コメンタリーをくっつけてお送りします
このまとめ記事は5回分の連載記事をまとめたものなので超長い。長いのでダイジェストにして大幅に短くするのが王道だろう。2021年の人類は長文を読まない。
が、書いたもの、撮った写真を削るというのは身を切られるような辛さを伴うのだ(大げさ)。
だから、むしろ文量を増やすことにした。青い文字で余計な一言を追加していく形とさせていただきたい。いわば、テキストコメンタリーである。ライターのぶっちゃけコメントをご笑覧ください。
『いもばん』の楽しさをもう一度
子供の頃、年賀状にいもばんを押しただろう。サツマイモの断面を彫ってハンコを作るアレだ。なに?知らない?そうなの?やるでしょ?いもばん。
コメンタリー:正直に言えば、芋ばんを作った記憶は1回しかありません。たしか小学校の授業だったと思います。2年生だったか1年生だったか。なにを彫ったのかは覚えていません。
いもばんの思い出がみんなにあるのか無いのかはこの際置いといて、サツマイモでハンコを作る文化があるわけです。
あれはなんだか楽しかった。今で言う『食べ物で遊ぶ』の典型だけど大人も怒らなかったしTwitterで炎上することもありませんでした。
コメンタリー:昭和だから許されたことはたくさんあります。テレビはメチャクチャだったし、UFOだ超能力だ霊能力者だと、捕まってない詐欺師だらけの世界でした。詐欺師たちが詐欺師を見世物にして大衆を平気で騙す世界です(今もかな?)。大人は子供を平気で殴っていたし、芋ばんを作って使い終わった芋を捨てるくらいで怒り出す人はいなかったし、怒り出す人がいても「うるせーバカ」で済ませていた時代です。大らかというか、雑な時代に育ってしまいました。
作っていきます
いもばんというからには、使うのは芋。ジャガイモではなく、サツマイモ。奮発して鳴門金時を買ってきました。
僕が子供の頃は昭和50年代とか60年代で、西暦なら1980年代。今から40年前は芋も肉も野菜も、食べ物が全体的においしくありませんでした。肉は臭く、固く、野菜も味が薄くて芋もそれほど甘くない(海育ちで実家が魚屋なので魚は美味しいものを食べてました)。
多分品種とか作り方とか流通が今と違ったせいだと思います。トマトは固くて甘みは無く、ピーマンも苦かった。今の美味しい肉や野菜を食べると、40年分の進歩を感じます。
もちろんサツマイモも今のほうが美味しいです。ハンコにしちゃうんだけど。
コメンタリー:豚肉は焼くと臭かったし、牛肉も硬くてボソボソでした。僕の家の食生活のせいかも知れないけど。パクチーとかバジルとかハーブ類は全然なかったし、今の食べ物はなんでも美味しくて感動します。世界はみんなの仕事で進歩しています。お気づきと思いますが、僕は『昔はよかった』みたいな雰囲気より『今って最高だよね』の方が好きです。
これを削っていきます。
包丁で形を整えていきましょう。サクサク削れて気持ちいい。
切り出した芋の切れ端はフライパンで焼きます。
芋を削り、芋を焼いていく。どんなハンコが出来るのか?
小刀でアバンストラッシュ
小学生の頃、芋ばんを小刀で作ったような記憶があります。小学生に与えるにはやや怖い道具であります。今も小学生は小刀を装備してますか?小刀でアバンストラッシュ(ダイの大冒険って漫画の必殺技)してますか?
小刀を使う図工の時間になると、たいてい1人は指を切って保健委員に連れられ、保健室に行ったものです。敢えて鉛筆削りを使わずに小刀で器用に鉛筆を削る同級生もいました。あれはどういう文化だったのでしょうか。
そして、前髪が長い女子が一生懸命小刀の刃を研いでいたような記憶もあります。なんで…。
コメンタリー:そんな記憶はありません。ウソを書きました。意味もないウソを書いてしまいました。僕は昭和のテレビマンを非難する資格を失いました。
ここまで削ると何を作りたいか分かってくるのではないでしょうか。
鳴門金時で金印を
教科書にも載っていて、義務教育を受けたなら誰でも知ってるハンコ、それが金印。国宝『漢委奴国王印』です。金印について詳しく知りたい方は福岡市博物館の説明を読んでください。コチラ。
『つまみ』は蛇があしらわれているそうですが、細かいとこはよくわからないので適当に削りつつ、凹みや穴も出来るだけ再現します。
貫通している穴の部分には、紫色の紐が付いていたはずなのだそうです。紫と言えばやんごとなき色。さすが国宝の国王印、やんごとねーぜ。
大まかに形が出来たら印面を彫ります。
コメンタリー:金印についてはよく知らないのでWikipediaなどで調べて書きました。知識の付け焼き刃!
