特集 2021年9月27日

伊豆シャボテン動物公園を知っていただきたい

静岡県伊東市に「伊豆シャボテン動物公園」という施設がある。

ははぁ、サボテンと動物があるのね、と思うだろう。ちょっと知っている人は「カピバラもいるよ」とおっしゃるだろう。

でも違うんですよ。それだけじゃなかったんですよ。

ちょっと見てもらえますか。

 

1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。(動画インタビュー)

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駐車場でクジャクに出迎えられる

伊豆シャボテン動物公園。どこにあるかというと伊豆半島のこの辺である。東京から車で2時間から3時間くらいといったところ。

ちなみに公式HPの「アクセス」によると、最寄り駅はJR伊東駅か、伊豆急行線の伊豆高原駅。どっちの駅からも車でちょっとかかる。

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ちゃんとJRと伊豆急行線で線の種別を変えていますね……と、こういう案内図を「インディーズ路線図」として愛でていますが、それはまた別の話→インディーズ路線図とはなんなのか

以前、伊豆に家族で訪れたとき、宿の近くに「伊豆シャボテン動物公園」があると知ったのだ。

伊豆・シャボテン・動物。まるで三題噺のような取り合わせ。昔、那須高原で「3Dメルヘン水族館」という施設を見かけたことを思い出す。

3Dでメルヘンで水族館ってなんなんだ、というのは今は置いておいて、伊豆シャボテン動物公園である。世間的には「カピバラの露天風呂」で有名らしい。確かになんかテレビで見たことある。

で、時間もあるしちょっと寄ってみようかね、という軽い気持ちで行ったのだった。

車を走らせ、道路に面した入口から入る。そこから駐車場までの道のりで、出会ったのがこれ。

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キムタクばりに「ちょ待てよ」と言った。

道にクジャク。ただちに停車である。どうしたどうした?

あとでわかったことなのだけど、伊豆シャボテン動物公園では園内でクジャクを放し飼いしており、駐車場まで彼らのナワバリらしい。

確かに全然逃げない。「うちのナワバリになにか?」という佇まい。

これはただ事ではない、という予感を抱えながら、駐車場に車を止めいざ入園。

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メインゲートです。

ゲートをくぐり、チケットをもぎられ奥へ進むと、ちょっとした広場に出る。

その広場から見る、入園して最初の景色がこれだ。

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山、遺跡、動物、ピラミッド、よくわかからないなにか。

とても静かだ。静かなのだけど情報量が多くないか。

ひとつひとつ見ていきたい。

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まずこの大きな山はなんだ

奥にでっかい山がある。でも、なぜか木が一本も生えていない。

この山、ここに来るまでにもチラチラ視界に入っていて気になっていた。実は伊豆シャボテン動物公園のものではなくて、隣に位置する「大室山」という山。

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園内の別のアングルから。奥のなだらかな斜面が大室山。リフトがあって頂上まで登れる。

大室山の標高は580m。伊豆東部火山群のひとつであり、山全体が国の天然記念物。

かつては茅ぶき屋根でお馴染みの「茅(かや)」の採草地であり、雑草を処理するため山焼きが行われていたそう。木が一本も生えていないのはそのせい。

現在は茅を育ててはいないが、山焼きは「観光イベント」として毎年行われているという。

で、最初に山焼きを観光に利用しようと考えたのが、伊豆シャボテン動物公園らしい(大室山登山リフトオフィシャルサイト より)。すごい。そこも絡んでるんだ。

よし。あの広場が大室山を借景としているのはわかった。

じゃぁこれはなんだ。

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なんかいるんですよ

先に言っておくと、白いピラミッドみたいなのはサボテンの温室で、両脇にある遺跡(戦士の像)は詳しく説明します。

それ以外に、白ピラミッドの手前になにかいるのだ。カメラをのぞいてズームしてみる。

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なんかいるなー。
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いるなー!
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なんかいるし、鳩もびっしりいるなー!

