特集 2019年3月5日

はじめての鼻うがい

がんばれ!

花粉対策や風邪予防に「鼻うがい」という対処法がある。鼻の中に洗浄液を入れてきれいにし、もう片方の鼻の穴や口から液を出すのだ。大胆で魅力的なうがいである。市販されている鼻うがいの商品を3種類、試してみた。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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花粉症かもしれない

遂に認めざるを得ないところまできた。

数年前から春になるとくしゃみは出ていたのだが「花粉というより埃全般苦手なので、チリとしての花粉に反応しているだけだろう」と思ってやり過ごしてきた。実際症状もそこまでではなかったのでそれでなんとかなっていた。

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春がきていますね。

しかしある日くしゃみをしだしたらもう止まらなくなって他のことが何もできなくなってしまった。何かを考えることすらできない。ひどく生産性の低い人間だ。情けないなと思う。

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1歳の娘がくしゃみの音をマネするようになってしまった。オウムみたいだな。

これはもう花粉症であることを認めて対策を講じるしかない。鼻うがいをやってみよう。

鼻うがいとは

鼻うがい、鼻の穴から液体を入れて、中にある花粉や雑菌を洗い流すあれである。大胆な発想だ。よく花粉症の人が「鼻を取り外して丸洗いしたい」と冗談で言うが、それに近いことができてしまうのだ。

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鼻うがいの商品のパッケージ。「気持ちよさそー」と思えた人は花粉症。

存在を知った時から「すごい、やってみたい!」という思いと「でも痛そうだな…」という思いがせめぎ合ってきたが、くしゃみに困る今、いよいよ「すごい、やってみたい!」に体重が乗ってきた。やるなら今である。

通過儀礼としてやる

調べてみると、手軽に鼻うがいができる『ハナノア』という商品がある。電動の商品もあったけどいきなりそんなことしたら死んでしまうかもしれない。まずはハナノアの通常タイプを使ってみることにした。

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ハナノア。
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通常タイプ(左)と、使い方簡単タイプ(右)がある。「奥深く」まで洗うか「奥」まで洗うかの違い。
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やるぞ。奥深くまで洗うタイプで。

記念すべきはじめての鼻うがいなので袴を着た。世界には色々な通過儀礼がある。バンジージャンプをしたり体に模様を彫ったり。それに比べたら鼻に液体を入れるなんて軽いものである。この鼻うがいを経て、僕も一人前の花粉症として世に羽ばたきたい。

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袴は、ライターの北向ハナウタさんに借りました。袴を所有する友人。

北向さんも花粉症だが鼻うがいの経験はない。比較的新しく出てきた商品なのでよかったら使いたいかも、と様子を見ていたらしい。是非今日の僕を参考にしてほしい。

20mlって多い

ハナノアには洗浄液と、液を鼻に入れるための洗浄器具が入っている。

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これが洗浄器具。

この器具に洗浄液を入れて鼻に当て、 鼻の奥の上咽頭(じょういんとう)というところに当てるように流し込んだあと、口から出すのだそうだ。鼻の穴、片方10mlずつ行う。Amazonのレビューを見ると「スッキリ!」「とても良いです!」という感想に混じって「上級者向き」「難しい」とある。20mlがすごく多く見えてきた。

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だって鼻より20mlの方が大きい。

いざやるとなったらすごく怖くなってきた。鼻うがい経験者は全員この緊張感をくぐり抜けてきているのだろうか。

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動画で使い方が学べるようになっていた。

動画では、モデルの女性が鼻から洗浄液を入れ、口から出し、微笑んでいた。そんなわけないだろうと思った。

難しいぞ

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しかし使い方は分かったのでやる。

「あー」と声を出しながら液体を入れる。こうすると耳の方に液が来ないらしい。

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…………!!
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…………!!

鼻と口と目から色んな汁が出てあっぷあっぷした。汚い話ですみません。

一瞬だけ鼻の奥に液体が来た感覚があったが、反射的にそれを追い返してしまった。失敗である。

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そしてこんなに苦しかったのに全然減ってない。ドバドバ入ってきた感覚があったのですが。

写真を撮ってくれた北向さんが「もうちょっと上向かないと入っていかないと思いますよ」という。でも上向くと耳の内部に洗浄液が入り中耳炎になる恐れがあるとパッケージに書いてあった。怖いじゃないか。

