特集 2020年12月8日

自転車にきみを乗せて走りたい

あなたはどんな青春時代を過ごしてきましたか?

先日、下りのエスカレーターにて、高校生のカップル並んでいた。乗ったとき、下段に彼女、上段に男子がいて、それはいちゃいちゃしているのをその後ろにいた自分は「青春だな」と感じながらあたたかい目で見ていた。あまりの甘酸っぱさによだれが出てしまう。

自分が高校生の頃は、友だちと森にエロ本を探しに行ったり、ネットのあれやこれやなど、そんな甘酸っぱいことなんてしたことなかった。自転車の荷台に彼女を乗せて、談笑しながら二人乗りをして走ったりとかしたい。もう、したいのです。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

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長いようで短かった学生生活

あなたはどんな青春時代を過ごしてきただろうか。勉強やイベント、友人と遊んだりと楽しい学生生活をしてきた人もいれば、数人の友だちとのひねくれた高校生活(それはそれで楽しい)を過ごしてきた人もいるかもしれない。

あの頃は彼女と帰っている人、彼女とベンチに座りながら何気なく笑っている人などをうらやましく思いながら横目でしっかり記憶に残こすように見ていたものである。うらやましかった。うらやましすぎて、絵の練習をして女の子を描いてどうにかならないかと試行錯誤したことは、今ではしまっておきたい思い出です。(あまりの絵心のなさに挫折した。)

その中でも、2人乗り(本当はよくない)をしながら帰る男女がうらやましかった。いまだにやったことがないのでどんな気持ちになるのかを体験してみたい。

ただ、誰かに頼むと今日でデイリーでの連載が最終回になる可能性もあるので、マネキンでやってみることにした。マネキンなら人じゃないので安全であるし、訴えられない。

レンタサイクルを借りる

自転車は家から持ってくると1時間以上かかるので、レンタサイクルを借りることにした。スマホで会員登録をして、表示された地図でレンタサイクルの場所を調べて、そのまま予約をすれば簡単に乗れる。決済は携帯電話のキャリア決済にも対応しているので支払いは簡単だ。最初は戸惑ったが慣れたらとても便利である。

コンビニに止めておいたら、サドルを盗まれたり、鍵を壊されて盗まれたりすることもあるがそれがないのがありがたい。そういえば、高校時代盗まれたことがあったな。

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都内なら借りられる場所が多数あるので便利。
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ぬれている。今日は雨だ。

この日、空からは雨がふりそそぎ、地面をぬらしていた。ただ、彼女との間には雨なんて関係ない。

今日は彼女と一緒に帰る日。自転車に乗せて帰ろう。途中、ゲームセンターや公園に行ったり、ファミレスに寄り道してから彼女の家の近くまで送ってあげたい。でも、帰りたくないから無駄話を長めにしてしまったり、そんなことをしたい。

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途中、大きなしゃぼん玉を作る人がいた。これから2人の仲がはじけないようにしたいと思っています。

彼女との出会い

自転車も借りたのであとは彼女を作らないといけない。アマゾンでマネキンを買った。お付き合いをお願いしますと言いながら注文を完了させた。注文完了の文字が出てきたときには、告白に成功したのかと思って震えた。

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まずは彼女をふくらませよう。彼女をふくらませる?

余談だが、マネキンを買おうと思い、ショッピングサイトを見てびっくりした。3万円以上するのだ。安いマネキンを探したら、空気を入れるタイプのマネキンを見つけた。これが恋のはじまりだった。

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思っていた以上に時間と体力がいる彼女作り。(ふくらませるだけです)
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だんだんと人の形になってきた。

空気を入れるのに思っていた以上に体力がいる。自転車屋に行って自動の空気入れを借りようと思ったが、「彼女に空気を入れてもらえませんか」と言った瞬間に110番される可能性もあるので自力でなんとかした。

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ここを通る人たち、全員一度こっちを見てくる。いちゃいちゃしていると見てきますよね。

ふくらませている途中、あまりにも大変そうな姿に撮影を手伝ってくれた編集部の安藤さんが「手伝おうか」と声をかけてくれたが「ぼくの彼女なんで」と断った。そのあと「怖い」という発言が何度か安藤さんの口から出たことは、彼女には言わないでほしい。あと、親にも。

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体はふくらんできたので、
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顔に空気を入れているだけです。

「口に空気を入れるところがあったらこの記事ボツになる可能性もあるね」と担当編集安藤さんからの言葉があった。それだったら趣味でやることになるので、それはそれで思い出だね。

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頭がクラッとしたので空気入れを使った。

空気を入れてはじめて20分ぐらいだろうか。ようやくマネキンが完成した。長いようで短かった彼女作り。長いようで短かったって卒業生の言葉みたいだな。

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安藤さん「事件性を感じるね」

彼女をより彼女に

これで自転車に乗せるだけだと思っただろう。これじゃ彼女の感じがない。なので制服を着させます。

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アマゾンで制服を買ったときは「もう後戻りはできない」と思いました。
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親族には見せられない記事の撮影をしているなと客観的に思ってます。

