家でやる
そんなわけでへそを出してみることにした。
知りたいのは出した時の自分の感覚である。つまりファッションにする必要はない。
人に見せなくてもいい。部屋着で、家でやればいい。
恥ずかしいので遠くから撮った。「やっている」という証拠としてのみ、伝わればいい。
ラジオ体操をする
シャツをまくり上げて大きなゴムでとめたらへそが出た。
予想通り涼しい。でも「お腹が冷える」と表現するような嫌な涼しさじゃなかった。爽快。
歩くと爽快感がさらに増した。腹が風を切るからだ。へそを出すと自分が進む方向がよく分かる。そういう格言があってもいい。
とりあえずラジオ体操をした。
体が沈んだり跳ねたりする動きもよく分かる。自分の体にセンサーが増えたようだ。
そして仰け反る運動の時の爽快感。体操の効果も何倍かになっていそうである。
もし外を歩いたら色んな風を繊細に感じ取れるだろう。
パソコンで作業をする
座ると服が下がって腹が隠れた。布が重なって、普段より暑いくらいだった。
しかし腹に意識がいったことによって姿勢が良くなっていたと思う。立っている時もそうだったが、座るとより顕著だ。腹の様子を背骨で調整するような感覚がずっとあった。
普段は脳が体全体を操っているが、今は一部分の主導権を腹が握っているようだった。
続けたら姿勢が良くなりそうだ。かなりいい効果だと思う。
料理をする
料理をしてみよう。
包丁を使うと自然と腹に力が入った。力んだって何の意味もないのに。もし揚げ物なんかしていたら力みすぎてヘトヘトになっただろう。
そういえば何もしてなくても、常にちょっと腹に力が入っている感じがする。続けたら引き締まるのかもしれない。
腹が引き締まった人がへそを出すファッションをしているのかと思っていたが、逆なのだ。へそを出すファッションをしているから引き締まっているのだ。
料理をすると冷蔵庫を何度も開けるが、その度に冷気がよく分かるのもおもしろかった。
この次は冷蔵庫で生地を寝かせる。その間、パソコンの作業をまた少しした。背筋を伸ばして。
この間にオーブンを予熱するが、予熱したオーブンの熱気もちゃんと感じた。
スコーンができた。へそ出して作ったスコーン。
スコーンを食べる
焼き立てなのでおいしい。
腹に力を入れていた分、緊張感を持って作れたと思う。
飲んだ直後は何ともなかったが、しばらく経って初めて「お腹が冷える」あの感じがした。
「牛乳飲んだな〜」と、ずっとうっすら思い続けるあの感じ。お腹を壊すほどではないのだけど、全てのものに対してちょっとだけ警戒心が強くなった。
でもへそを出していなくても冷たいものを飲んで後悔することはあるし、この辺は体調や個人の素質の問題かもしれない。
へそをしまう
2時間半、へそを出して家で過ごした。
お腹が冷えたところでシャツを伸ばしてへそをしまった。
暖かい。すごい安心感。出していたおかげで余計に感じる。腹に布があるありがたさ。
へそを出すと爽快だし、しまうとありがたい。落差があって、それぞれの良さを強烈に感じられるのかもしれない。サウナと水風呂のようなものだ。
へそを出してみて分かったこと
- 爽快
- 風を切るので自分の進む方向が分かる
- 立っても座っても姿勢が良くなる
- 常に腹にちょっと力が入る
- 危ない作業の時はより力が入る
- 冷蔵庫の冷気やオーブンの熱気もよく分かる
- やはり冷たいものを飲むとお腹が冷える感じがする
- しまった時の安心感
思っていたよりずっといいものだった。人によってはここに「そういうファッションが好き」という要素が加わる。みんなやるわけだ。
これからは街でへそを出した人とすれ違っても「お腹が冷えそう」と心配することはないだろう。
「風を感じている人」「引き締めている人」「姿勢がいい人」である。すごくいいと思う。

