おすすめスポットその10:切ないけど見ておきたい「無言館」
やってきたのは無言館という美術館だった。
第二次世界大戦に出征し、若くして亡くなった美大生達が遺した絵画や手紙・道具などが展示されている。
館長さんが全国をまわり、遺族を訪問して絵を集めたのだという。絵画には、遺族たちによるエピソードが添えられていて、涙せずにはいられなかった。
戦争に行く前に描かれた絵には家族・恋人が多かった。
戦地にはスケッチブックなどなく、紙クズに描いた、というエピソードもあった。
胸が苦しくなるけれど、せめてその人たちの作品を見る事ができてよかった。
そんな無言館をススメてくれたのは、実は次に行く「前山寺」のお母さんだった。
前山寺には要予約のおいしい和菓子があると聞き、朝に電話を入れていた。その時にせっかくなら無言館に行ってほしい、と言ってくれたのだった。
おすすめスポットその11:前山寺の「くるみおはぎ」
前山寺は、これがまたとても居心地の良いお寺だった。
前日にちょうどイチョウが散ってしまったそうだが、それでも真っ赤に染まった紅葉が美しい。参拝したあと、本堂の奥でお目当てのくるみおはぎをいただいた。
甘じょっぱうまいタレは境内で採れる鬼くるみで、おはぎは塩田産の餅米で作っているらしい。まさに上田ならではのスイーツだ。
しかもお庭と、その向こうに広がる塩田平を眺めながらいただけちゃうのである。
娘さんのおススメは少しこわい伝説がある池である。
おすすめスポットその12:人柱の伝説がある舌喰池(したくいいけ)
塩田平を自転車でこいでいる時にも1つ見かけていたが、この辺りはため池がたくさんある。
というのも、冒頭で書いたように上田は昔から雨が少ない地域なのだ。
雨不足に悩まされた人々はため池を作るようになるが、この大きな池は水が漏れて溜めることができなかった。
そこでくじ引きで人柱を立てることになったのだが、引き当ててしまった若い娘さんは悲しみのあまり人柱になる前の晩に舌を食いちぎって身投げしたそうだ。
以来、この池は立派に水をためられることになったそう。
当時、ため池を作るのはそれほど大変であった、という事がこのような物語になっているのだろう。舌を食いちぎるとか怖いのでそうであってほしい。
上田では雨をもたらす象徴である龍をあがめたり、雨乞いに関連したお祭りもあるそうだ。
ちなみに、最初にやっていた謎解きゲームにもこの雨乞いが関連している。最初にゲームをしていたことで色々理解できる事があって楽しい。
おすすめスポットその13:木造校舎と丸窓電車
そのすぐ近くには、とても情緒ある木造校舎と電車を見ることができる。
とてもかっこいい木造校舎が残っていた。
手前にある丸窓電車は、昔使われていた別所線で、平日は開放されている。
私が訪れたのは週末だったが、たまたま職員さんがいて運よく開放されていた。
この電車は昭和3年に製造され、昭和61年に引退するまでの58年間、別所線を走っていたそうだ。
昭和は64年までだから、ほぼほぼ昭和の時代を走り続けていたわけだ。
お疲れ様、と言いたくなる。
あの前山寺の母娘はこの校舎に通い、ここからの山々の景色を毎日見ていたのだろう。そしてお母さんはきっと、この丸窓電車に乗って青春時代を過ごしたのだろう。
地元の人と同じ風景を見て、体験して、そういった想像を膨らませて楽しむのがこの旅の醍醐味だ。
おすすめスポットその14:ファン多し!中村屋の馬肉うどん
今回の旅で、食事処として一番話題にあがったのがこちらの中村屋さんの肉うどん。
馬肉を使う。
ちょっとクセがあるため苦手な人もいるという一方で、だんだんハマってしまいたまに無性に食べたくなるという人たちも多かった。いったいどんな味なのだろう。
馬肉は身構えるほどクセはなく、柔らかくて食べやすい。子供が好きなんじゃないかなと思うくらいけっこう甘めのツユで、七味唐辛子やネギがよくあう。うどんは柔らかめなんだけど柔らかすぎずで食べやすかった。
おすすめスポットその15:みすゞ飴本舗「四季のジャム」
上田駅からすぐの所に、みすゞ飴本舗というお店がある。
みすゞ飴とは、明治・大正期から飯島商店が作り続けている由緒あるお菓子のことらしい。
和風のゼリー菓子で、あんず、うめ、さんぽうかん、ぶどう、もも、りんごの6種類がスタンダード。国産果実だけを使用し、無香料・無着色にこだわっているそうだ。
少し固めの食感で、とても素朴な味がした。
そしてそして、このお店のジャムがまた美味しいのだそうだ。
苺ジャムから、あまりスーパーでは見かけないようなジャムがたくさん並ぶ。
悩みぬいた末、私は初めて聞く「ルバーブ」にした。長野県産だ。
シベリア原産のタデ科の多年草で、ジャムにすると果物と野菜の間の味がするという。