小学生のころから伝わりし彫刻刀
包丁で印面を彫るのは無理なので、彫刻刀を使います。おそらく僕が小学生の頃に使っていたものです。物持ちがいいのです。
あまりに錆びていて、芋を削るのも難しい感じだったのと、あまり錆びてるので削ると芋が不味くなりそうなので研ぎます。
彫刻刀を研いで負傷
写真は載せないけど、砥石が小さすぎて手を滑らせて指を切りました。思い出しましたが彫刻刀ってメチャクチャ危険な道具でした。
小刀もそうですが、小学生って割と危ないものを与えられてます。版画の授業だと大体誰か手を切って以下略で保健室。小学生は小刀と彫刻刀で刃物の危険性を学んでいくんでしょう。
僕はオジサンになってもしょっちゅう手を切ってます。
コメンタリー:これは本当で、手を切りました。スパッと。
丸刀より普通に、三角刀が好き
研いで準備完了、三角刀で印面を彫ります。彫刻刀っていろいろありますが、線を彫るなら三角刀です。
僕は三角刀ばかり使う子供でした。皆さんはどの彫刻刀がお気に入りでしたか?丸刀?小丸刀?まさか平刀ですか?!
コメンタリー:どうでもいい話でしょう。彫刻刀について書くと懐かしがって貰えるかなと思って無駄に書きました。人は知ってることを読むのが好きです。記憶を呼び起こすと脳内で報酬が貰えるのでしょう。知らんけど。
雰囲気で彫っていく
けっこう細かいんですよね、金印の印面って。よく大昔にこんな緻密なものを金属で作ったもんだと感心してしまいます。それを芋で模倣していきます。
細かいとこはよく分からないので雰囲気で彫ります。僕は雰囲気で生きて雰囲気で工作をして雰囲気で記事を書いてます。
思い出してきました。芋ばん作るのは楽しい。なぜなら芋が柔らかいから。木だと力が要りますが芋は柔らかいのでサクサク削れます。
みなさんも芋ばんを作ってみるとよいです。なぜなら楽しいから。子供の頃やって楽しかったことは大人になってやるとまた楽しいのです。
コメンタリー:楽しいことは楽しいけど、芋がちょっと柔らかくて、彫刻刀の切れも悪くて難儀しました。
ほぼ完成したので紙に押してみます。
切れ端を焼いた
食べ物の無駄にうるさいご時世であり、僕自身食べ物を捨てるのは嫌いなたちなので芋ばんを作るにあたって出た端材をフライパンでこんがり焼きました。
コメンタリー:食べ物を大事にすると言うか、単にお腹が減っていただけです。
少しのバターでこんがり焼き、塩を少々振りかけます。塩が甘みを引き立てる的なアレです。
コメンタリー:説明不要かと思いますが、じょうずに焼けましたってのは、モンスターハンターに出てくるセリフです。
オイシイ!
