まとめ
江東区に船乗り場がすごく多いということが、地図をつくってわかった。きっと日常の風景の一つなんじゃないだろうか。
今回は特に自由研究ぽいなーと思いながら書いていた。夏休みの8月1日の記事としてはふさわしい気がする。
なお、今回さらっと飛ばした実証実験じたいの詳しいレポートは、後日ライターのいまいずみさんが記事にする予定です。ご期待ください。
東京都が川を使った船通勤の実証実験をしている(明日 8/2まで!)。船なんて楽しそうでいいじゃなーいと思うのだが、世間的には船なんて遅いし少ないし通勤電車の代わりにはならんよという見方が多いようだ。
確かにそうだと思う。でも、せっかくなら船の利点を見つけたい。たとえば船のほうが早い区間てあると思うんだ。
量的にも時間的にも、船は電車の代わりにはなりそうにない。でもそうなるとなんとか船のいいところを探したくなる。
以前、船に乗ったときに実感したんだけど、例えば東京で浜離宮からお台場まで海を突っ切って行く、みたいなコースになると船はとてつもなく早い。
電車ならレインボーブリッジ経由で遠回りしないとだめだもんね。というわけで、
「ある場所から別の場所まで、船で行った場合と電車またはバスで行った場合の時間を比べる」
ということをしてみたい。それで船のほうが早い区間が見つかるといいな。そのために、まず東京にある船の乗り場の一覧の地図を作ってみた。
青いピンが、船の乗り場だ(こんなにあるとは知らなかった)。
これらの乗り場から乗り場まで、船で移動した場合と電車やバスで移動した場合でどちらが早いかを比べてみたいと思う。(計算の都合上そうしたけど、これは駅まで移動する時間を考えると船に有利なルールだ。でも結局は電車にすぐ追いつかれるのが後で分かる)
なお、ここには防災船着場と呼ばれるような、普段あまり使われないものや使うのにややこしい手続きが必要なものも入れてある。
将来これらが広く活用されて、水上タクシーや水上バスで川や海を移動できるようになった未来、という想定でやってみたいのだ。東京都はそういう方向に進めようとしている(はず)だし。
というわけで、まずは東京都の船通勤の実証実験の船に乗ってみた。船についてはここでの早さをベンチマークにしたいと思う。
今回のコースは日本橋から勝どきまでだった。日本橋を8時55分に出発して…、
勝どきの船着場についたのが9時25分。ちょうど30分かかった。そしてコースはこんなふうだった。
赤い点が日本橋、そこから赤い線のコースを通って、黒い点である勝どきの乗り場まで、距離は約4.5km。それを30分なので、平均時速は9kmになる。(もちろんいろんな理由で速度は変わるはずだけど単純化する。)
この条件で、勝どきを出発した場合の各地の船着場までの時間を計算してみるとこうなった。
真ん中の黒いピンが出発点の勝どきだ。
コースは黒く描いた線を通るという条件にしている。実際に許される航路とは違う可能性があるけど、そこまで大きな誤差にはならないんじゃないかな(だといいな)。
で、あとは同じことを電車やバスを使った場合で調べればいい。グーグルに経路検索APIという仕組みがあるのでそれで機械的に所要時間が分かるはずだ。
と思っていたところ、その仕組みだと日本に限っては電車を使った経路と所要時間を出せないということがわかった。まじか。
しかたないので、出発地の勝どきから各船着場までの所要時間を、グーグルマップから手でぽちぽちと調べることにした。船着場は70箇所以上あるけど…。
そしてできたのが上の図だ。真ん中にある黒い点(勝どき)から、船で出発した場合と、電車やバスを使った場合にかかる時間をくらべて色を塗り分けた。色分けは次のとおり。
・赤:船のほうが早い
・オレンジ:互角(差が5分以内)
・青:船のほうが5分以上遅い
結果をまとめるとこうなった。
これは言ってみれば、自宅と勤め先が偶然にも船着場のごく近く、という船に有利なケースであっても船が電車より早いのは4km以内、ということだ。
もっと一般の地点どうしの移動にかかる時間を比べたら、船が勝てるケースはずっと減るだろう。
うすうす知ってたけど、でもここはポジティブに捉えたい。通勤と言わず、いろんな機会に水上を4kmくらい移動するのはふつうにアリなんじゃないかということだ。たとえば東京ビッグサイトからの帰り道とか。
こんどは電車との比較じゃなくて、船に乗った場合にかかる時間そのものを見てみたい。浅草から船に乗ったら、各地の船着場までどれくらい時間がかかるか調べてみた。
中央にある黒い点(浅草)から、船で早く着くところほど赤く、時間がかかるほど青くなるように色をつけてみた。
浅草のすぐ東にある「おしなり公園」は、いっけん近そうなんだけど、じつは浅草から水路が直接はつながっていないので遠くなっている。江東区の西と東で水面の高さが違うため、おしなり公園の手前が樋門という門で閉じられているからだ。
見た目の距離が近いのに経路は遠いことがある、というのは船の経路の特徴の一つかも、と思った。
江東区に船乗り場がすごく多いということが、地図をつくってわかった。きっと日常の風景の一つなんじゃないだろうか。
今回は特に自由研究ぽいなーと思いながら書いていた。夏休みの8月1日の記事としてはふさわしい気がする。
なお、今回さらっと飛ばした実証実験じたいの詳しいレポートは、後日ライターのいまいずみさんが記事にする予定です。ご期待ください。
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