ゴミ収集の朝は早い
集合は朝7時半。僕は普段は10時出勤のサラリーマン。時計の表示でAM6時なんてここ何年も見ていない気がする。前日は早起きのプレッシャーでなかなか寝付けず、僕は眠い目をこすりながらの登場となった。と思ったら、同行のライター大北君はそれ以上に寝不足だった。
ユニフォームに着替えて、集合。僕らが眠い眠いと言ってるのをよそに、職員のみなさんは6時過ぎには出勤されているそうで、さっそく「すみません…」という気分だ。
ゴミ収集は、朝8時の体操から始まる。そのあとすぐに収集車に乗って、現場に直行だ。
収集スタート
現場に着くなり収集スタート。職員の方々は慣れた手つきで、ゴミを収集車に次々放り込んでいく。ポンポン放り込むのと同時に、きちんと分別されているか、事業ゴミにシールははられているか(※)、など一つ一つのゴミをチェックする。
分別については目で確認するほかに、持ったときの重さでもわかるのだという。怪しいゴミは中を開いて調べてみることもある。
※事業ゴミは収集に有料のシールが必要
あわてないあわてない
予定では、どんどん進んでいく収集車を走って追っかけてあわわあわわ、なんて記事を書こうとしていたのだけれど、なんのことはなく収集作業は落ち着いたものだった。
次の収集所への移動は徒歩。焦って作業すると通行人や車に迷惑をかけることがあるため、走ることは禁止されているらしい。あわてないあわてない、の一休さん精神だ。(ひとやすみひとやすみ、はしてませんでした)
それから、ごみ収集といえばヤッターマンみたいに収集車の後ろにつかまって足場に乗っかって移動するイメージがあったのだが、あれはもう何十年も前からやっていないのだという。たしかに収集車にはそんな足場も取っ手もついていなかった。
慌てた様子は感じさせないままに、てきぱきと収集していく様子はやはりプロ。うずたかく積まれたゴミがみるみる片付けられていく。
仕事はゴミを集めるだけではない
この日多かったのは、事業系ゴミの回収シールの貼り間違い。東京23区では4月に回収料金改定があって(注:2008年初出の記事です)、回収シールも新シールに移行した。5月から旧シールは使えなくなってしまったのだが、まだまだ貼ってくる人がけっこういるのだ。
シールには事業社名が書いてあるので、間違ったシールが貼られていたら、回収を中断して説明に行く。中には料金が上がったことに怒りだす人なんかもいるそうで、これはけっこう胃の痛そうな仕事だ。
火災や破裂が起こることも
怒られるだけならまだしも、ごみ収集には危険がつき物だという。
いちばん危険なのは、車両火災。カセットコンロのガスボンベなどがガスの残った状態でゴミとして捨てられていると、何かのきっかけで発火してしまうことがあるのだという。ゴミの中にはビニールなど燃えやすいものも多いので、火はあっという間に広がってしまう。いそいで消防車を呼び、消火するそうだ。
それからゴミにはプレッサー部分で大きな力が加わるので、硬いものがはねて飛んでくることもある。液体が入った袋は破裂して飛び散ったりもする。水分の多いゴミは水気をよく切って出してもらえると、飛び散る心配がなくて助かるそうだ。
プレッサーのパワフルさよ
さて、収集の様子に気をとられてしまったが、今日の本題は収集車の容量だ。たくさんのゴミを回収できるのは、収集車の後ろについているプレッサーのおかげ。この日はサーマル可燃ゴミ(※)の日で、生ゴミや紙くずにくわえ、木の枝やプラスチックなど硬いゴミも混じっている。そんなゴミたちもものともせず、プレッサーはバリバリバリとゴミをつぶしていく。
※ビニール等を燃えないゴミではなく、燃えるゴミと一緒に回収する。都内では一部地区でモデル実施中
プレッサーは後ろの操作パネルで、収集する人が自分で操作できるようになっている。ほかにも大きな緊急停止スイッチもついていて、いざというときにすばやく対応できるようになっている。
プレスされたあとのゴミがどうやってたまっていくかは、下の図を見てほしい。
(1).プレッサーは、ゴミは入り口のところにあるでっぱりに押し付けてプレスしていく。プレスされたゴミは荷箱の中に落ちる
(2).あとからやってくるゴミにどんどん奥に押し込まれていく
(3).いちばん端まで行くと床が曲面になっていて、ゴミは上に押し上げられる
固形のゴミでも荷箱いっぱいにぎっしりつめられるように、工夫されているのだ。
今どのくらいゴミがたまっているかは、車体横にある覗き窓から見ることができる(上の図でいうと3の矢印の真ん中あたりにある)。
それから、プレッサーの動きを見ていてもなんとなくわかる。プレッサーの奥にゴミがたまってきて、だんだん動きが遅くなってくる。
いよいよゴミはいっぱいに
作業開始から40分ほど。16ヶ所の収集所のゴミを集め終わって、ついに収集車はいっぱいになった。はたしてゴミはどのくらいたまっただろうか。次のページで、ついにゴミ収集車のキャパが明らかに。