さすが鳴門金時サンという甘さ、パリッとした表面は香ばしく内側はホクホク感を残しております。
さて、捺印。
芋ばかり食べていてもハンコは押せない(なんだか格言っぽいぞ)。
押します。
コメンタリー:横道に逸れると文量を稼げます。起承転結の転っぽくも見えます。本当は転でもなんでもなくただの寄り道ですが。
青い食紅ってなんだ
ハンコとして使った上で捨てるのはしのびないので撮影後に食べたいと思い、インクは食紅を使うことにしました。
コメンタリー:僕は食べ物を捨てたくないので食べますが、正直、他人が食べ物をどうしようと関係ないんだからいちいち怒るのってどうかと思いますね。もっとおおらかになったほうがいいのでは。
ちょっと皿に出して水で溶きます。
コメンタリー:真面目なライターなら赤い食紅を用意して朱肉的にすると思いますが、僕は不真面目なライターなのでその場しのぎで済ませます。青い色素しか持ってないので青を押し通します。
いざ、捺印
では、押印の儀に移ります。ハンコなんてのはなんぼ押したって楽しいものですからね。
コメンタリー:ミルクボーイの「こんなんなんぼあってもええですからね」のパロディ。
コメンタリー:これは『動物のお医者さん』に出てくるハスキー、シーザーの「やるぜやるぜ俺はやるぜ」が元ネタ。
コメンタリー:今にしてみれば、なにがボンダイブルーだよって思いますよね。
むぎゅっとね。
コメンタリー:広末涼子さんのMajiでKoiする5秒前のパロディ。
押した。
もっと押したい。
ぺったんぺったん、ハンコぺったん。
コメンタリー:僕たちはまだ、ハンコが完成してしまったあとの展開を、ハンコを押しまくる以外に知りません。作るまでが楽しいんであって、出来ちゃったら押すしかないんですよ。
印影が漢委奴国王っぽくありませんが、僕は漢委奴国王ではないので問題ありません。いいんですよ、雰囲気で。 ハンコをペタペタ押すのが気持ちいいんだから、これでいいのだ(最強のセリフ)。
コメンタリー:ご存知バカボンのパパのセリフ。雑工作の限界です。工作の出来で唸らせるでもなく、どうしたらよかったんですかね。分かりませんね。
複製は気持ちがいい
モノ作りをしていると思うんですが、同じものを大量に作るのってそれだけで気持ちよくないですか?プリンターで小冊子をたくさん作るのは気持ちいいし、コピー誌が積み上がるのも気持ちいいし、3Dプリンターで同じものをたくさん作ると達成感があります。
なにかを大量に複製するのは人間の脳に『快』をもたらしている感じがあります。かつて神は『産めよ増えよ地に満ちよ』とノアに言ったそうですが、人間には子供だけでなく自分たちの創作物も増やしたい欲求がありそうです。
ハンコは、それをインスタントに叶えてくれる道具です。だから人はスタンプラリーなんて不毛な遊びをやってしまうのです(言い方)。
コメンタリー:おわかりと思いますが、僕は困るともっともらしいことをツラツラ書いて誤魔化そうとします。
ハンコを食べる
ハンコと言ってもしょせんは芋。何度も押していると印影が変わるしナマモノだから傷むし、長期間は使えません。ひとしきり楽しんで押印して撮影したあとは焼いて食べました。
焼いたらカリカリに固くなって縮んでしまいました。芋ばんを食べるなら焼くのではなく蒸したほうが良さそうです(需要が少ない情報)。
コメンタリー:固くなったとだけ書いてますが、ガチでカチカチになってしまい食べるのに難儀しました。クソとても硬い消しゴムのようなもので、食べきったけどただの苦行でした。
ハイテクで恒久的なハンコを作りたい
芋ばんを削るのも楽しいけど、家には3Dプリンターという、ハンコを作るのも最適な機械があります(2台)。
コメンタリー:連載は5分割と最初から決まっているけど、ハンコだけで5回も?と思いつつ書いてます。ハンコを提案したのは僕ですけど。
また漢委奴国王印を作ってもいいんですが、僕は王じゃないし自分と無関係のハンコばかり作ってもしゃーないなと思い、猫のじゃんけん氏に協力を仰ぐことにしました。
コメンタリー:猫を出しておけばどうにかなると思ってるだろうって?はい、思ってますがなにか。
肉球のハンコは間違いなくかわいい
猫は全体的にも可愛い生き物ですが、肉球が特に可愛いのです。しっとりしていてぷにぷにした感触。テディベアを逆さにしたような形がたまりません。
その可愛い部位を取り出してハンコにしたいと思うのは必然でありましょう。
コメンタリー:可愛いですね、うちの猫の手。
肉球を写し取る
肉球をハンコにするにあたって、形を写し取る必要があります。肉球にインクを付けて紙に押そうかとも考えたんですが、紙に押す前に逃げられたら床に点々と肉球ハンコが押されていく惨事が容易に想像されます。
