札幌に来たら食べてほしい牛タンチャーハン
北海道というと寿司とかラーメンとかジンギスカンなんかを思い浮かべる人が多いと思うが、それらを一通り食べたあとのシメとしてでも牛タンチャーハンを食べてもらいたい。
観光地で観光飯じゃないご飯を食べるのって、ある意味ぜいたくな体験だと思うんですよね。
札幌で食べた牛タンチャーハンが最高に美味しかった。
牛タンもチャーハンも、言ってしまえば北海道のイメージではないと思うのだけれど、二つが合わさるとこれがもう、地域なんて関係ありませんでした。
集まってチャーハンを食べる部活、チャーハン部に所属している(参考記事)。
この部に入ってよかったことは、飲食店に行ってもメニューで迷わなくなったことだ。チャーハンがあればチャーハンを注文するからである。
良くなかったことはというと、旅先でもチャーハンを探してしまうところかもしれない。今僕は札幌に来ているのだけれど、やはりチャーハンばかり探してしまっている。
この日は札幌滞在の初日だったので、まずはチャーハンを食べておこうと街に出てきたのだ。で駅の近くで見つけたのがこちらのお店。
札幌だけあってラーメンが美味しそうだったのだけれど、部の方針に則りチャーハンを注文することにした。
店内は設備の点検の真っ最中だったが、お客はだれも気にする様子なくラーメンを食べていた。
北海道まで乗ってきた飛行機では羽田を飛び立つ前に寝てしまい、起きたときには飲み物のワゴンが僕の横を通過した後だった。隣の人が飲んでいたホタテスープ(北海道便限定らしいです)の香りが悔しかった。この悔しさをチャーハンで埋めるのだ。うおー。
ところがである。チャーハンの注文を取りに来た店員さんが申し訳なさそうにいう
「今日はラーメンしかできないんですがいいですか」
どうも店内がバタついているのは設備の不具合が重なったかららしい。レジも機能していないので注文といっしょに現金で精算お願いします、と言われてしまった。
なるほど!それは仕方がないですね!!
僕も鬼じゃないのでチャーハンはいったん諦めて、このお店の美味そうなラーメンを注文させてもらうことにした。わーい!
札幌滞在二日目。この日は朝から小雨が降っていて肌寒かった。
関東を出てくるときには37℃あったから短パンしか選択肢がなかったのだけれど、札幌に着いたら風が冷たいじゃないか。南半球か。
肩をすぼめて雨を避けつつ歩いていて見つけたのがこちらのお店である。
牛タンののぼりからして焼肉屋さんかなと思ったのだけれど、外に出されたメニューには確かに「牛舌炒飯」と書かれている。
牛舌という書き方がちょっとリアルだなと思ったが、それ以上に美味しそうさが勝った。入店。
開店したばかりの時間帯だったこともあり、店内には僕以外には一組しかお客がいなかった。
「チャーハンだけでも大丈夫ですか?」と入り口で聞くと、大丈夫ですよ!どうぞ!とのこと。ありがたい!
店内は暖かい色合いの照明が控えめにテーブルを照らす、落ち着いた雰囲気だった。カウンター席から「牛タンチャーハンをお願いします」と注文。
チャーハンを待っている間、店内のテレビでは五輪のバレーボールの試合を中継していた。ものすごい接戦で、この瞬間までまったく五輪を見ていなかったことに焦りを覚えたくらいだ。
でも牛タンチャーハンが運ばれてきたと同時に、意識は100%チャーハンへと向かった。
チャーシューの代わりに牛タンのこま切れが炒められているのかと想像していたのだけれど、想像の牛タン億倍くらいの存在感でチャーハンの上に牛タンが載っていた。その色合いから松崎しげるを思い出す。
牛タンチャーハンというより牛タン丼、オプションでご飯をチャーハンに変えられますが、的な見た目だ。取材メモには「金メダル」と書いてあった。
もちろん美味い。
牛タンは柔らかく、噛めば噛むほど美味しくなるので飲み込みたくない。チャーハン部分は牛タンを焼いた鉄板で炒められているのだろうか、肉汁で味付けされた大人の罪の味である。
しかもそれだけではない。カウンター越しに職人さんが今まさに牛タンを焼いているのがライブで見られるのだ。冷えた体をホットにしてくれる。
これはたまらんお店に来ましたよ、と思った。
そういえば牛タンチャーハンには白米にすこしだけ麦飯が混ぜてあった。牛タンに麦飯が合うのは栄養バランスがいいからだと聞いたことがあるが、プチプチする食感がひじょうにチャーハンに合う。
付け合わせの高菜も自分のポジションをよく理解していてよかった。ぷるぷるの牛タンとじわじわのチャーハン、これにシャキッとした高菜のコンビネーションがハマるのだ。勝手ながら金メダルを授与させてもらいます。
お店はこちらです
北福仁(キタフクジン)
北海道札幌市中央区南一条西7丁目1 ビルヂングフクダ B1F
北海道というと寿司とかラーメンとかジンギスカンなんかを思い浮かべる人が多いと思うが、それらを一通り食べたあとのシメとしてでも牛タンチャーハンを食べてもらいたい。
観光地で観光飯じゃないご飯を食べるのって、ある意味ぜいたくな体験だと思うんですよね。
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