特集 2021年1月26日

木彫りの熊を散歩させたい

いやされたいときがある。

ペットにいやされたい日々である。猫の愛くるしい姿にメロメロになりたいし、犬のしっぽをずっと見ていたい。でも、ダメなのだ。借りているアパートがペット禁止と言われている。どうしようか、外で散歩しているペットたちをじっと見つめて今後の人生を生きていこうかと思ったが、うちにもペットがいた。木彫りのクマだ。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:自転車にきみを乗せて走りたい


本当に犬を飼ってはダメなのか

もしかしたら、本当は飼ってもいいのかもしれない。自分以外、毎日、犬や猫、ときにはハムスターとたわむれている可能性がある。一切、ワンワン、ニャンニャンとは聞こえて来ないが。

管理会社に聞いた。「ペットって飼ってもいいですか」と。シンプルにそして、自分は動物を愛する優しい人間ですよとアピールを心の中でしながら、電話した。どうだ。

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「契約のときにも言われたと思うのですがダメです」
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ダメか―。

ダメだった。おれは権力と管理会社に弱い。あと、先日、本棚を動かしたら、床が剝がれてしまったことは黙っておいた。

うちのペットは木彫りの熊

そんなことを思ってふと棚の上を見たら、いた。なので、降ろして抱いてみる。固くてかわいい。固かわ系である。変換に失敗して今、片川となった。片川さん。誰だ。

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うちのペット。

木彫りのクマ。先日、このクマの頭の上に宝くじをおいていたら30枚買って900円当たった。やったぜ。

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この目がかわいいし、サケを持ってきてくれたところもかわいい。
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まるまるとしたお尻にちょこんとあるしっぽ。もう、かわいさのかたまりである。

今日からペットとして見てみることにした。名前は木彫りから取ってボーである。クマクマと迷った。

ボーとの出会いはフリーマーケットだった。(この記事)

悩んだ末に買った。金メダルも売っていたのだが、このときに買わなかったのを今でも後悔しています。

家で抱えているのもいいが、散歩をさせたい。外を歩かせたいのだ。とりあえず、からくさ模様の首輪とリードをつけた。逃げ出したらこわい、だってクマだぞ。

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首輪はからくさ模様にして、和でまとめてみた。かっこいい顔をしている。
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なおこの写真はアパートの共用廊下で寝そべりながら撮影した。人が来なくてよかった。あと、長袖を着たほうがいい。(寒いから)

散歩をさせよう

散歩をさせるために公園に来た。寒いし雨が降っている。誰も散歩をしていない。うちのクマを見てほしかったが残念です。

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木彫りのクマに外の世界を見せてあげている。
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鴨がいっぱいいるね。襲って食わないか心配だが、すでに鮭を食べているから大丈夫です。

外の世界に慣れさせたところで、リードをつけて散歩をさせてみよう。

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リードをつけたがいいが、どうやって散歩をさせるのか。ちゃんと考えてきた。

クマにキャスターをつける

ちょっとだけ引きずってみたら、散歩に行きたくないイヤイヤ感が出てとてもかわいい。ちょっと待って、かわいいな。写真を撮り忘れたけど。

ちゃんと歩かせたい。なのでキャスターを買った。これを足につければスムーズに動くことだろう。

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後ろ姿から感じられる散歩への前向きな気持ち。

散歩に行こう。そう思ってリードをつけた散歩に出て2歩で、ご機嫌がななめになった。

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もう帰りたいのか。
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動きたくなさすぎて寝たな。

キャスターをつけて引きずると、クマが横を向いているのもあって、イヤイヤ感が出てしまう。また、曲がったり、少しスピードを上げると倒れてしまう。無理矢理、散歩に連れ出したみたいで罪悪感がすごい。

このあと、リードを引くコツを覚えながら散歩をしてみた。

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最後のちょっと遅れてくるところ、あなたの中にある愛しさがあふれて来ませんか?
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ミニ四駆に乗せてみる

でも、全力疾走している犬みたいに「ちょっと速いよ!」といいながら追いかけたい。ペットに振り回されたいのだ。そこで買ってきた。

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ミニ四駆。小学生以来に買った。「マグナムトルネード!」と1人でよく叫んだものです。

これを足につければきっと、我先にと走り出して、笑顔あふれるとても愉快な散歩になるだろう。アハハ、ウフフって笑おうと思っています。

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説明書を見る。作れる気がしない。
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とりあえず、作っていく。
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開始10分でパーツをなくす。

自分、不器用である。不器用ってあれだな、不注意が多いな。パーツを落としたり、本来とは逆の方向にはめてしまったりとしていた。気をつけよう。ミニ四駆から教わったことである。

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あと、雪が降ると言われている日に外でミニ四駆を作るのは寒いのでやらないほうがいいです。
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ミニ四駆を作っている間、クマは水辺にいた。子クマなのでまだ水が怖いのか腰が引けている。かわいい。ずっとかわいい。

そして、悩みながら1時間ぐらいかかっただろうか。ようやく完成したミニ四駆にクマを固定してスイッチを入れた。だが、全然動かない。どうやら重くて動かないらしい。

そうか、わかった。ならもう1台作ろう。急いで買ってきた。

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作っている途中、仙人みたいな人に話しかけられたが、記憶に残っているのは「この辺りにはおもちゃがないので新宿に行かないとなにもない。」と言われたことだ。
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足にセットした。サイボーグクマ。
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そのあと来たおばあさんに「この機械なに?カメラって言うの?本当にわからなくて」と聞かれたり、「私、あの人、うるさいから好きじゃない」など公園の人間関係を目の当たりにした。急に現実が戻ってきた。
 

完成した。走れ、ボー!まるで草原をかける犬のように。その思いをこめてスイッチを入れた。シャーと音がしているが、これはミニ四駆の音ではなく、クマが威嚇している音です。

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全く動かない。2台つけても走らない。重すぎるのだ。最後の手段を使うときがきた。本当は使いたくなかったがしょうがない。

子グマがやってきた

見ていたおじさんも「そんな重いの走んないよ」と言ってきたが、「やってみないとわかんないかなーと思って」と若者ぶって答えた。やってみたわかったことは重いと動かないでした。

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子どもができました。

なので、小さいクマを使うことにした。追加のミニ四駆を買いに行ったとき、もしものことを考えて買ってきたが正解だった。これならきっと軽いので大丈夫だろう。
 

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野生の目をしている。

将来と獲物をしか見てない、そんな目をしている。きっと早いだろう。全然関係ないが、犬が木彫りのクマを見て吠えていた。

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首輪をつけられた無かったので足につけた。

本当は首輪をつけてあげたかったが、小型犬用の首輪でも子グマにはつけられなかった。「おれは人間のいいなりになんかならない」という気概を感じる。犬、ずっとほえているな

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スイッチを入れた瞬間、走り出した子クマ。子どもならではの元気っぷりに生命への活力を感じさせる。

やりたかったことはなんだったのか、本当にこれでいいのかわからない。でも、失敗とか成功とかもういいじゃない。クマが走れた、それだけで十分である(そう自分に言い聞かせて帰った)

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試しにリード無しで走らせてみたら、思っていた以上に速くて、ネットで見かける面白ハプニングgifができてしまった。

この記事で伝えたかったことは「木彫りのクマはかわいい」

古い民芸品のクマであるが、ちゃんとみると細かい部分に動物らしさが出ていてかわいい。木彫りのクマのラジコンが出たら買うので教えてください。

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今後は親子クマと一緒に暮らします。

 

 

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