(悲惨でありながらかなり可愛いことになるのも想像出来ます)
そこで、過去に購入しつつ使っていなかった便利アイテムを思い出しました。これです。
水習字の紙
これは水を付けた筆で文字や絵を書くと色が変わって何度も習字の練習を出来るという紙です。どこかのお店で実演してて面白いと思って買った記憶があります。
コメンタリー:東急ハンズで買ったような気がします。当然当サイトの記事のネタにしようと思ったんですが、有効な活用手段を思いつかず何年も眠っていました。ついに役立てることが出来てよかったです。
これなら使うのは水なので大惨事は防げます。じゃんけん氏の手に水を付けてスタンプしてみましょう。
結果。
コメンタリー:メチャクチャいやがられました。また嫌われましたわ。
形が崩れたものが多いものの、中には猫の足跡っぽいものもあります。これを画像編集ソフトで開いて肉球の形を切り抜きます。
作った肉球画像を3DCADのソフト(Fusion360)で読み込みます。やった事が無い人が思っているほど難しい事をしているわけじゃなく、30分もあればハンコの3Dモデルを作れます。
こういう、コンピュータを使う手順を細かく解説するサイトじゃないので色々割愛しますが、いろいろやっていくとハンコの立体がパソコンの画面に顕現します。
どやさー。
コメンタリー:最近『どやさー』がお気に入りです。勢いで話を進めることが出来ます(出来てると思ってるの僕だけだったりして)。
これを、3Dプリンターでプリントするために形式に変換してUSBメモリにコピーして3Dプリンターに送る、と。
今回は紫外線で硬化するレジンを使って作るので、下が透明なフィルムになっているバットにレジンを注ぎます。
あとは印刷するデータを選んで開始ボタンを押すだけ。
コメンタリー:この辺はただの手順なので読み飛ばしてもらって結構ですし、なんなら書かなくてもよかったし、今カットしろって話なんですが、敢えて残します。
開始すると上からプラットフォーム(造形物の底面がくっついて生えてくる土台)が降りてきて一定時間ごとに上下しながら造形していきます。
2時間後。
プラットフォームから造形物を外します。
ガッチリくっついてましたが取れました。
コメンタリー:力を入れすぎて手がプラットフォームのカドに当たり、当たった部分の皮膚が削り取れました。
取れたら余分なレジンを洗浄。
洗浄したら紫外線ランプで二次硬化をしたりサンドペーパーで磨いて滑らかにしたりUVカットスプレーを掛けたり更なる後処理をしてようやく完成。
コメンタリー:光造形は高精度できれいなものが作れるのは良いんですが、後処理がちょっと面倒です。完成品の美しさがすべてを贖うんですが。
どーん、じゃんけん氏の肉球ハンコ
後ろの部分にはじゃんけん氏のハンコだと分かるように『じゃ』と刻印しました。
コメンタリー:金印とかじゃんけん氏の毛の色をイメージして黄色のレジンで作ったんですが、こうして見るとオシッコを固めたような色になっちゃってますね(例えが汚い)。
では、さっそく押印の儀。
コメンタリー:皮膚が削れた部分に絆創膏をしてます。
ニャっと紙に押します。
キレイに押せました。猫の肉球が紙に赤いハンコとして押されるのを見ると、なんかこう、良いなと。ハンコを押すの、良いなと思いました。思わずニヤけてしまいます。
自分で作ったハンコを押すのは楽しいので、ニャニャニャニャニャと連打してみました。
コメンタリー:そう、ハンコが完成した後は押しまくる以外の展開を知りません。どうしたらよかったか誰か教えて下さい。実印登録をしに行ってみるとかも考えたんですが、実印をこれにすると色々笑えない事件が起きたりしそうなのでやめました。
ひとしりき楽しんだあと、ベッドの隅で惰眠を貪っていたじゃんけん氏に見せました。
とても迷惑そうにしていました。
コメンタリー:僕はじゃんけん氏のお世話をしますが、爪切りとか嫌がることもするので大変に嫌われています。同郷なのに!(鴨川市で野良の子猫を愛でていたらついてきたので拾いました)
次は違う猫が主人公です
じゃんけん氏の次は先住猫のなつめ氏のハンコを作ります。
なつめ氏は14歳。もうじじいなのでたまに死にかけますが今は元気になっています。なつめ氏に協力いただいて、肉球の印影を作っていきます。
コメンタリー:なつめ氏は僕に大変なついているので、おとなしく協力してくれます。じじいだからかも知れませんが、わりとおとなしい猫です。
なかなか良い印影が出来ませんでしたが、なんとかそれっぽいのが押せました。
コメンタリー:肉球と肉球の間に出ている毛が長く、きれいなスタンプが取りにくかったです。
印影でシャチハタを作る
パプリというWebサイトでハンコを注文できます。以前ゴム印を作ったことがあり、今回はシャチハタのXスタンパーを作ってみることにしました。
