ゴミの量を写真で
収集に同行するあいだ、すべての収集所でゴミの写真を撮ってきた。合成してひとつの写真に収めたので、それを見ていただこう。
どうだろう。けっこうな量ではないだろうか。重さにして1.55トン。右のほうに僕の写真も合成しておいた(ゴミじゃないです)。
1台の車にこれだけの量が入っているのだ。けっこう壮観。家の前の収集所にこれだけ置かれていたら、そこが収集所だってわかってても怒ってしまいそうな量。いや怒る前に家の前にこれだけは置ききれないな、とにかく日常的に目にすることのできない量のゴミだ。収集所16ヶ所ぶんもあるので、当たり前といえば当たり前だが。
しかししょせん合成写真であって、実物を見ないといまいちピンとこないですよね。ご安心ください。今回は清掃事務所のご厚意で、なんと集めたゴミをすべて出して見せてもらえることになった。
これがゴミ収集車1杯分のゴミだ。立っているのは僕(ゴミじゃないです)。さきほどの合成写真と比べてみると意外にかさはないように思えるけど、それだけあのプレッサーが圧縮しているということだろう。
ちなみに今回調べたのは積載量2tのゴミ収集車。4tの車もあり、2台ペアで1日に収集車約7杯ぶんのゴミを収集するそうだ。しかもそのペアが一日に何組も出動するのだ。相当な量のゴミ。それだけあれば、1日分のゴミでも埋立地でちょっとした小島くらい作れそうな気がしてくる。俺の島が。お台場に。
さて、キャパがどのくらいかはだいたいわかった。これで取材はおしまい。どうもありがとうございました!
といいたいところだが、このゴミの山をほったらかして帰るわけにはいくまい。職員の方と力を合わせて、ぶちまけたゴミの片づけだ。
片付けは大変だ
回収済みのゴミの片付けはけっこう大変だ。一度プレスされたゴミは袋が破れていることも多くて、持った端からボロボロと中身が出てきてしまう。移動がないぶん街での収集より楽かと思いきや、ただ詰め込むだけでも一苦労。
ところで、今回は取材のために一度回収したゴミを広げていただいたのだが、こうやってゴミを広げてみるのは、取材以外でも諸事情でたまにやっていることらしい。
財布をゴミ箱に捨てないでください
諸事情というのは、たとえば、誰かが貴重品を捨ててしまった時。区民から「間違って財布を捨ててしまった!」なんて電話が清掃事務所に来ると、こうやって回収したゴミを全部出して、財布を捜すことになる。これまで財布のほかに貴金属、現金、珍しいところでは入れ歯や馬券、それから入試の受験票を探したこともあったそうだ。
「たからさがし」と呼ばれているこの作業、名前は楽しげだがやってみると片付けだけでも相当な大変さ。作業スケジュールも大幅に狂ってくるだろう。今回の取材にあたって、職員の方に「なにか書いて欲しいことはありますか?」と聞いたところ、第一声が「貴重品だけは絶対に捨てないでください!」だった。てっきり分別回収の話をされるかと思ったのに。たからさがしはそのくらい大変な作業なのだ。読者のみなさんも、これからは(というかこれからも、というか)財布やお金はゴミ箱に捨てないように気をつけましょう。
警察の捜査協力も
そしてそれとは別に、警察対応でゴミを広げることもあるのだそう。近隣で殺人事件などがあると、警察立ち会いのもと、凶器や証拠品が捨てられていないか、ゴミを広げてチェックするのだそうだ。小さな袋や包みのひとつひとつまでいちいち解いてチェックするこの作業、貴重品の宝探し以上に大変らしい。隠れた苦労だけれど、その苦労のおかげで ゴミの収集は治安維持にも貢献しているのだ。
ぐったりするまで作業してもまだ11時
結局、片付けにかかった時間は40分以上。作業人数がふえたにもかかわらず、街で収集するのと同じくらい時間がかかってしまった。僕も大北君も力仕事でぐったりになって清掃事務所を後にして時計を見ると、まだ午前11時でお昼前。職員さんたちの仕事はまだまだ続くのだ。ごみ収集車のキャパが知りたい、そんな素朴な疑問が解決して大満足な取材だったが、同時にゴミ収集の仕事の大変さも身体で痛感する一日となりました。
取材協力:江東区清掃事務所
お忙しいところご協力いただきました清掃事務所の皆さん、どうもありがとうございました。