この動物公園には、無数の鳩を乗せた巨鳥がいるらしい。

でも、この場で得られる情報はここまで。「巨鳥がいるな……」と思いながら、我々は園内を回る。

フラミンゴが近すぎる。アロエがでかすぎる。

広場のそばに「バードパラダイス」というエリアがあった。

園内の一区画がネットで囲われており、その中で鳥たちが放し飼いになっているという。「じゃぁさっきのクジャクは?」と思いつつ、パラダイスに足を踏み入れてみる。

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神様の使いみたいな鳥がいる(ホオジロカンムリヅル)
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シロクジャク。さっき放し飼いになっていたのはインドクジャクだそう。

パラダイスの中は珍しい鳥たちでいっぱいだった。放し飼いということもあり、鳥たちと人間のあいだには何の仕切りもない。

するとどうなるかというと、こんなことになっている。

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ピンクの画素はだいたいベニイロフラミンゴです。

通路のそばでフラミンゴが何羽も立っているのだ。

みんな身体に首をつっこんでじっとしている。手を伸ばせば足がつかめそうなほど近い。フラミンゴと並んでのツーショット写真だって可能だ(撮り忘れたけど)

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身体に首をつっこみ、一本足で寝ているフラミンゴ。こんなに人間がウロウロしているのに安心して寝ているなんて……。

鳥たちが人類へ寄せる信頼を裏切らないよう、紳士淑女の振る舞いでパラダイスをあとにする。

その先は、動物たちが暮らしているエリア。

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カピバラ、ヤマアラシ、ブラジルバク、フェネック。

やっと一般的な動物園の感じになってきましたね、と思っていると、こんな光景にぶつかる。

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ちょっとちょっと

「ロックガーデン」と名付けられたこのエリア、古代メキシコ文明の石像のレプリカがドドンと並び、植物も負けじとデカい。

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こんなデカいアロエが地球上にあるの

「ロックガーデン」の「ロック」は、かつて溶岩だった岩壁。

約5000年前、さっきの大室山が噴火(大室噴火)した際、溶岩の流出口に「岩室山」という山ができた。その岩室山の上に、伊豆シャボテン動物公園はできてるという。

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園内には、アステカ、オルメカ、マヤなどの古代メキシコ文明の石像(レプリカ)があちこちに。これらは交流のあるメキシコ市から送られたもの。
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は~すごいね~と感心していると、またインドクジャクが通りかかる。慣れてきた。

巨鳥の正体が明らかに

ロックガーデンを抜けると、プレーリードッグが暮らしていた。

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あらかわいい

このプレーリードッグ、どんなところに住んでいるかというと、こんなお住まいである。

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真ん中にある遺跡を模した住居にプレーリードッグがいる。

写真をよくご覧いただきたいのだけど、ここ、檻になっていない。

プレーリードッグはとても小さく、周りを囲む壁を越えられない。そんなわけで周囲はとても開放的になっており、彼らの姿をじっくり観察することができる。いわゆる「行動展示」のひとつだろう。

ただ、あまりに開放的なぶん、こんなトラブルも起こる。

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クジャク乱入

中から出られないかもしれないが、外から入り放題なのだった。

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侵入者だ!
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「なんだお前!なんだお前!」

大自然ではおよそ起きえないコラボレーションを堪能しつつ、先に進む。

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他にも、上から降りてこないヤギがいたり……
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カピバラと触れあえるコーナーもあった。「カピバラの露天風呂」は冬の開催です。

そんなこんなで動物たちのエリアを抜ける。

すると、目の前にアレが現れた。

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さっきのアレだ!

広場から見えた巨鳥!

デカい鳥……と思っていたが、後ろ足のほうをみると、なんだか恐竜っぽさもある。鳥獣だ。あとで調べてみると、かつて「高原竜ヒドラ」としてウルトラマンに登場したこともあるという。

しかしこの像、ただオブジェとして座っているのではない。伊豆シャボテン動物公園にとって、重要な役割を果たしている。

それはなんでしょう?

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正解は「サボテン温室の入口になっている」でした。

あの白ピラミッドの温室、ここから入るのである。前脚のあいだから地下にトンネルが延びているのだ。

「なぜここから……?」と思いながら歩を進める。

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それはそれはサボテン三昧です

白ピラミッドは全部で5つ。それぞれ「南アメリカ館」「メキシコ館」「マダガスカル館」など地域に分かれており、世界中のサボテンを堪能できる。

メキシコの砂漠にあるような「あのサボテン」もあれば、地を這うように伸びるもの、モシャモシャした姿のもの、マリモみたいにまん丸のものと、同じサボテンでもこんなに種類があるのかと驚く。