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上を向いてはいけない。

でも確かにコツを紹介しているサイトを見ると、アゴをクイッとやられた時ぐらい上を向くと書いてある。

アゴをクイっとやられたことがないので分からないが、それぐらいほんの少し上を向かないとうまくできない。しかし上を向きすぎると中耳炎になる。すごいチキンレースをしているぞ。これがうまくできたら絶対に立派な大人になれる。

少し上を向いてやってみる

鼻うがいは鼻の粘膜に負担をかけるので1日に3回程度にとどめるべきとあった。何回もできないのだ。1回目は粘膜にほとんど影響はなかったと思うが、とにかく次で最後にしたい。

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2回目は、洗浄液が入ってきたが、
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そのまま飲んでしまった。
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液体がここまできた感覚があったのだが、口から出ずに胃に落ちていった。

汚い話ですみません。飲んで大丈夫なものなのかサイトのQ&Aで見たが、1回使用量程度なら問題ないらしい。よかった…。特に味はしなかった。

しかし、全然口から出る気配がない。そういえばコツを調べた時、少し上を向くが洗浄液が鼻に入ったら正面を向く、とあった。きっと上を向いたままだと口に出るルートに液体が来ないのだ。

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「でもできましたよね?」

鼻を洗浄液が通過した達成感で北向さんにこう聞いたら「いや、口から出してこそじゃないですか?」と言う。そうか。ダメか。洗浄液を口から出してこそ鼻うがいなのだ。次だ、次こそ最後だ。

しかし初めての鼻うがい、ミントの香りでスースースースーする。爽快感がすごい。鼻の奥まで鼻があるなあと感じる。ムズムズしたり詰まっていたりして気がつかなったが、こんなに鼻って奥まであるのだ!と実感できる。長らくできなかった深呼吸をしました。

やる前は、プールで溺れた時の鼻がツーンとする感じになるかと思ったが、液が鼻から入る異物感を受け入れれば、それ以降は痛いことはない。慣れればいけるなと思った。

できた!

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最後は、
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液が入ったら正面を向いて、
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口から出せました!

やっぱり鼻の奥にある洗浄液を口から出す作業がすごく難しかったが、とにかくできた。勝負事に弱い人生だったが、ここに来てラストチャンスをしっかりつかんだのだ。(自分の鼻の粘膜を大事にしたので絶対に3回で終わりにしたかった。)

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口から出す直前、洗浄液が体のどこにあるか探す時間があった。
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泣いてる。かわいそう。

最初がすごくヘタだっただけに鼻うがいのコツが分かった。北向さんも参考になったと思う。

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難しいです。
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できました。これで一人前の花粉症。

なんとなくコツは分かった。日を改めて他の商品も使ってみよう。

ハナノア、使い方簡単タイプ

使い方簡単タイプは洗浄液を鼻から入れて鼻から出す。洗浄液が奥まで入らず戻ってきてもう片方の穴から出て行く、みたいなイメージだろう。
 

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こういう広告で有名なやつだ。
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通常タイプと、洗浄器具が違う。
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そこそこ広告みたいにできた!

さすがは使い方簡単タイプで、ボトルを押したらいつの間にか成功していた。下を向いていていいところもいい。僕の場合はそんなにひどい花粉症ではないようで、このタイプで十分スッキリできた。

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難易度下がりました。

ハナクリーンS

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3つ目は『ハナクリーンS』
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これはボトルに温度計がついている。

40度から42度のお湯を作って、付属の洗浄剤を溶かして洗浄液を作るのだ。手間がかかる。
 

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やる。もう慣れたものである。

「温度大事!」と思った。液が暖かいと気持ちよさすら感じる。手間をかけただけはあって一番快適に鼻うがいできた。下を向いて使うタイプだけど、液が鼻の奥まで来ず洗いきれていない、という感じもしなかった。

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それでもバンジージャンプはバンジージャンプです。

苦しいのは苦しいので良い

市販の商品を3種類使ってみた。それぞれ洗浄器具に特徴があって使う際のコツも細かく異なると思う。僕は3つ目のハナクリーンが一番快適にできた。

でも一番思い出深いのは袴を着てやったハナノア(通常タイプ)である。苦しかったら苦しかったでそれなりの良さがある。

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鼻や口から液体が出ている写真ばかりで失礼いたしました。

家でやろう

そういえば、肝心の鼻うがいをしたあとだが、一時的にスッキリして時間が経つにつれてまたムズムズしてきた。鼻うがいは鼻の中の花粉を洗い流せるが、新しく入ってくる花粉は防げない。花粉が飛んでいない家の中で寝る前にやったりするのがいいみたいだ。

外でやるべきものではない。

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袴も着なくていい。

 

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