会場へ行くには勇気が必要
我は浜松市民。
浜松といえば浜松まつり、中でも迫力のある凧揚げ合戦が有名だ。
「有名だ」と言いながら、実は一度も現地で見た経験がない。
理由はシンプル。凧揚げ会場である中田島砂丘にたどり着くまでの道中が、すでにまつり本番レベルで混んでいると聞いたからだ。たとえそれを乗り越えて砂丘に着いたとしても、本戦会場は当然人、人、人…
浜松名物のひとつである凧揚げ合戦を、現地ならではの熱気を感じながら生で見てみたい。しかし人混みが苦手なわたしは、どうしても一歩が踏み出せない。
そうだ、凧揚げ合戦を遠目で見よう。
空を見上げれば見える、はず
そもそも浜松まつりとは初子の誕生を地域全体で祝うもので、昼の凧揚げ合戦と夜の御殿屋台の引き回し、この2つがメインイベントだ。
屋台の引き回しは屋台に近づかなければ見ることができない。が、凧揚げは違う。地上の会場は先ほど挙げた中田島砂丘だが、凧本体が揚がっているのは空である。そう、空を見上げればいいのだ。
しかも、凧揚げ合戦で使われる凧はかなりでかい。畳にして4~6帖分ほどの凧が空に舞う。上京して初めて借りたワンルームをすっぽり覆うでかさだ。
そんなにでかい凧ならば、混雑覚悟で会場へ突っ込まずとも可能な限り会場に近づき空を見上げれば見えるはず。
そんなわけで今年は“混雑を避けつつ、いい感じの距離感で凧揚げ合戦を楽しむ”という都合のいい作戦を考えた。
ベストポジションを考える
まずは凧揚げ合戦を遠目で見るためのベストポジションを探したい。
できるだけ会場の近くで、かつ開けた場所で見られれば最高だが、会場付近はガッツリ交通規制が張られているため自家用車で近づくことができない。
そもそも会場には自家用車用の駐車場がなく、タクシーも発着場所が指定された強制ルートで、主となるアクセス方法は専用のシャトルバスというなかなかハードな制限がかけられている。
つまり、「ちょっと車で近くまで」が成立しないイベントなのだ。
国道1号線以北も、観光客が乗るシャトルバスや凧揚げ合戦に参加する各町がチャーターしているバスが会場を目指し走っているので、普段より交通量が多いことは間違いない。
これらのことをふまえ、わたしより浜松まつりや市内の交通事情に詳しい浜松出身の夫と協議した結果、海沿いをひたすら走り、交通規制がかかる区域のギリギリ手前がベストポジションだと判断した。
わたしも浜松に住み始めてからまつり期間中は中田島砂丘に近づいていないのであくまでも予想だが、凧揚げ合戦当日はこの予想をもとに動いてみたい。
ワンチャン見えないか
3日間つづく浜松まつりの初日。
あいにくのくもり模様だが、浜松市内は「いよいよ今日から待ちに待った浜松まつりだ!」というわくわく感と熱気に包まれている、気がした。
今回の基本戦略は海沿いのルートで会場を目指すことだが、過去に会場で凧揚げ合戦を見た経験のあるいとこに事前にこの話をしたところ、「高いところなら見えるのでは?」というアドバイスをもらった。
そこで思いついたのが、我が家と会場のあいだにある大きな商業施設の屋上である。この商業施設は建物5階までが立体駐車場になっており、屋上はさらにその上とかなり高さがある。夏に行われる花火大会の日も、無料で屋上を開放するほど見晴らしがいい。
中田島砂丘から少々距離はあるものの、“高さがある”“周りが開けている”という観点からはなかなかの好条件だ。
目標としていた屋上には上がれなかったが、高いところなら見える説の検証のため5階から様子を見てみる。
残念ながら、この商業施設からは凧は確認できなかった。
雲が多いと凧も見えづらいのか?と一瞬思ったが、それは花火の話で凧は高さ的に関係ないと気づく。単純にこの距離では見えないようだ。

