特集 2024年10月23日

家康を追いかけておばあさんが走った2kmを実際に走る

西日を浴びながら

小豆餅から銭取までは前々から走ってみたかったが、いかんせん夏が暑過ぎて10月まで見送った。

やっと涼しくなってこれなら走れるぞと思い日程を決めた矢先、真夏日がカムバック。天候の関係でこれ以上見送れないと判断したため、少しでも暑さがましな夕方に走ることにした。

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西日が、西日が…!
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めちゃくちゃ眩しくて終始険しい顔で走った

家康とおばあさんは何時頃この道を走ったんだろうと思い、三方ヶ原の合戦が行われた時間を調べたところ、一説によると夕刻から日没までの2時間で勝敗が決まったらしい。

日が沈んで暗い中おばあさんが小豆餅を売っていたとも考えづらいので、もしかしたらわたしが走ったのと同じような時間に家康とおばあさんもこの道を走ったのかもしれない。

家康は武田軍に命を狙われているし、おばあさんは代金未回収でそれどころではないが、451年後に走っているわたしはロマンを感じていた。西日をこれでもかと浴びながら。

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小豆餅を抜けて萩丘に入った。小豆餅におはぎに、おいしそうな名前ばっかり

まだまだ、全コースの10%くらいしか走り終えていない。
小豆餅神社は大きな通りから1本入った場所にあったが、今回主に走るのはこちらの姫街道である。 

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ゴールの銭取もこの姫街道沿いにある

姫街道は東海道見附宿と御油宿を結ぶ東海道の脇街道で、関所や危険な渡船を避けるために公家や大名のお姫さまが利用していたことから、姫街道と呼ばれるようになったそうだ。

家康を追いかけるおばあさんを疑似体験しているわたしも通りますよ。

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姫街道にはバスもたくさん通っている

写真のバスは静岡県のローカルタレント・久保ひとみさんが描かれたラッピングバスだが、このあと浜松市のマスコットキャラクター・出世大名 家康くんが描かれたバスがちょうど銭取方面へ走っていった。

本物の家康もバスがあれば乗って逃げたかっただろう。

ちなみにすぐそばには航空自衛隊浜松基地があるので、時間帯によっては戦闘機が真上を通る。まもなくエアフェスタも行われるので、エアフェスタにお越しの際は小豆餅~銭取ランもぜひどうぞ。

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自衛官募集の看板ってつい見ちゃいますよね
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泉に入った

小豆餅神社を出発してから10分経過した。全コースの40%ほどを走った。

ところどころ写真を撮ったり、赤信号のたび立ち止まったりしているのでジョギングのようなペースだが、体力はすでに7割ほど減っている。

おばあさんは命を狙われて追われている家康をさらに追っていたのだから、かなりのスピードで走ったことが予想される。

わたしがおばあさんの立場だったら、泉に入ったこのあたりで代金回収をあきらめていた。おばあさんは執念深い人だったのかもしれない。

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夕方の姫街道は交通量も多い
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林さんの記事『東海地方にはもちピザがある』でも名前とピザが登場したピザタイム。姫街道沿いに店舗を構える
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浜松の人は餃子をよく食べる。餃子の無人販売が1軒
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少し走ってまた1軒

このほかにもステーキ屋、唐揚げ屋など姫街道にはさまざまな飲食店が立ち並んでいる。そして17時を過ぎてから、近隣の家からおいしそうな晩ごはんのにおいが漂ってきた。お腹も空いてきて、ゴールが急がれる。

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MEGAドンキもあってなにかと便利。家康、おばあさん、あなたたちが走った451年後にはそこにドンキができますよ

ドンキ前で、全コースの80%ほどのところまで来た。

そして17時15分、ついにゴール地点の銭取まんじゅう跡に到着! 

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近所に住んでいた頃の散歩道だったが、あまりにもひっそり立っているのでこの時まで標柱があることに気づかなかった
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標柱のすぐ向かいには銭取のバス停がある

信号が多かったせいもあるが、小豆餅から銭取までわたしの足では25分もかかってしまった。スピードはゆっくりだったが距離もぼちぼちあり、かなり体力を消耗した。

おばあさんはここで家康から小豆餅の代金を無事回収したという。

よかったね、おばあさん!そしてあなたの体力と脚力、そして執念にかなりのリスペクト!

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走ったあとの小豆餅はうまい

小豆餅や銭取りについて調べていたら、浜松市の有玉北町に本店を構える「御菓子司 あおい」という和菓子屋で、小豆餅が売られているのを知った。

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小豆餅を買いに行きました。ええ、もちろん車で
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ガラスには小豆餅を食い逃げする家康と追いかけるおばあさんのイラストが!
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家康公が食べた出世大福 小豆餅。重量があっておいしそう

家康は小豆餅を食べたあと武田軍とおばあさんに追いかけられ走ったが、食べてから走るとお腹が痛くなりそうだったので、わたしは走り終えたあとゆっくり小豆餅をいただくことにした。

給食を食べたあとすぐ校庭で走り回ると、お腹痛くなったよね。

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あんころ餅みたいにあんこで包まれてるのかと想像していたら、まわりはきなこだった。でも、中はあんこがぎっしり!

上品な味ですごくおいしかった。餅の薄さが絶妙で、正直3個では足りなかった。5個入りも売られていたので、今度は5個入りを買おう。

こんなにおいしい小豆餅を食い逃げするなんて、家康は誠にけしからん。
がんばって追いかけたおばあさんのおかげで代金は払えたけど、お金はちゃんと払いましょうね。

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おばあさん、かっこいい!

小豆餅から銭取までを自分の足で走って、おばあさんは相当な体力と脚力の持ち主だったと実感した。

当時は今みたいに道も整備されていないだろうし、履き物もぞうりとかわらじとか、少なくともわたしが履いて走ったナイキのスニーカーよりは走るのに適していない履き物だったに違いない。

そして走り終えてから気づいたが、家康は武田軍の追手から逃れて最終的に浜松城に到着しているので、その家康に追いついたということは、おばあさんは武田軍の兵士より足が速いという結論になる。

実際のところおばあさんがキロ何分で走ったかまではわからないが、現代を生きていたら運動会のリレー選手や市の陸上選抜に選ばれるような走りの才能がある人だったかもしれない。


暑いと走れないし、涼しいと蚊に刺される

走る時間帯を夕方にしたことで暑さは多少しのげたが、足を蚊にめっちゃ刺された。

涼しくて、かつ蚊に刺されない時期って本当短いですよね。

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写真はまったく関係のない、温野菜のあとドミノピザになって、そのドミノピザがつい先日閉店した店舗です

 

ささやかなおまけ
記事に使わなかった写真

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