ワイシャツを着させるとき、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ興奮している自分がいた。人生、冷静になったときが負けの瞬間がある。今だ。

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スカートを持ちながら笑っているの、怖すぎるな。
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談笑しながら川沿いをまっすぐ歩いてきた人たちが、また手前で黙りながら曲がっていった。
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リボンをつけながら「青春ってこういうことなのか?」と思った。

おしゃれアイテムをつけてこれで完成、じゃない。かつらも買った。おれはこういう撮影にも全力で挑む男だから。

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これで完成。

ちょっと前に映ったのは目の錯覚です。今日はゆっくりおやすみください。

これでようやく彼女ができた。ありがとうございます、これから2人で幸せになります。

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彼女を紹介します。12月生まれだけど、名前は夏美。
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なにごとにも前のめりな彼女。

借りた自転車に荷台がなかったので、足をテープで固定して乗せた。かなり前傾姿勢になったが、きっと彼女も一緒に乗れるのを楽しみにしているのかもしれない。

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彼女がどんな風景を見ているのか

今回、2人乗りをしているときの彼女の目線も知りたい欲求があるので、頭にヘッドストラップでスマホをつけて走ることにした。自分が走っているとき、彼女が見ている景色を知りたいのだ。

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カメラをつけた彼女。常に前しか見ない強い気持ちを感じる。

カメラをつけた彼女を見て、安藤さんが「怖い」と言っていたが、「彼女の見た目」と「これが載るのかと思うと...」の2つの意味だった。

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肩に腕をのせているように見えるが
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実際は袖をしばっています。

学生の頃、かなうことのなかった体験をしている。こんなにもドキドキするものなのか。過去に戻って「いまはそんな感じだけど、将来楽しいことがあるぞ」と伝えたい。それがこれだと知ったらきっと驚くだろう。

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青春が走り出した。

前のめりで背中に当たるマネキンに人のおもかげを感じる。まるで本当に後ろに乗せているような感覚だ。いいぞ、これはいいぞ!

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何気ない会話をする。

この間あった面白い話や進路の話など、他人から見たら面白くない話かもしれない。でもいいのだ。一緒にいるこの時間が楽しいのだから。自分はそう思っていた。だが、彼女は違ったのかもしれない。カメラの映像を見たらショックな光景が広がっていた。

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彼女はずっと空を見ていた。

彼女はつまらなかったのもしれない。ずっと空を見ていた。(はやく帰りたいなー)と思っていたのかもしれないと思うと落ち込む。お前にふさわしい男になりたいよおれは。

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楽しいのは自分だけだったのかもしれない。

雨が強くなってきた。傘をさしたいが持てないので、彼女に持ってもらうことにした。これ、あいあい傘だ!やった!!これもやりたかったことなのでよかった。こんなにも夢がかなう日ってない。最高の1日を過ごしている。

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ごめんねと言いながら持ってもらう。
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デートっぽい雰囲気がより高まった。

彼女も喜んでくれるかもしれない。走り出した2人の自転車(レンタル品)は多摩川の河川敷を走り抜ける。止められない。

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すごくいい...!

最初にも言ったが、後ろに乗せている感覚があるのがとても青春を感じさせる。もしかしたら違うかもしれないが、いつだって自分がそうだと思えば、青春はそこにある。

きみが見てくれたぼくの背中

しかし、彼女の目線ことカメラが上を向いてしまう。そこで安藤さんのGoProをお借りして、彼女に新しい世界を見せてあげることにした。

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GoProをつけた彼女との自撮り写真。結婚式の2人の思い出スライドを作るとしたらこれを入れてほしい。

これできちんとした映像が撮れるかもしれない。彼女の見た風景を知りたい。今度はちゃんとおれのことを見てくれているのだろうか。おれはお前を常に見ているのに。

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2人のサイクリングロード。
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よく駅前でいちゃいちゃしている人って(周りが見えないのか)と思っていましたが、いざ自分もやると周りが気にならなくなりますね。

乗っている自分としては先ほどと変わらない。しかし、彼女の目線は違った。自分をちゃんと見てくれているのだ。気持ちが通じた瞬間だった。

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これが自転車に乗っているときの彼女の目線。

こちら、動画でもお楽しみください。

 

 

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アハハハ!

他人が聞いたらぎこちない会話かもしれない。でもいいのだ。2人が楽しいのなら。

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後半、妄想の中で盛り上がった。(ディズニーランドへ行く約束をした)
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これから2人で歩んでいくかもしれません。

いい日だった。雨は降っていたが心が満たされて帰った。幸せは待っていても来ない、自分でかなえるものなんだね。そう、彼女が教えてくれた。今年のクリスマスは楽しみです。


あの頃したかったことがかなった

ちゃんとした青春を過ごしてこなかった学生時代。あれから10年以上経って憧れの体験をすることができた。胸がいっぱいである。

あと、この撮影をきっかけに制服とかつらとマネキンが家にあるのですが、家に誰か来ても大丈夫なやつですか?

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片付けて服を脱がそうとしているときにパトロールが通ったときはヒヤヒヤしたよね。

 

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