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ひらめきの月曜日
 
バナナで釘は打てるのか

顔の張りがなくなりました

5年前、始まったばかりのデイリーポータルZで「バナナで釘うって日曜大工」という記事を書いた。

しばれフェスティバルという氷点下20度になる場所でひと晩過ごすイベントに参加し、その間にバナナを凍らせるという企画だった。

しかしバナナだけ外に置けば、僕はあたたかいところにいてもよかった気がする。あの夜、携帯電話やパソコン、デジカメが寒さで次々と動かなくなるというスコット隊の最期みたいな恐怖を味わったが、あの経験はいらなかったのではないか。

5年を経て老獪になった僕はスマートにバナナを凍らせることができるのか。(林 雄司



撮影しながらバナナ凍らせる

今回は火曜日担当ライター石川、大北による北海道取材チームへの同行である。写真撮影が主な役割のため、自分ひとりの時間はあまりとれない。

ほかの作業をしながらバナナを凍らせるのがよかろう。「ながら」だ。ながら族。そしてバナナがほどよく凍ったころに釘をカッと打って終わりだ。小粋なスピード感である。世界ではじめての小粋さだと思う。


さて、どこにバナナがあるでしょう


バナナは腰にぶら下げることにした。これならば両手が使えるために撮影の支障にならない。なおかつ外気に当たっているためバナナも冷える。

エビアンホルダーをイメージとしたのだが、それ以上にかっこいい。これはありだ。美容師のハサミをいれるポーチ、電気工事の人の工具を入れるかばん。腰からぶら下げるのは職人っぽくてかっこいい。バナナでも。

こうして、僕は世界でただひとりのバナナを凍らせながら写真を撮るカメラマンになった。

 

撮影中

イベントは北海道北見市で行われた「厳寒の焼き肉祭り」である。大変すばらしいイベントであった。このイベントについてはライター大北くんが後日レポートをあげてくれることになっているのでそれを待ちたい。

僕は撮影(とはしゃぎ役)である。

イベントを撮影し、

急な電話に対応。

食事をして

氷点下の演歌に聞き惚れる。


撮影役でありながら、自分がずいぶん撮られているのが気になるが、腰からバナナをぶら下げたままの3時間が過ぎた。

 

バナナで釘をうつ

機材を置くためにホテルに戻る途中、バナナで釘を打つことにする。

同行のライターに「ちょっとバナナで釘うつから少し待って」と言う。変わったセリフだと思いながらもそれを言うのが5年ぶりだと思うと感慨深い。

バナナは僕の腰で冷たくなっている

ではまいります

ケーキ入刀みたいな気分で

振り下ろす

あ、この感触は

どこかで見たことがある光景だ


バナナで釘は打てず、釘がバナナに刺さった。イベント会場は火がたかれ、時間もまだ午後8時ぐらいだったのでさほど寒くなかった(といっても氷点下5度ぐらい)。それが敗因だろう。

わかったこと:腰からぶら下げたバナナは凍らない

外国のことわざの下手な翻訳みたいになってしまったが、わかったことは以上だ。

 

企画意図を間違えていないか

僕自身も寒さを避けて七輪で暖を取ったりしていたのでバナナも凍るほど冷えなかったのかもしれない。

しかし考えてみれば今回の趣旨は僕は楽してバナナだけを凍らせるということではなかったか。結局僕は外にいたではないか。

もっと楽な方法でバナナを凍らせないといけない。

うっかり雪に触れると、痛い



 

 
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