ以降も温度計は役に立たなかったので、僕の服装や写真の雰囲気で温度を感じ取ってほしい。

ちなみに天気予報上では、僕の住む県北部の高千穂町と県南部の市町村では最低気温で見たときに3〜5℃の差しかないことになっている。体感では15℃くらいちがう。

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ダウンが脱げるくらい暖かい

車の外に出てみると、ダウンが脱げるくらい暖かかった。その嬉しさで撮った写真が訪日外国人の雰囲気。かねてから憧れていた「やたら薄着の外国人旅行者」になれたようで嬉しい。

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カーディガンを脱いで袖もまくれた。寒がり、師走。

たまたま「有用植物園」という看板を見かけて、立ち寄ってみることにした。有用植物とは人間が食べたり加工したりできる植物全般のこと。有用・無用をスパッと線引きする堂々とした態度がいい。

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今年も夏がやってきた!

嘘のように日差しが強いし、見物客どころか職員すらいなくて植物園は最高だった。

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誰もいねー!
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無料、受付無しで入れるトロピカルドームが最高
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……楽しい

トロピカルドームという温室が最高だった。雨風をしのげる暖かい部屋で珍しい植物を見られるのだ。そんなことってなかなかない。

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変わった実があった。仏様の手に似ているから「佛手柑」
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かわいい

12月末にダウンとカーディガン脱げるのがいい。冬の宮崎観光の折にはぜひ県立トロピカルドームへ。土曜日に訪れたのですが人も少なくてよかったですよ。

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いよいよ都井岬へ

温室の居心地がよすぎてあらかた満足してしまったが、つぎはいよいよ宮崎最南端の都井岬に向かうことにした。高千穂からだと約3時間半くらいかかる。それだけ時間あったら沖縄とか行けるんじゃないかという思いはグッと抑え込もう。

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到着。遠かった…。

宮崎の最南端、串間市にある都井岬には日本在来種の「御崎馬」という野生馬が生息しているほか、九州で唯一登ることのできる灯台があることで有名だ。

だからなんだということもないのだが、串間市は漫画家の東村アキコ先生の出身地でもある。

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食事処があり、ブリ漬け丼を食べた
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普通に刺身がうまい

都井岬には2020年にオープンしたばかりの「パカラパカ」なる観光施設があり、中でご飯を食べることもできる。

僕は代表的なメニューであろうブリ漬け丼を注文、うまかった。新鮮で脂が乗ったブリの刺身は漬けにしなくてもいいんじゃないかと思えるくらい美味しくて、それが漬けになってるんだから美味しくないわけがない。

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謎解きイベントをやっていた

期間限定で謎解きイベントが行われていて、食事が提供されるまでの間にそれを楽しんだ。

館内の至るところに隠されたクイズを探して解くというものだが、スタッフの方がおせっかい焼きなのか、わざわざ近寄ってきてくれて「ここのドアを出たところに問題があります!」とアドバイスしてくれた。「分からない問題があったら言ってくださいね」とも。

あ、おれ、構ってもらえると嬉しいんだな、と思った。クイズは簡単だったので瞬殺した。

して、馬である。

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いた!

いた!御崎馬、すぐに見つかった!本当にその辺にいた。奈良の鹿くらい当たり前にいる。

もそもそと草を食べていて動きはゆったりしている。柵に囲われずとも縛られずとも、走る用事がなければ馬だってゆっくり過ごすのだ。ウサインボルトも用事がなきゃゆっくり歩く。

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動物のくせに左側通行を守っててえらい
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かわいい

御崎馬は競走馬と比べるとひと回り小さい馬で、ほとんど人の手が加えられず自然環境に適応して暮らしている。元は江戸時代に軍用馬として放牧が始められたとのことだ。

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ソテツ(植物)が自生するのも珍しいらしい

ところで岬といえば厳しい海風が吹きすさぶイメージだが、この日はほぼ無風だった。売店のおばあちゃんも「こんな日は珍しい」と言う。人間の力ではどうにもならない自然から受け入れられたと思える瞬間、大切にしていこう。指定校推薦。

そのこともあって、日が暮れつつあるのにも関わらずダウンなしでも快適に過ごすことができた。

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灯台は小ぢんまりとしていた
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オカンともオトンともとれる写真
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最終回みたいな風景だ

目標は達せられた。やはり、冬の宮崎旅行は南部がおすすめである。今回は個人的な興味を優先したのでマイナー寄りなスポットの紹介をしたが、同じ南部で言えばサンメッセ日南のモアイ像や鵜戸神宮など、他にも見るべきところは多い。

避寒のために沖縄まで行くのはハードル高いな…と思っている方は、ぜひ宮崎県南部に来てください。あるいは、忠告を無視して県北の寒さに打ちひしがれてください。

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宮崎には干し大根を七色に光らせるという文化もあり、これが見られるのは冬だけ!
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