翌日は新山口駅から
翌日の旅は新山口駅から始めることになった。この日も雨だったので急きょ新幹線の駅前でレンタカーを借りたのだ。山口駅から新山口までは山口線というローカル線で20分である。
昨日は暗かったのでわからなかったのだけれど、この山口線がまたとてつもなく旅情にあふれていた。
新山口駅はいい。前にも一度来たことがあったのだけれど、その時も感動したのを覚えている。
まず壁や通路が植物でおおわれているのだ。
壁の植物以外も、新山口駅はいたるところがかっこいい。建築には詳しくないのだけれど、きっとすごい人が設計したんだと思う(予想)。
そして駅前にはコンビニ「ポプラ」がある。弁当を買うと炊き立てごはんを提供してくれるコンビニである。
興奮して長くなってしまったが、無事車を借りたので、まずは山口出身のアイデム藁品さんから熱烈に推された場所に行ってみたいと思う。
一貫してういろう押しである。これまで何度か山口のういろうを食べたことがあるが、藁品さんの勧める生ういろうはまだ食べたことがなかったのだ。
この荘厳なお寺の向かいにあるのが御掘堂(みほりどう)香山支店である。
ういろうについては僕も愛知県出身者として譲れない気持ちを持っている。つまり名古屋のういろうがベストだと教えられて育ったのだ。藁品さんがそんなに推す山口御堀堂の生ういろうがどんなものなのか、食べさせてもらおうではないか。
せっかくなので藁品さんの体験したルートで食べたい。
最初読み飛ばしていたのだけれど、藁品さんのメッセージには「よく池に落ちた」と書かれている。
この池だろうか。だとしたら大変なことである。背後にそびえる五重塔は国宝だ。この池にたびたび落ちていたとなるとかなりつわものである。いくら地元の学生だからって警備員にしょっ引かれかねない。
もしかしたらもっとカジュアルに落ちられる池が他にもあるのかもしれない。境内を見て回った。
判断がつかなかったので藁品さんに写真を送ってみたところ、よく落ちたのは国宝の前の池だということがわかった。なぜだ、なぜあそこに落ちるのか。
藁品さんのおすすめに従い、池を眺めることができるベンチで御堀堂の生ういろうを食べた。
御堀堂の生ういろうは確かにハイレベルだった。僕の知っているういろうは、なんというかもっと庶民的な、けっしてお土産物の先頭を張ることができる食べ物ではない。しかしこの御堀堂の生ういろうは、これはもう十分にセンターを張れる和菓子として完成されている。
わらび粉が入っているおかげで口当たりがあっさりしていて、それでいて上品な甘さで、悔しいけれどこれは美味しい。バラで10個買って帰った。帰りの電車で3個食べた。
帰り際に駐車場で御堀堂の店員さんに会ったので、このあとどこへ行くのがおすすめだろうかと聞いたところ「山口が初めてなら萩か秋芳洞ですね」と言っていた。やはり山口といえばカルスト台地なのだ。行きたいと思っていたのでちょうどよかったです。