特集 2024年7月17日

自家製のそばつゆでこの暑い夏を乗り切ろう!

連日うだるような暑さが続きますね。この時期、SNSやネット記事などで「そうめんアレンジレシピ」をよく目にします。しかし「美味いそばつゆさえあれば、そうめんとつゆだけでシンプルに食べるのが一番美味いんじゃないかな?」と、本業が蕎麦屋である私は思うわけです。そばつゆ、家でも簡単に作れるので是非試してみて欲しいです。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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レシピではなくそばつゆにこだわってみる、という選択

とか言いつつ私自身、以前らっきょうの漬け汁を利用したそうめんのレシピの記事を書きました。

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ラッキョウの漬け汁を再利用する

勿論「豆乳で作る担々麺風そうめん」みたいなのも本当に美味しいので、私もたまにやります。でも、もし「そうめんばかりだと飽きてしまう」という理由でアレンジレシピを探している人がいたら、一度そばつゆにこだわってみて欲しい。つゆが美味ければ、極端な話365日そうめんでも飽きないと思うのです。

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まずは「かえし」を作ろう

そこで、とある撮影の空き時間に林さん達とそばつゆを作ってみることにしました。空き時間にできるくらい、作り方は簡単なのです。要はかえしとだしをあわせるだけ。…なのですが、林さんから意外な質問が出ました。「かえしって何ですか?コンビニの蕎麦についてくる水ですか?」

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林さん、それはほぐし水です…

確かに蕎麦屋をやってる私は当たり前に使ってましたが、「かえし」ってそれほど一般的な単語ではないのかもしれません。

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私の説明をきちんとメモする林さん

かえしとは基本的に「醤油・砂糖・みりん」で作られる調味料で、これにダシを加えればそばつゆになります。林さんのメモにもありますが、まあそばつゆの「素」ですね。

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実は今回ご紹介する上記のかえしは「本かえし」と呼ばれるもので、かえしには醤油を加熱しないで作る「生かえし」というものもあります

では実際にかえしを作ってみましょう。まずは鍋にみりんを入れ、アルコールを飛ばします。

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フランベしたら林さんと橋田さんが歓声を上げてくれた
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アルコールが飛んだら砂糖を加えて溶かします。糖分が高いので焦がさないよう注意
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砂糖が完全に溶けたら、醤油を入れます。風味が飛んでしまうので沸騰させないで!

林さんに「沸騰させちゃダメ、って何℃くらいなら良いんですか?」と聞かれたので、「80℃くらいですね」と答えたら温度計で測り始めました。

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林さんて何故か色んな計測器と色んな棒を常に持ち歩いてるんですよね
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沸騰してしまう手前、このように白い膜が張り始めたら火を止めてかえしの完成
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味見をした林さん。「うわ!強い!」。そう。あくまでこれは土台の調味料なのです

本当はすぐ使わずに数日間置いておくと、角が取れてまろやかな味わいになります。しかし今回は時間がないので、これで完成としましょう。

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かえしだけでも肉の下味などに使えますよ
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かえしとだしをあわせる

次に、かえしとだしをあわせましょう。ちなみに今回はそばつゆですけど、だしの分量をもっと増やせばそれだけでお吸い物になったりするわけです。

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分量は目安ですよ。自分の好みの濃さを探ってみて下さい

ただ、ここで問題になってくるのはだしですね。大雑把に言えば鰹だしなんてお湯に鰹節を入れれば取れますから、出来れば用意して欲しいです。
しかし、それでも面倒臭いという気持ちは分かりますし、それがハードルとなってそばつゆ作りも断念してしまうのは勿体ない。幸い今は便利で美味しいだしパックがたくさんありますから、そういうものも活用していきましょう。

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今回は私が自宅で取ってきた鰹だしを使いますが…
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こういうのも活用してみましょう。写真は久世福商店の商品。色々な商品を試して味の変化を楽しむのもありですね
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だしと先ほど作ったかえしをあわせて再び加熱し、80℃くらいに達したら火を止める
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一応これで完成なので、再び味見してもらいます
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美味しい!

あらかじめだしを用意してたのもありますが、ここまで30分もかかってないと思います。

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後は粗熱を取って、冷蔵庫で冷えるまで待ちましょう。だしが加わったのでかえしより傷むのが早いです。きちんと冷蔵庫で保管し、早めに使い切りましょう
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自家製そばつゆでそうめんを食べてみよう

AIが書いた漢字を書道したりしてるうちに、そばつゆが冷えました。

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脳の普段使ってない部分を駆使する企画だったので、腹が減りました

早速、そうめんを食べてみたいのですが、ひとつ注意点。個人的にそうめんと海苔は値段が味に直結する食品だと思ってるので、できればいいやつを使いましょう。それもそうめんに飽きないための大事な要素だと思います。

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今回は安心の揖保乃糸です。敢えてつゆだけで食べますが、勿論薬味を工夫するだけで無限の可能性が出てきます
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日常的に麺つゆをよく使う橋田さんも「美味しい!」と言ってくれました
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うん、自分でもやっぱり美味しいと思います

個人的な好みとして、市販のめんつゆってちょっと甘過ぎるんですね(勿論、今はそうでない商品もあると思いますが)。甘さって美味さに直結するんだけど、強すぎるが故に飽きにも繋がる気がします。その点、自家製だと完全に自分の好みにあわせられますから。今回ご紹介した分量はあくまで目安で、色々調整してみてください。

当然そうめんだけじゃなく蕎麦やうどんにもあいますが、個人的におすすめしたいのは中華麺。

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中華麺を茹でたら流水でよく洗い(ちゃんと洗わないと稀に気持ち悪くなる人がいるので注意)、氷水でよく冷やします
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これも評判良かったです。今回は忘れましたが、海苔を散らすのも良いですよ
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食にまつわる罪悪感から解放されよう

食とか料理って私達の生活を彩る大切な要素ですけど、同時に罪悪感を抱きやすいものでもあります。「もっとちゃんと自炊しなくて良いのかな?」みたいな悩みを抱いてる人も多いのではないでしょうか?

でも現代人は忙しくて料理する時間が取れない上に、自炊よりむしろ安く済むし、クオリティも高いしで、冷凍食品やコンビニ弁当に罪悪感を抱く必要なんて全然ないわけです。先ほど「面倒臭かったらだしパックで良い」と書いたのも、そういうことです。

ただ罪悪感ではなく、単純にたまには手作りのものも食べたくなっちゃうのが人間の複雑なところ。だから休日に常備菜をたくさん作ってみたら、今度は休みが丸々潰れちゃったり、同じものを消化していくのが嫌になっちゃったり。ちょうど良いのって本当に難しいですね。

だからこそお勧めしたいのが、特定の料理じゃなくて守備範囲の広い調味料、つまりそばつゆを作るという選択肢。これがあれば帰宅が遅くなっても麺類をサッと茹でるだけで済みますし、肉や野菜を炒めて調味料として使えば簡単におかずが一品できます。

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例えばこの日は豚肉にそばつゆをかけて焼いただけのものも作りました
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うん、シンプルで美味しい、と林さん。冷奴や納豆にかけるのも良いですよね

簡単で、美味しくて、様々な料理に幅広く応用できて、自炊の満足感も得られるそばつゆ。これは忙しい我々の食生活における救世主と言えます。是非皆さんも作ってみて下さい。
 

ささやかなおまけ

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