秋田はとにかく美味しかったです
地元の人に頼り切って秋田を旅してきました。いまこれを書きながら思い出していると、うなぎも日本酒もバナナボートも、秋田で食べた美味しいものがふわふわと頭をよぎる。また行きたい!すぐにでも行きたい!そう思わせる県ですよ秋田は。
先にも書いたが、今日の秋田の雨はざざーっと集中的に降ったかと思うと、ぱたんとやんで日が差してきたりする。
次に行くのは初日に観光案内所で教えてもらった展示。県立美術館で写真家木村伊兵衛の展示をやっているのだとか。
木村伊兵衛は昭和のはじめにライカというカメラを使って人物やスナップをたくさん撮った写真家である。僕をはじめ、ライカという響きに心を握られている写真好きにとっては神様のような存在なのだ。
そんな神様の展示がたまたま取材に来た秋田でやっているとは。なんたる運命。
ライカとは不思議なカメラで、僕は人を撮るときにはこれを使うようにしている。これをきっかけに会話が始まったりすることも多いのだ。
今回も、初日に会った金内さんがライカを使っていて、おかげでかなりカメラの話で盛り上がった。海外だと「nice camera!(いいカメラだね!)」と話しかけられることも多い。そういう会話のきっかけのために、使わなくても持っているということもある。
で、木村伊兵衛さまの展示である。これが圧倒的でした。知ってる写真がほとんどだったけど、それでも大きなサイズで見ると改めて感動いたしました。さすがセンパイ(おこがましい)。
降り続く雨が靴に入り、いいかげん中ががっぱがっぱ言っているので、今日はもうホテルに帰って寝たい。これ以上歩いたらおねしょするかもしれない。
ホテルのフロントで教えてもらい近くのスーパーに行ったら、食べきりサイズの美味い物がいろいろ売られていて明日への希望が見えた。
こうなると秋田の美味しい日本酒も飲んでみたいのだけれど、僕はお酒に詳しくないのでどれを買ったらいいのか全く分からない。
日本酒売り場で悩んでいる僕をしりめに、スパスパっと一升瓶を2本抜いていったおかあさんに、初心者はどれを飲めばいいのか聞いたところ、これを勧めてくれた。
このにごり酒、とろりとして確かに美味かった。僕はしょうじきあまり日本酒に強くないので(調子に乗って何度か失敗したことがあります)このサイズが正解。ホテルでお笑い番組を見ながら「いいあんべい」をつまみに、なめるようににごり酒を飲んでいたら、不意に年末がやってきたのを感じた。
そして翌日。
昨日から、泊まっているホテルの正面にタワーがあるなと思っていたのだ。誰に勧められたわけでもないのだけれど、気になったので行ってきた。
チェックアウトする前に歩いて行ってみたら、これは秋田港ポートタワー「セリオン」というらしい。
なんとこのタワー、展望階まで行くのが無料なのだ。てっぺんまで行くと、無料では恐縮してしまうくらいに眺めがいい。
昨日とはうってかわって今日は晴れの予報だったので、昨日行けなかった場所に行ってみたいと思う。
まずは観光案内所で教えてもらったうなぎの「横田屋」に向かう。とにかく人気なので時間に余裕があればぜひ、とのこと。行きたいお店がある場合、余裕は作るタイプです。
いい匂いの跡をつけてお店に近づくにつれ、人が増えてきた。もしかして、と思いながら歩くと、やはりこの人たち全員横田屋狙いだ!
うなぎ屋は待つものである。
いまうなぎ通(ツウ)みたいなこと言ったが、ただの負け惜しみなので流してください。それにしても秋田といえば地鶏とかハタハタなんかが有名な気がしていたのだけれど、まさかのうなぎとは。
うなぎの匂いに誘われたのか、心ここにあらずといった表情の猫が来てくれた。
店内はもちろん満席である。みたところ観光客というよりすこしおしゃれをした地元の人たちが「たまにはうなぎでも」といった感じで来ているようだった。
店長のおすすめというランチメニューの「うなたま丼」。うなぎのかば焼きを半熟玉子でとじてある。かば焼きも白焼きも美味いんだろ、でも僕は、うなぎの食べ方はこれが正解なんじゃないかと思ってしまった。
お店の人にこのあたりで電車が来るまで時間つぶせる場所ないですか、と聞いたら教えてくれたのがこちら千秋公園。
千秋公園は江戸時代から続く秋田藩の居城、久保田城の跡。紅葉は終わりかけていたけど、雨上がりのしめった日差しが木々の間からこぼれていて、思わず走りたくなった。
地元の人に頼り切って秋田を旅してきました。いまこれを書きながら思い出していると、うなぎも日本酒もバナナボートも、秋田で食べた美味しいものがふわふわと頭をよぎる。また行きたい!すぐにでも行きたい!そう思わせる県ですよ秋田は。
<もどる | ▽デイリーポータルZトップへ | |
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |