広告企画 2019年12月19日

雪雲の切れ間から見えた知床連山が神がかっていた~地元の人頼りの旅in北海道~

いざ知床へ

翌日は朝いちばんで、網走の道の駅で勧められた知床に向かうことにした。ありがたいことに天候も回復してきている。

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とはいえこの景色ですが。

北海道出身の知り合いに聞いたところ「道民でも知床には行ったことがない人が多いだろう」と言っていた。確かに北海道は一つの都道府県としては広すぎるのだ。

くわえて知床は、冬場にはアクセスルート自体が閉鎖される。僕が行ったのが11月の最後の週だったのだけれど、まさに翌日から閉鎖します!と書かれたルートを通ってきた。

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知床自然センター。
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この日、ヒグマ出没のためほとんどの散策路が閉鎖されていました。

あらかじめサイトで確認してから来たので予想通りなのだけれど、やはりこの時期は冬眠前のヒグマの活動が活発なのだ。小説「羆嵐」でいうところの「穴持たず(冬眠時期を逃してうろうろしているヒグマ)」である。

センター内もヒグマ情報が盛りだくさんだった。

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ほぼヒグマ情報館といっても過言ではない。
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人間の後を付けまわすヒグマ。
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ヒグマ川柳。
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ヒグマ。

センターの人に聞いて、この日、唯一ヒグマ出没による閉鎖がされていない散策路があるというので行ってみることにした。林の中を2時間くらいかけてぐるりと歩くコースなのだとか。

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おすすめよりむしろ「ぜったい行っちゃダメ」という場所を聞いた感じです。
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知床連山を望む散策路

このコースは開拓時代の小屋が残っていたりするのと、途中で見える知床連山の眺めが素晴らしいらしい(ただし晴れたら)。

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ここから「散策路」という名の森に入ります。
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それでもたまにヒグマ出てるな。

森に入ると雪がぐっと深くなって足音が変わる。それと同時に耳に聞こえる音がなくなる。雪が周りの音を吸収してしまうのだろう。

しずかな森を歩く自分の足音が、たまにザザッ、ザザッと重なって聞こえることがあるのだが、あわてて振り返っても誰もいない。完全に疑心暗鬼になっている。

だって道についている足跡はどうみても動物のものしかないのだから。

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雪道に残っているのはどう見ても人ではない足跡。
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しばらく歩いたあと、雲の切れ間から見えた知床連山がすごかった。
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ちょうど連なる山頂の部分だけ雲が切れていたのだ。神々しいとはこういうことか。

センターの人が「晴れたらここの景色はヨーロッパの山並みみたいですよ」と言っていたのだが、確かにこれはちょっと日本離れしていると思う。

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オロンコ岩

知床自然センターでは他にも「知床八景」について勧めてもらっていた。

冬季のため閉鎖されている区間が多かったが、冬でも見られるスポットとしてオロンコ岩がある。

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これがオロンコ岩。

行ったことないけどオーストラリアのエアーズロックみたいである。目の前に巨大な物体があると普段意識しない「地球に住んでる」感を感じられる。

エアーズロックは先住民たちの信仰に配慮して登ることが禁じられたらしいけれど、オロンコ岩は今のところ登ることができる。

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ここから登れます。

ただしそうとう怖いので注意だ。

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急な階段、右は落石、左は崖。そして容赦なく吹き付ける海風。
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これは振り向いてはいけないやつである。

顔のすぐ近くをすごい速い風が吹き抜けていく。

登るのは大変だし怖い。ただ、登ってしまうと絶景が見られる。

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ぜひ頑張って登ってもらいたいです。
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ここからも知床連山が見えます。
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ほんとにすごい。
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現地でCDを買う

今回は移動手段がほぼ車だったので、どうせなら冬っぽい曲を聴こうと思い網走のリサイクルショップでglobeのCDを買って道中ずっと流していた。

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100円でした。町で新品のCDが買えるお店を見つけられなかったことにも驚いた。

吹雪きの車内でもめげずに待っていられたのはこのCDのおかげである。途中で一曲、ずっとtrfだと思っていた曲がglobeだったという発見もあった。

最後に一か所、知床自然センターで勧めてもらった鳥の観察スポットに寄ってから帰りたいと思う。

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沸湖水鳥・湿地センター

濤沸湖(とうふつこ)は網走から知床へ向かう途中にある湖で、野鳥の保護を目的としたラムサール条約に登録されている。

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濤沸湖水鳥・湿地センター。

自然の湖なのでもちろん外からも鳥は見られるが、ほとりにある水鳥・湿地センターの中は暖かいし(重要!)しかも自由に使っていい望遠鏡や双眼鏡がそろっているので絶対におすすめだ。

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時間帯によると思いますが、センターの職員さんの手が空いている時にはいろいろと教えてもらえます。

職員さんによると濤沸湖にはこの時期、オオハクチョウとオオワシがやってきているという。汽水湖で氷にくく小魚がたくさんいる濤沸湖は鳥たちにとって絶好の環境なのだ。

そろそろなんらかの静的な趣味を持ちたいなと考えている人、バードウォッチングですよ。写真を撮るのももちろんいいのだけれど、どうも興味が機材の方向(カメラとかレンズとか)に行きがちなので、ここは純粋に「鳥を眺める」という行為に浸ってもらいたい。

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肉眼ではまったく何も見えないですが、望遠鏡をのぞくとそこには
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オオワシが。

望遠鏡をのぞいていて思ったのだけれど、これはおそらくアイドルとかジャニーズなんかを追う気持ちに似ているんじゃないだろうか。オオワシがなにかの拍子にこちらを向いたとき、思わず「いま目が合った!」と思って舞い上がってしまった。

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オオハクチョウは肉眼でもこのくらいの近さで見られます。
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望遠鏡を通すとこの迫力。
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鳥を眺めながら日が暮れていきます。

濤沸湖のほとりで鳥を眺めていると、あたりが暗くなってきた。そんなに長い時間眺めていたのか、と驚いて時計を見たらまだ午後3時すぎだった。予想以上にまだ昼だ。

北海道、日の入りが早すぎるのだ。

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この日の日没は3時40分ごろでした。

身動きがとれないのも旅

今回は雪や風にびびって動きがかなり制限されてしまった。加えて日の入りが早いので外での取材にはむかない季節なのかもしれない。

でもおかげで早くホテルに帰って本を読んだりできたのは、普段の取材ではあまり経験しないことだと思う。行ってみないとわからない。地元の人頼りの旅の面白さはこういうところにもあると思います。

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おすすめされてやってきた知床の温泉は閉まっていました。
北海道出身の岡田さんにリアルな地元話を聞きました。
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