特に、さっきの写真の右下にあるマリモ状のやつですが、

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5年生から50年生まで展示

どうやらあの大きさになるまで50年ほどかかるみたい。そういえばサボテンの年齢なんて意識したことなかった。こんなにジワジワと大きくなるのか。

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白ピラミッドのひとつでは、フクロウがお出迎え

通路脇にポツンとたたずんでいたフクロウ。本物そっくりだなぁと思いきや本物である。

白ピラミッドのひとつが、フクロウ放し飼いエリアの「フクロウの森」になっていた。

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「フクロウの森を楽しむ心得 ①おどろかせない ②おいかけない ③彼らの心を知る」

もうひとつのバードパラダイスがここにもあった。そろりそろりと温室を抜ける。

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ちなみに白ピラミッドをつなぐトンネルにも火山岩がそのまま活かされている。
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最後に広い温室に出た。

5つの温室をすべて抜け、最後にたどりつくのが「シャボテン狩り工房」である。

エリア内にはサボテンや多肉植物がたくさん植えられている。それらを自由に取り、器を選ぶと、最後に寄せ植えしてお土産にできるのだ。

さっきは巨大なサボテンに圧倒されたが、小さな多肉植物たちは色も形もさまざまで、とてもかわいい。家族も目移りしながら選んでいた。

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植えられている多肉植物のうち、好きなものを箸で取る。係の人に持っていくと寄せ植えしてくれて、植物代と器代の合計を支払う仕組み。
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こんな感じになる。かわいい。

動物も見た。サボテンも見た。かわいいお土産も買った。

しかし、伊豆シャボテン動物公園はまだまだ終わらない。園内マップを確認すると、まだ全てのエリアの半分を回ったにすぎなかった。

本物の動物がいるジャングルクルーズ

「ちょっと寄ってみよう」というつもりで来たので、残りの全エリアを回る時間がない。体力もだいぶ使ってしまった。こんなに広いとは……。

残された力を振り絞り、やってきたのは「アニマルボートツアーズ」。

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アニマルボートツアーズ。右下に見える白いものがボート。

ディズニーランドに「ジャングルクルーズ」というアトラクションがあるじゃないですか。ボートに乗ってジャングルを探検し、野生動物たちを見つけたりするやつ。

その野生動物が「本物」なのがアニマルボートツアーズです。

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出港。もうフラミンゴがいる。

大人10人乗りくらいの小型ボートに乗って、園内の運河を巡る。ジャングルクルーズと違うのは、説明のテンションはそこまで高くないこと。

逆に、あんなハイテンションで説明を繰り出したら、動物がビックリしてしまうだろう。リアルなジャングルのクルーズは息を潜めるのが正解である。

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運河にはサルたちが住む島があちこちにあり、ボートに乗りながらその生活を観察できる。
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なので「野生の姿をついにとらえた」みたいな写真がバンバン撮れちゃう。これはワオキツネザル。
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こちらはリスザル。小さくてかわいい。
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赤ちゃんサルの姿のカメラ目線もいただきました。

サルたちの島には、島を結ぶようにロープが渡されており、サルたちがロープの上をするすると移動できるようになっていた。

リスザルに至っては、そのロープが園内にも延びている。クジャクだけでなく、リスザルも園内放し飼いなのだった(別途「リスザルの森」というリスザルの冠がついたエリアまである)

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ちなみにペリカンも放し飼いです。なんで逃げないんだ……。

大小8つの島をぐるっと巡って帰ってきた。希望すればサルの餌やり体験もできるそう。

これ本当にすごかったので、惜しげもなく公式のYouTubeも貼ってしまおう。

もうすっかり満ち足りた気分でボートから下りると、目の前にあるのはインコの放し飼いエリアである。

もう何度この記事で「放し飼い」って書いたことか。

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コンゴウインコ。デカい。

上からリスザルがちょっかいをかけてきて、キィキィとケンカしていたりする。よく逃げないなと思ったら……

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ちょっと離れたところで休んでいるインコがいて、係の人が「いたいた」って見つけていた。

最後に「レッサーパンダ館」に寄って、我々一家の伊豆シャボテン動物公園は終わった。

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寝ているレッサーパンダの写真でお別れです。
 

1日必要

こんなに写真を使ってレポートしたのに、まだまだ行ってないエリアがある。「アニマルショー」も「わくわくモンキーハウス」も「なかよし牧場」も「カンガルーの丘」もあったのに。

これから伊豆シャボテン動物公園に行かれる方は、1日予定を空けることをオススメします。

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トイレのピクトグラムがカピバラでした。

 

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