新種の鉱物
世界では多い年には100種類ほどの新種の鉱物が発見されている。日本でも1984年に「滋賀石」、2011年に「千葉石」、2013年の「伊予石」などが見つかっている。新鉱物の命名にはルールがあるので、地名が付けられることが多いようだ。
北海道を訪れた。北海道を訪れたのはいくつかの用事があったからなのだけれど、その一つに「北海道石」を見ることがあった。2023年に北海道で見つかった新鉱物で、当時ニュースを見て、ぜひ実物を見てみたいと思っていた。
ぜひ見たいと思った理由は綺麗だったからだ。紫外線を当てると黄色く光り輝いていた。光り輝く、そんなの見たいに決まっている。だって、光るんだぜ。光に集まる虫のように、私も光に呼び寄せられたのだ。
光り輝く北海道石
北海道石はいくつかの博物館で見ることができる。その一つが「とかち鹿追ジオパーク ビジターセンター」。とかち鹿追ジオパークは北海道石が最初に見つかった場所のひとつ。聖地だ。
実は北海道石は北海道以外でも見つかっている。北海道の次に見つかったのは大分県だった。北海道石はオパールに包まれて見つかっている。オパールは温泉水が地下から上昇する中で含まれる成分が固まってできた鉱物。大分も温泉で有名だから北海道石があったのかもしれない。大分で北海道だからややこしいけど。
北海道石は地下に存在した植物が温泉水に運ばれ、熱の作用を受けて結晶化したもの。これは有機鉱物で大変珍しいものになる。鉱物は基本的に無機物。有機鉱物は非常に稀らしい。
あれ、綺麗じゃない…って思ったかもしれない。でも、北海道石はここからなのだ。ここに紫外線を当てることで光り輝くのだ。とても美しく。
多くの人が勘違いしているであろうことがある。実は私もここで説明を受けるまで、勘違いしていた。私だけかもしれないけれど。北海道石は写真の中央にある大きな塊のことではない。それはオパールだ。
大きな塊の上側に黄色い粒があるのがわかると思う。それが北海道石だ。鉱物表面の黄色い粒子が北海道石。めちゃくちゃ小さいのだ。全体を北海道石と思ってしまいそうだけれどそうではない。黄色い粒だけなのだ。
北海道石はカルパチア石ではないかと最初は考えられていた。ウクライナやアメリカ、ロシアなど世界でも数カ所でしか見つかっていない珍しい鉱物だ。カルパチア石も勘違いしてしまうのだけれど、黄色のところだけだ。
研究が進んでカルパチア石ではなく北海道石となった。一つひとつは小さな粒だけれど、それがたくさんあることで美しく輝く。時間を忘れて見てしまった。紫外線を当てると光るというのもいいのだ。秘められたパワーがある感じがして。


