広告企画 2021年5月17日

東京湾に浮かぶ人工要塞「第二海堡」上陸ツアーに参加した

第二海堡中央部の見どころを周る

続いては再び斜面を上り、第二海堡で一番高い場所である「中央部砲塔跡」を目指す。

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最近整備されたらしい、なんとなくサイバーな雰囲気の通路を上り中央部へ
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一面に並ぶソーラーパネルは灯台の電力を賄っているとのことだ

なんでも、かつては燃料によって灯台の発電を行っていたのだが、天候が悪いと上陸できず燃料を運ぶことができない日もあった。灯台を安定して稼働させるため太陽光発電に切り替えたそうだ。

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ソーラーパネルの中には、太平洋戦争中に設置された対空砲の砲座がある

海堡は軍艦の東京湾侵入を防ぐために築かれた要塞であるが、第一次世界大戦後に飛行機が発達すると、戦争の主力は海から空へと移り変わっていった。

第二海堡においても太平洋戦争中に対空の高角砲が設置されており、そのような軍事の歴史をうかがい知ることができる。

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ソーラーパネルの側には、なぜかウチワサボテンが生えている

第二海堡の植生は基本的には自生しているものだけだが、このウチワサボテンだけは外来のものだという。おそらく食用として持ち込まれたのではないかとのことだ。

南米などではサボテンを野菜として食べると聞いたことがあるが、日本では稀であろう。いったい誰が第二海堡にこのウチワサボテンを持ち込んだのか、なかなかに興味深い話である。

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そうこうしているうちに、第二海堡最高地点の中央砲塔跡にたどり着いた
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現在は草むらの傍らに「防空指揮所」だけが残る

この思わず登りたくなる階段の「防空指揮所」は、見張り場として使われたり、全体の指揮を執っていた場所であろうと考えられている。第二海堡の最高地点ということもあって、象徴的な構造物だ。

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背を伸ばして内部をのぞいてみると、弧を描く煉瓦が実に素敵だ
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外側のコンクリートには型枠の痕が残っており、とても良い雰囲気である

コンクリートの質感といい、まるで弾痕のような二連の穴といい、実に味わい深いたたずまいを見せている。この独特の雰囲気があるためか、かつてはここで松田優作の主演映画『蘇る金狼』の撮影が行われたとガイドさんが教えてくれた。

さて、第二海堡の最高地点に上り詰めたところで、ツアーの残り時間もわずかとなった。最後に案内されたのは、北側に連なる「掩蔽壕(えんぺいごう)」である。

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北側の中腹に沿って歩いて行くと――
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約90mに渡って煉瓦の壁が連なる「掩蔽壕」にたどり着く

この掩蔽壕は第二海堡の北側を支える擁壁であり、また地下施設へと通じる出入口でもある。現在は盛り土によって埋められているが、このアーチの下から内部空間へ続く通路が伸びているそうだ。

普通の煉瓦よりも色が濃い焦げ茶色であるのが特徴的だが、これは高温で焼いて耐水性を高めた「焼過(やきすぎ)煉瓦」(ふざけたような名前だが、正式名称だ)を使用しているためだという。

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煉瓦壁の上端を飾る笠石もまた良い味出てる
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擁壁に点々とあるフックは何かと聞いたら、ケーブル類を通すためのものだそうだ

先ほど見てきた西端の付近は損傷が激しく、地下遺構が露出してしまっていた。しかしこの掩蔽壕が現存する一帯は、地下空間が良好に残っているように思われる。

安全性などの問題により地下施設へ立ち入ることは難しいだろうが、せめて盛り土を取り除き、内部へ通じる入口を見ることができるようになれば、さらにエキサイティングなのではないかと思う。


第二海堡に上陸できて大満足

というワケで、今回のツアーでは上陸してから約1時間で第二海堡の西部と中央部を見て周ることができた。

知識豊富なガイドさんによる案内なので解説が面白く、疑問に思ったことも質問すれば答えてくれる。第二海堡の遺構についてより深く理解することができ、実に充実した内容のツアーであった(今回、こちらのツアーから申し込みました。みなさんもぜひ!)。

なにより、これまで地図や写真でしか見ることができなかった第二海堡に上陸できたことが無上の喜びである。今後はさらに整備が進み、ツアーの本数が増えるなど、より気軽に上陸できるようになることを期待したい。

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三笠ターミナルで売ってるパンとおにぎりが美味しそうだった

 

エキサイティングなおまかせツアーはこちらから。
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