おいしそうな地名
わたしの住む静岡県浜松市には、「小豆餅(あずきもち)」と「銭取(ぜにとり)」という地名の場所がある。
小豆餅は、徳川家康が三方ヶ原の合戦で敗れて浜松城へ逃げ帰る途中、店で小豆餅を食べたことから小豆餅と名付けられたそうだ。
しかし、武田軍の追手が来て家康が小豆餅の代金を払わず慌てて逃げたため、店のおばあさんが追いかけて代金を回収した。そう、その代金回収に成功した場所こそが銭取だ。
戦に敗れて逃げている途中に小豆餅を食べる家康のメンタルもさすがだし、家康に追いついたおばあさんの体力と脚力もすごい。
実は以前近所に住んでいたことがあり、その時は「おいしそうな地名だなぁ」くらいにしか思わなかったのだが、家康とおばあさんのエピソードを知ってから自分もその距離を実際に走って体験してみたくなった。
昔と道や環境こそ違うものの、家康を追いかけるおばあさんの気持ちになって走ってみた。
小豆餅神社から銭取まんじゅう跡までを走る
家康がどの店で小豆餅を食べたのか、また店が小豆餅のどのあたりにあったのかまでは定かではないため、今回はスタート地点を「小豆餅神社」という神社に設定した。
想像するだけで小豆餅の甘い香りが漂ってきそうな神社である。
そしてゴールは「銭取まんじゅう跡」と書かれた標柱があるようなので、そこを目指すことにした。
Google mapの経路案内ではその距離2.2km、徒歩31分。まぁまぁあるな。
車通りの多い道から1本入ると、スタート地点の小豆餅神社があった。
小豆餅神社の隣には小豆餅公民館があった。会合や行事の際は、小豆餅の人々がここに会するのだろう。
そして石碑の近くには、今回の企画の元となる家康とおばあさんのエピソードが記された看板も立っていた。
この看板には、おばあさんは道端で小豆餅を売っていたと書いてある。調べてもどの店か、またどのあたりにあった店か情報が出てこない理由は、店自体がそもそもなかったからかもしれない。
時代劇に出てくるような田舎の東屋で家康が小豆餅を頬張る画を勝手に想像していたが、先入観だった。
無事銭取まで完走できるよう神社にお参りして、16時50分に小豆餅をスタート。
小豆餅食い逃げしたな!!!家康、待てー--!!!