秋芳洞
御堀堂から車で1時間ほどで秋芳洞の入り口についた。呼び込んでもらったお土産屋さんに車を止めさせてもらったところ、お土産を買うか食事をしたら駐車料金無料とのことだった。
お土産はもうういろうがあるので食事をさせてもらった。お母さんにおすすめを聞いたところ「山口ならかわらそば!」と即答だったので「ではそれで!」とこちらも即答で注文。
しかし「かわらそば」ってなんだろう、と思って待っていたところに、納得のビジュアルの食べ物がやってきた。
瓦そばはその名の通り瓦の上で茶そばが焼かれている豪快な食べ物だった。錦糸たまご、肉、玉ねぎ、もやしなんかも一緒に焼かれていて、カリっと焼かれた熱々の具材をもみじおろしの入ったつゆで食べる。
瓦そばで元気を出して(実際雨がやまないのでテンションを保つのが大変なんです)秋芳洞へ向かう。こういう天気の日には鍾乳洞がありがたい。
秋芳洞の中の気温は通年で17度くらいらしい。この日の山口は季節外れの暖かさということだったが、小雨がずっと降っていたので肌寒かった。秋芳洞に入るとしっとりとした空気が心地いい。
鍾乳洞の中はそこら中から水が流れる音がした。それもぴちゃぴちゃとかそういうレベルではなく、ざーざーと流れているのだ。おかげで湿度がものすごく高い。歩いていると冬なのに汗びっしょりになる。
秋芳洞すごい。
前にヨルダンのペトラという遺跡を見に行ったことがある。岩に囲まれた砂の道を歩いていくと、巨大な神殿に突き当たるのだ。そのインパクトがとにかくすごくて今でもあの感動を覚えている。
比べるものではないとわかっているけれど、でもこれ、同じくらいすごいんじゃないか。
秋芳洞はとにかく広くて長いのだけれど、行けども行けども見たことない景色が続いているので途中で引き返そうとは思わない。
とりつかれたように最後まで歩くと、突き当りに「三億年のタイムトンネル」という場所がある。地上へと続くスロープの両側に、秋芳洞の誕生の物語が壁画のように描かれているのだ。
三億年というのはサンゴ礁の石灰が堆積して秋吉台を作った年月らしい。それをこのトンネルで早送りで振り返ることができる。一歩がたぶん10万年くらいである。
これを見ると山口までの新幹線が長い、とか言っていられない。地球先輩ははるか大昔からずっと真っ暗な宇宙空間を移動し続けているのだ。お疲れさまです!
秋芳洞の出口でおすすめを聞いたところ、坂を上ると展望台があるので行ってみてほしいとのことだった。
秋芳洞から出てしばらく森の中を歩くとさっと視界が開ける瞬間がある。
いままで歩いてきた洞窟からの解放感で眼がくらみそうになるのだけれど、これきっと晴れた日だともっと感動するだろう。
これがあのカルスト台地か!
目の前に広がっているのが地理の時間に習ったカルスト台地である。
旅での感動は2種類あると思う。一つは「あ、これ写真で見たことあるやつだ」という感動。ピラミッドとかモナリザなんかを見たときがこれだ。もう一つが「こんなの初めて見たわ」という感動である。僕にとってカルスト台地は後者だった。聞いたことはあったけど実際に見るとこんなすごかったのか、というタイプの感動。
この日は平日でしかも天気が悪かったからか、僕の他に二人連れの外国人観光客がいただけだった。この果てしなく広いカルスト台地に僕らだけである。僕らだけ避難し忘れたんじゃないのかと不安になる。
しばらくカルスト台地を歩いてみたのだけれど、見事にずっと同じ景色だった。
秋吉台にはジオパークセンター「カルスター」というカフェを併設したおしゃれな情報局があった。
カルスターは簡単にいうとカフェ併設の観光案内所。好きに時間を過ごせるし情報も手に入る。旅行者同士だけでなく、地元の人からリアルな情報が手に入るのはありがたい。
こういう場所が観光地にあるのは本当にいいなと思うんだけど、運営していくのが難しいのか、他であまり見ないなと思う。
ここカルスターで次に行くべきおすすめを聞いた。
「車ならビューって行ってね、パっと釣れてサッと料理してくれるから今から行っても大丈夫!」と。すごくスピード感のある説明である。わかりました!ビューっと行ってきます!
ニジマスの釣り堀
美祢市養鱒場は秋吉台から本当にわりとすぐだった。ずっと雨が降り続いているけれど、鱒はそもそも水の中にいるんだから関係ないだろう。
釣りは定期的に気になるのだけれど、どうしても釣れたときのことを考えると手が出せないでいる。針が口に引っかかるの痛そうじゃないですか(個人の感想です)。
でもここなら「パっと釣れてサッと料理」である。ニジマスも許してくれるんではないかと思う。ずいぶん自分勝手な想像だけれど。
雨だからというわけではなく、季節的に調理がお休みみたいだった。ということはどういうことか。
養鱒場の人に聞くと、釣り堀自体は営業しているのだけれど、調理ができないので釣った分は持って帰ってもらうしかないとのこと。僕はホテル泊なので魚を持って帰ることができないのだ。残念だけれど、釣りが苦手な僕にとってはちょっとほっとしたところもある。
このきれいな水は近くにある弁天様から湧き出しているのだとか。
水の湧いている池が近くにあるというので見に行ったら、これがちょっと信じられないくらいの透明度だった。
秋芳洞といい、山口の水のきれいさはちょっと並外れている。山口のイメージに「きれいな水」というあたらしい要素が加わった。
釣りはできなかったが、次に行くべき場所は釣り堀の管理人さんに教えてもらえたのでよかった。このあたりは山口県の中心部なので行こうと思えばどこへでも行けるのだという。ただし気を付けないと山口は広いので帰ってこられなくなるぞ、とも言っていた。
おすすめは元乃隅神社か萩市、だけど時間的に両方行くのはちょっと難しいかなー、とのことだった。何の根拠もないけど、なんとなく元乃隅神社を目指すことにした。