このシワがすごい!2023
綿の服、持っていますか。洗っていますか。シワすごくないですか。私は仕事で着用する作務衣が綿素材なんですが、ビビるくらいシワが入っていることがあります。
ちゃんと構ってよと言わんばかりに縦横無尽についた皺は山間部の地形図のようにも見えて、壮大な冒険への憧憬と後ろめたさで朝っぱらから感情が揺り動かされる。
私がエッセイストならそんなふうに余裕をかませるのだけど、一介の生活者に過ぎないのでどうにかシワをごまかして無難に生活を送りたいと願っている。
ちなみに早起きしてアイロンがけは一身上の都合で無理だ。ギリギリまで寝たい。
そういうわけで、めちゃくちゃ速く動いて仕事するというのはどうかなあと思ったのだ。シワを見つけられないほど高速で動けば万事解決だろう。
じゃあ早速やってみようぜ。
素早く動けばアイロン要らず?
私は神社で働いているので、シワだらけの作務衣を着て行う作業といえばもっぱら掃除である。めちゃくちゃ速く箒を振りながら動き回ればシワをごまかせるはずだ。
外は雨が降っていたので公共施設のステージを借りて撮影をすることにした。このステージは1時間200円で借りられるのだ。安すぎる。
導入はここまでにして本題に入ろう。
圧倒的な速さの掃除を見せてあげますよ。シワが見つけられるもんなら見つけてください。
最後の写真の上着はアイロンがけした作務衣のように見えなくもない。
おお、ほんまやな。
動きも速いわけじゃないし、そもそも掃除になってないよ。
よく見ると体を動かすことによって布地が伸びてシワがなくなってるな。ほら、いい感じ。
でも動きと顔に気を取られてシワのこと忘れかけてたやろ。これがメンタリズムです。おれはぜったいに正しい。あと動くのが楽しかった。
100年前のお笑いという感じがする。イラッときてシワのことを忘れていた。
雑巾がけをする
はちゃめちゃに身体を動かすのは楽しいことがわかった。ステージで汗を流す喜び。はじける笑顔。これぞ青春だ。
みなさまもぜひ、お住まいの自治体が管理する体育館のステージを貸し切って青春を取り戻してください。
…ええと、なんの話でしたっけ。そうか、服のシワか。せっかくだから他のシチュエーションも試してみましょうよ!雑巾がけなんてどうだろう!
それではやってみよう。
窪田講評
シワ見えない度:★★(5点が満点)
シワを見せないために変わった動きになったが、シワはあまり消えず
もう自分で言っちゃうけど、そもそも動きが速くないよな。遅いまである。何がなんだか分からなくなってきた。
そもそも足の動きが要らないよ。ふざけるにしても緩急をつけないと。
いやいや、足が動いてないとシワがバレるから。あと、四肢を同時に動かすのは慣れへん動きやから脳に負担がかかるな。むしろ脳のシワは増えてるかもしれん……なんちゃって(笑)
それは知らないけど、近寄っちゃいけない人っていう感じは出てた。
じゃあ上手くいってるということで。人に見られんかったらシワないのんと一緒やし。
最後のわざとらしい顔!これしきのことで大げさな顔してたらS&P500が大暴落したときにする表情のストックがない。改善点ですな。
……。
この撮影大丈夫そう?どうしたらいい?同じインデックスファンドならオールカントリーのほうがいいと思う?
知らんよ。
俺は…俺は、レレレのおじさんとか死にかけの蜘蛛みたいな奇怪な動きがしたかったんじゃないんだ。デキる男風にスカッと決めたかったしそのイメージで臨んだけど、現実はそうなっていない!
撮影係講評
シワ見えない度:★★★★(5点が満点)
近寄りたくないので結果としてシワが見えない
他にもやるにはやった
この記事はだめかもしれない。でもステージの借用時間はまだまだある。時間がくるまでめいいっぱい様々なバリエーションでシワをごまかしてみようじゃないか。
ちょうどフキンを持っているので、手始めに台の拭き上げからやってみよう。
ズボンがピチッと伸びて白タイツにすら見える。白鳥の湖を想起させられて大変いい。
撮影係講評
シワ見えない度:★★★★★(5点が満点)
体を動かすことに集中しすぎてまったく台は拭けていないが、シワは伸びている。
ぬいぐるみでごまかす作戦
いきなり動物が出てきたが、次に取り組んだのはオオカミのぬいぐるみを抱きしめていればそっちが気になってシワどころじゃない大作戦だ。
写真では分かりづらいが、かわいいねえ君どこからきたの?うひぃ~!などとぶつぶつ呟きながらぬいぐるみを撫でている。ほかに語りかける用件もないので「カワイイネエキミ」と機械のように繰り返すさまは一見の価値あり。
撮影係講評
シワ見えない度:★(5点が満点)
説明を聞いても、やっているところを見ても全く意味が分からなかった。思ってもないだろうに「かわいいねえ」と何度も繰り返していて怖い。
LEDで目眩まし作戦
最後に紹介するのは、LEDテープライトを身にまとって目眩しをする作戦。「作戦」という言葉の価値がどんどん下がっていくのを感じる。俺にもまだ世界を変える可能性があるのだ。
あ、いまシワのことを忘れてましたね?それが狙いです。
窪田講評
シワ見えない度:★(5点が満点)
せめて部屋を暗くするとか、夜に外に出て撮影するとかすればいいのにそれすら放棄する態度がGood!そんなマメなことができるならアイロンをかけるくらいのこと簡単にやってのけるからだ。ズボラさが一貫している。