ところで、何故一般家庭にマイクスタンドがあったのか?若い頃、ミュージシャンになりたくて買い込んだ音楽機材が、処分出来ずに今でも納戸にしまってあったのだ。ペットボトルを固定したゴムバンドも、釣り竿を束ねる際に使う専門用具。
四十数年生きてきた中でのめり込んだ事や物が、今回久しぶりにまばゆい光を放った。
「人生、やっぱりなんでもやってみた方が良い。その経験は決して、無駄にならない」。私が今回の記事で言いたかったのは、そういうことである。
ある日、「一本だけしか流れてこない流しそうめんがあったら面白いんじゃないか?」と思い浮かんだ。思い浮かんでしまった以上、実際に作ってみなければ気が済まない。「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」 。ジュール・ヴェルヌが語ったとされる言葉だ。
思い浮かんだもの、実現できた。
記事を書くたびに妻に手伝って貰うのは気が引けるのだが、今回もそうめんを流す係をやってもらわねば。
それでは早速、やってみよう。
早い!これは反射神経と動体視力が試される。でも楽しい!もういっちょ来い!
明らかに妻が不満げな表情を浮かべているので、ここに辿り着くまでの苦労を聞いてもらう。
専用の器具など勿論ないし、何が正解かも分からない。まず「ちょうどそうめん一本分しか流せない樋を、何で作るのがベストか?」という問題にぶち当たった。これは近所を歩いている時に偶然タピオカ屋が目に入って解決した。
しかし今度は「ストローの樋をどうやって支えるか?」という課題が生まれた。ホームセンターを二時間ほど歩き回って、棒と角材で橋脚のようなものを作ることにした。
だが、せっかく作ったこの台にストローを乗せても全然安定しない。でも大丈夫。こういう時に使える奥の手があるのだ。
この細い樋に水を流すのも苦労した。溢れないように色々と試行錯誤して辿り着いたのがこのやり方だった。
ペットボトルの先端には、園芸用の給水器が取り付けられている。
しかし本番を迎えてもまだ、予想していなかった問題が起こる。樋が細すぎて箸が入らないのだ。
仕方がないので急遽近所の薬局に走って、先の尖ったピンセットを買ってきた。
「苦労したのは分かったけど、なんでこんなことやるの?」と妻が聞く。
企画の動機の部分か。確かにそれは記事を書く上でも大事なことだ。本当は最初、「そうめんを食べ過ぎて太ってしまったので、一本ずつしか食べられないようにしました!」と書くつもりだった。でも私は妻にもDPZ読者の皆様にも嘘をつきたくない。
本当の気持ちを正直に言うなら、冒頭書いたことに戻る。「思い浮かんでしまったから」。これに尽きるのだ。すまん。
色々と納得していない様子の妻だったが、「あれ?私、コツ掴んだかも!」と声を上げた。
いいぞ!技術革新が起きた。いつも見切り発車の企画に付き合わせてしまうのだが、彼女から改善点を提案され救われたことが何回あったか。
なんとか四本目を食べ終わったあたりで、「ピンピロリン」と携帯が鳴った。私達が住んでいる地域に大雨警報が発令されたようだ。傘を持ってきていなかったので、早くしないと職場から家まで帰れなくなる。こんなことをしている場合ではない。
ところで、何故一般家庭にマイクスタンドがあったのか?若い頃、ミュージシャンになりたくて買い込んだ音楽機材が、処分出来ずに今でも納戸にしまってあったのだ。ペットボトルを固定したゴムバンドも、釣り竿を束ねる際に使う専門用具。
四十数年生きてきた中でのめり込んだ事や物が、今回久しぶりにまばゆい光を放った。
「人生、やっぱりなんでもやってみた方が良い。その経験は決して、無駄にならない」。私が今回の記事で言いたかったのは、そういうことである。
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