短い記事 2022年4月3日

まいばすけっと世田谷代田駅前店が広い ~広いまいばすけっとの話~

イオンの小型スーパー(公式は「都市型小型食品スーパー」と名乗っているようだ)、まいばすけっとには常々世話になっている。

世話になっているというよりも、向こうの方からわざわざ私の世話をしにきたものだから甘んじて受け入れている、というほうが、偉そうではあるが正しいかもしれない。

だって近所に3軒もある。

で、このまいばすけっと、基本的には小型というだけあってコンビニサイズの店舗が多いが、たまに広い店をみかけることがある。

世田谷代田駅前店や西早稲田駅前店がそうなのだが、この2軒でじっくり買い物をしたところ、ちょっと興味深かったのでレポートさせてください。

東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

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広いまいばすけっとは広いまいばすけっとでしかなかった

最初に言うと、「興味深かった」のは、広いまいばすけっとが広いまいばすけっとでしかなかった、という点なのだ。

冒頭でも述べた通り、まいばすけっとは「小型スーパー」だ。

イオン系列のチェーン店だから、スーパーマーケットであるイオンの小型版がまいばすけっと、という構図だと考えるのが普通だろう。

このロジックでいくと、広いまいばすけっとは、まいばすけっとから、その存在はイオンへ寄っていくと予想される。

つまり、こうだ。

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小型スーパーであるまいばすけっとがあり、通常のスーパーであるイオンがある。
広いまいばすけっとは中間に位置し、その実存にはまいばすけっととイオンとのあいだのゆらぎがあるという説

広いまいばすけっとというものは、自然とややイオンに寄った中間的な店として存在するのではないかと、そう思っていた。

それが違ったんである。

私が見たものはこうだった。

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小型スーパーであるまいばすけっとがあり、通常のスーパーであるイオンがある。
広いまいばすけっとは中間に位置するがその実存は漠としてまいばすけっとである

広いまいばすけっとはイオンには染まらなかった。まいばすけっとでしかないのだ。

まいばすけっとをまいばすけっとたらしめる力とは

店頭にかかげられた堂々たるポップ体の看板、ぱきっとした赤と緑を使った装飾、飾り気のない値札、特徴的な赤と青の30%オフシール(まいばすけっとは賞味期限の近づいた商品や棚替えで売り切る商品を30%オフで売る)。

明るく清潔な店内と、緑のエプロンに三角巾、赤いネックストラップをぶらさげた店員さん。

これらまいばすけっと要素でおおわれているのだから、多少面積が広くとも「ああ、まいばすけっとだな」と思うのは仕方がない。

しかしそれだけではない。なにか超越的な強いまいばすけっと性がまいばすけっとには宿っており、その未知なる力がまいばすけっとをイオンにはしないストッパーのように機能していると感じた。

まいばすけっとの店内にいると、「こんなスーパーはない」と思わせる。その理由を自分なりに考えてみた。

(1)唐突に現れるスペース

今回見たのは世田谷代田駅前店と西早稲田駅前店の2軒。

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世田谷代田駅前店
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奥まった入り口に早くも広さを感じる
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西早稲田駅前店。こうしてみると、両店ともマンションの1Fにある

 世田谷代田駅前店はかなり広い。コンビニ4軒分くらいの広さがあるように感じる。

西早稲田駅前店はそれに比べるとやや小さいが、それでも2~3軒分はあるか。

そして、どちらともその広い面積をなにか持て余したようにしている。

ところどころにふっと空き地のようにやけに広い床があらわれる。

世田谷代田駅前店は奥の方に3方を冷凍食品の開閉扉のついた棚が覆うスペースがあるのだが、ここの中央ががらんと開いているのだ。空いたスペースは4畳はあるのではないか。部屋である。冷凍の間、といった様相だ。なんという落ち着かない部屋か(でもちょっと住んでみたい)。