なんやかんや編集して、こんな感じ。ハンコとして使うのに名字もなにも入ってないと意味不明なので、篆書体で『松本』と入れておきました。
コメンタリー:「立ち上がってきた」は孤独のグルメからの引用です。
ギリギリの男、大晦日に働く
僕はいつでもギリギリの男です。ライターはみんなそうかも知れない、いや、きっと人類はみんなそうでしょう。締切がないと仕事が出来ません。
僕がパプリにハンコを発注したのは年末も年末、大晦日でした。年内の仕事は大晦日の夕方に終わり、元旦はまた別の仕事をしてました。自由業は1年365日働き続ける自由があります。羨ましいだろう。
コメンタリー:当然ですが、もっと早く注文して年内に入稿まで終わらせるのがちゃんとした大人の仕事です。第4回の掲載後すぐにやればいいのに放置して大晦日になってしまったのは失敗でした。なにをしてたのか白状しますと、ずっとテーブルを作ってました。
年末年始はみんなが休み。だから、注文したXスタンパーの納品は1月8日でありました。
そして到着
1週間待って到着しました。たぶん、年末年始でなければもっと早く到着するんだと思います。
開封の儀。
本当にあの印影がプリントされています。笑う。
コメンタリー:最近手ぬぐいとか缶バッジとかステッカーとか、色んな物を業者さんに発注して作りましたが、どれもクォリティが高くて笑います。業者さんすごい。シャチハタも間違いなく笑います。皆さんも作ってみるとよいです。
印面を見ると、思った以上の精度で刻まれています。すげぇな。
押してまいる。
これは良いものです。とても良い。なつめ氏の肉球押し放題だし僕の認め印としても使えそうです。
なお、インクが黒なのはミスです。注文の際に色を替えるのを忘れてました。大晦日にカニの事を考えながら注文したせいです。カニの赤で頭が一杯で、インクの色を替え忘れました。
でも、黒猫のハンコだから黒インクでもいいだろうと納得することにします。そうです、これは黒猫のハンコだから黒でよかった!むしろ!(自分を納得させるのが楽しく生きる秘訣です)
コメンタリー:強がってますが、あー、黒かーってかなりガッカリしました。今もガッカリしています。3100円してますからね。
ニャニャニャっと押していきます。
ハンコが完成してしまったら、あとは押す以外の展開を僕たちはまだ知らない。
コメンタリー:これは『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』のパロディです。僕は展開に困るとパロディにも逃げます。
肉球ハンコをたくさん押していくと、自分の手が猫の手になったという錯覚が起きます。気分的にはまったくもって、猫です。
前回作った3Dプリンターハンコは朱肉を使う必要があるので押印に途切れがありました。シャチハタはどんどん押せるので余計に猫の手感を味わえます。
肉球シャチハタを押すことで、人は猫になれますニャ。
コメンタリー:これは本当で、押しているうちに自分の手が猫の手になったような錯覚を覚えました。手にハンコが憑依したのです。本当に。
考えてみれば、ハンコとは『その人が認めた』という意味で押すものです。ハンコを押す者はハンコによってハンコから認められ、ハンコが宿るのかも知れません。
つまり、ハンコを押している俺がハンコだ!(錯乱)
コメンタリー:これはガンダム00に出てくいる刹那・F・セイエのセリフ「俺がガンダムだ!」の引用です。
興奮して、押したハンコをなつめ氏に見せたら嫌がられました。
なつめ氏は賢い猫なので、僕に宿ったハンコの力を避けたのかも知れません。猫だけに。(ニャー)
コメンタリー:『猫だけに』の部分に意味はありません。
コメンタリー:オチてませんが、他に終わり方を思いつきませんでした。
ハンコをめぐる冒険はここでいったんおしまいです
コメンタリー:これは村上春樹さんの『羊をめぐる冒険』のもじりですが、実を言うと読んでません。
ハンコを作り、押すことで、ハンコの正体が少しだけ分かったような気がします。『深淵を覗くとき深淵もまたお前を除いている』みたいなアレがありますが、ハンコも同じでした。ハンコは深淵だったのです。
ハンコを押すとき、お前もまたハンコに押されている。
うん、意味わからねーニャ。ありがとうございました。
コメンタリー:ホントに意味がわからない終わり方ですね。いつもの、それっぽいことを書いてお茶を濁すやつです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?テキストコメンタリー。ただでさえ長いのに更に長くなったし、遊び過ぎだと怒られそうです。大丈夫でしたでしょうか?