Instagramは瓦版
Instagramは瓦版ではないか。
友人との討論の結果、流行の情報共有メディアとして、Instagramは昔で言うところの瓦版、つまり版画だ!という結論に至った。
今でいう「インスタ映え」は、過去に遡ると「版画映え」である。
今の「インスタ映え」は、版画でも映えるのだろうか?
人生で何度か版画を刷ったことがあるが、全て小学校の授業で作った。
目に光がなく、じっとりとした目に人間の内側が現れてしまうような、あの独特の味わい深さ。やはり彫るなら人物は入れたいところである。
インスタ映え写真も、版画にしたらまた違った形で映えるのだろうか。
小学生ぶりに、彫刻刀を手に取ることにした。
インスタ映え写真を撮ろう
まずインスタ映え写真を撮る必要がある。
とりあえずカフェに行けばなんとかなると思いやってきた。
味的にはチョコレートタルトが食べたいが、映え的には他のものがいいのだろうか。
映える必要があり、さらに彫りやすさも重要なので、選択肢がかなり狭まっている。インスタグラマーと版画作家は、こんな狭い世界で生きているのか。 映えるかつ、彫りやすいケーキはあるのか。
ここに来て自分の着ている服の柄が気になってきた。
無印良品の服にすれば良かった。でも今更どうしようもないので、せめてカーディガンのボタンを閉めることにしよう。
普段Xしか見てないので、 Instagramの映え文化の正解がわかってない不安はあるが、カフェ+ぬいぐるみ+加工アプリのカメラでインスタっぽい写真が撮れた!!はず!
背景もシンプルで彫りやすそう。小学生ぶりだけど、これなら彫れる気がする!!
彫っていこう
お店の人に聞いたら、「版画を彫るならまずはシナの木」と言われたのでその通りにした。
刷るとき反転するので、写真を反転させた状態で下がきを描いていく。
ノコギリが家になかったので、木を正方形に切るのは最後にして、とりあえず彫っていこう!
テーブルの端っこを彫っただけで結構体力を消費した。この大きさ、彫り切れるだろうか……。
彫刻刀は友人に貸してもらったものである。小学生時代の記憶を呼び起こしながら、恐る恐る彫っていく。
彫れば彫るほど、どの線を残すのかが分からなくなってくる。残すつもりだった場所も間違えて彫ったりしたが、全て味わいになるという強い気持ちを持って進めていくしかない。
小学生の時の自画像は、インフルエンザで学校を休んでいる間にクラスメイトの子が勝手に私の作品を彫り進めていた。登校した時にはほとんど完成しており、衝撃を受けた記憶がある。手伝ってくれなかったら間に合わなかっただろうけど、やはり自分で全て彫りたかったという心残りがあったことを、作業しながら思い出した。
腕の疲労と闘うこと4時間。ついに完成の時が来た。