いっぽうの西早稲田駅前店は菓子パンとチルド系のデザートが並んだ冷蔵ケースの間の道が横に5人で並んで歩けるのではというくらい広い。

両店ともにレジ前にすーんとしたスペースがある。まいばすけっとのレジは一般的なスーパーのような通過型ではなく、コンビニのように店員さんがこちらを向いてまちうけるカウンター型だ。この2店舗はそのカウンターの前がやけに広い。

銀行の窓口前の前がすこしがらんとしているのに似ている。

この妙なスペース使い、おそらくだが、まいばすけっとがスーパーやコンビニではないタイプの店舗を居抜いて使うことが多いからではなかろうか。

私の家の近所には3軒まいばすけっとがあると書いたが、1軒はもともと家具屋、もう1軒は独立系のレンタルビデオ店、もう1軒はなんと銭湯だった。

もともとがスーパーとして作られていない間取りを使っているから、なぞの空間が空くんじゃないか。

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(2)冷食をやる姿勢の強さ

さらに普通のスーパーらしくない理由として、まいばすけっとは面積に余裕があったらまず冷凍食品をじっくりやる、という特徴があるのが大きい。

スーパーだったら、もし面積に余力が出たら、じゃあ全体的にまんべんなく品数を増やそうか、となるんじゃないか。

でもまいばすけっとは違う。最初に冷食に注力する。棚を増強するとしたら、すでにある冷食売り場を2倍、3倍と拡大する傾向にあるように思う。

全体のバランスが冷食に偏ることには強いまいばすけっと性を感じる。

(3)品ぞろえは基本同じ

ではそのほかの商品はどうかというと、これが不思議と普通の広さの店と品ぞろえが変わらないように見受けられるのだ。

おそらくひとつひとつ丁寧に確認すればそれなりに広い店舗の方が品数は多いのかもしれないが、ドラスティックな違いは感じさせない。単純に、店舗を均質に展開する能力が高い。

まいばすけっとは余計なものを一切置かないことで有名なスーパーだ。ちょっと良いものやわくわくするものはここにはないといって良い。

さすがに世田谷代田駅前店ほどの広さになると、他店にはないペットフードや離乳食といったラインナップが入ってくるが、それのそのジャンルの必要最低限を取りそろえたにすぎない。

コンビニでさえ一番くじなどによるバラエティショップ化が進むいま、これほどに「余地のない店」は、ちょっと珍しい。

必要なもの、それだけがただ、しかし確かにある。

まれに沖縄フェアや北海道フェアと銘打ち物産を並べることもあるが、売っているものが華やかな物産というよりもどこか堅実だ。

私が世田谷代田駅前店をおとずれた際はちょうど九州フェアというざっくりとした催しが行われていたが、ヨーグルッペやうまかっちゃんといった、地元の方にとってきっと普通に日頃買っているのではないかと思われる品が並んでいた。

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九州フェアで入手したのは、他県民憧れのヨーグルッペ、安納芋のあん巻、からし高菜漬

山崎製パンの関連企業で鹿児島のローカルパンメーカー、イケダパンの品など他県民としてはテンションの上がる品々だが、品自体はあくまでも日常に地続きだ。

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安納芋あん巻き、表面の砂糖がじょりじょりで知らない食べ物だった! おいしい~

なお、ぎりぎり両店ともに駄菓子のコーナーが充実しておりそこは広い店舗ならではかもしれない。JALのビーフコンソメスープも他店にはおそらくないラインナップだ。

KIRIにも通常タイプのほかハーブ&ガーリック味があり私はオッと思いメモまで取ったが、ラインナップを広げたということのほどでも、ないなといま書きながら思っている。

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盛り上がって買ったが、後で見たら普通だ

 以上が、広いまいばすけっとについての今現在の私の所感である。

年長者たちが「自分らが若いころはなかった」と言うのをこれまでよく聞いてきた。それはインターネットだったりスマートフォンだったり、それこそコンビニだったりした。

私がこんなにもまいばすけっとに取り組んでしまうのは、まいばすけっとが「私の若いころにはなかった」ものだからじゃなかろうか。

だからこうしてつい、珍しがってしまうのだ。

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ファンだから昨年のハロウィンには店員さんの仮装もした
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